(海外投資等損失準備金の積立ての対象となる特定株式等の取得の意義)

55-1 措置法第55条第1項の規定により海外投資等損失準備金を積み立てることができる同条第2項第6号に規定する特定株式等(以下「特定株式等」という。)の取得は、同号イ又はロの規定に該当する払込み又は分社型分割若しくは現物出資に伴う取得に限られるのであるから、例えば、贈与による取得、代物弁済による取得、合併若しくは分割型分割による取得又は購入による取得はこれに該当しないが、新株予約権の行使による取得はこれに該当する。(昭50年直法2-21「22」、昭51年直法2-39「19」、昭53年直法2-24「17」、「50」、昭55年直法2-15「九」、昭58年直法2-11「十二」、平2年直法2-1「十九」、平6年課法2-5「二十」、平10年課法2-17「二十六」、平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平15年課法2-7「三十四」、平19年課法2-3「三十」、平26年課法2-6「十五」により改正)

(積立限度額の計算の基礎となる取得価額)

55-2 措置法第55条に規定する海外投資等損失準備金の積立額の計算の基礎となる特定株式等の取得価額は、当該特定株式等の取得に際し現実に負担した金額によることに留意する。(平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平15年課法2-7「三十四」、平26年課法2-6「十五」により改正)

(特定株式等の取得の日の判定)

55-3 特定株式等の取得が措置法第55条第1項に規定する指定期間(以下「指定期間」という。)内にされたものであるかどうかは、設立の場合には当該特定株式等に係る特定法人(同項に規定する特定法人をいう。以下同じ。)の本店又は主たる事務所の所在する国の法令により法人が成立したとされる日、増資の場合には基本通達1-5-1に定める日を基礎して判定するものとする。(昭55年直法2-15「九」、平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平26年課法2-6「十五」により改正)

(分割払込みをした場合の積立ての時期等)

55-4 海外投資等損失準備金勘定の積立ては特定株式等を取得した事業年度に係る準備金として積み立てられるのであるが、その取得が払込みによるものであり、かつ、当該払込みが2以上の事業年度にわたって分割して行われるものである場合には、それぞれその払込みをした事業年度に係る準備金としてその払込みをした金額を基礎としてその積立てを行うものとする。(昭55年直法2-15「九」により追加、平11年課法2-9「二十八」、平15年課法2-7「三十四」、平19年課法2-3「三十」、令4年課法2−14「二十七」により改正)

(付随事業の例示)

55-5 措置法第55条第2項第1号に規定する「これらの事業に付随して行われる事業」には、例えば、資源の探鉱、開発又は採取の事業を営む法人が行うその採油した石油の精製、幹線パイプラインの整備、出荷施設の建設又は採掘した鉱産物の精錬の事業が含まれる。(昭50年直法2-21「25」、昭51年直法2-39「19」、昭53年直法2-24「18」、昭55年直法2-15「九」、昭58年直法2-11「十二」、平2年直法2-1「十九」、平10年課法2-17「二十六」、平11年課法2-9「二十八」、平25年課法2-4「十六」により改正)

55-6 削除(昭50年直法2-21「26」、昭51年直法2-39「19」、昭53年直法2-24「50」、昭55年直法2-15「九」、昭58年直法2-11「十二」、平2年直法2-1「十九」、平10年課法2-17「二十六」、平11年課法2-9「二十八」、平15年課法2-7「三十四」、平22年課法2-7「十五」、平23年課法2-17「二十六」により改正、平26年課法2-6「十五」により削除)

(海外投資等損失準備金の経理)

55-7 海外投資等損失準備金の金額は、原則として、その積立事業年度(措置法第55条第3項に規定する積立事業年度をいう。以下同じ。)の翌事業年度から5年間据え置き、5年を経過した事業年度から更に5年間で均分して取り崩すこととなるのであるから、積立事業年度別に海外投資等損失準備金の残額及び取崩しの状況を補助簿等において明確に経理するものとする。(平11年課法2-9「二十八」、平15年課法2-7「三十四」、令4年課法2−14「二十七」により改正)

(適格合併等により引継ぎを受けた海外投資等損失準備金の均分取崩し)

55-7の2 合併法人等(合併法人、分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人をいう。以下55-7の2において同じ。)が措置法第55条第10項、第13項、第17項又は第21項の規定により海外投資等損失準備金の金額の引継ぎを受けた場合において、当該合併法人等の適格合併等(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配をいう。以下同じ。)の日を含む事業年度以後の各事業年度における当該海外投資等損失準備金に係る同条第3項の規定の適用については、当該適格合併等に係る被合併法人等(被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人をいう。以下同じ。)において当該海外投資等損失準備金が積み立てられた事業年度と当該合併法人等の事業年度とは区分して、かつ、当該被合併法人等において積み立てられた事業年度に当該合併法人等が自ら積立てをしたものとみなして取り扱うものとする。
 (平15年課法2-7「三十四」、平19年課法2-3「三十」、平22年課法2-7「十五」、令4年課法2−14「二十七」により改正)

(特定法人が2以上ある場合の海外投資等損失準備金の取崩しの計算)

55-8 法人が海外投資等損失準備金への積立てを2以上の特定法人の株式等について行っている場合には、当該準備金の金額は、それぞれの特定法人について設けられているのであるから、措置法第55条第3項又は第4項第1号から第5号までの規定による益金算入額は各特定法人ごとに計算することに留意する。(昭51年直法2-39「19」、昭53年直法2-24「19」、昭55年直法2-15「九」、平2年直法2-1「十九」、平10年課法2-17「二十六」、平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平17年課法2-14「十七」により改正)

55-9 削除(昭51年直法2-39「19」、昭53年直法2-24「19」、昭55年直法2-15「九」、平2年直法2-1「十九」、平10年課法2-17「二十六」、平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平17年課法2-14「十七」により改正、平26年課法2-6「十五」により削除)

55-10 削除(平26年課法2-6「十五」により追加、平28年課法2-11「ニ十一」により削除)

(評価減をした場合の海外投資等損失準備金の取崩し)

55-11 海外投資等損失準備金を積み立てている法人が、各事業年度において当該準備金に係る特定法人の株式等について帳簿価額を減額した場合(措置法第55条第4項第5号括弧書の規定により除くこととされている場合に該当する場合を除く。55-12及び55-14において同じ。)において、同号の規定により取り崩すこととなる海外投資等損失準備金の金額は、当該事業年度前の事業年度から引き続き有している当該特定法人の株式等及び当該事業年度において取得した当該特定法人の株式等のうち特定株式等に該当しないものの帳簿価額を減額した部分の金額に限るものとし、当該事業年度に取得した特定株式等の帳簿価額を減額した部分の金額は同条第1項の規定により当該事業年度における積立限度額の計算上控除することに留意する。(昭51年直法2-39「19」、昭55年直法2-15「九」、平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平15年課法2-7「三十四」、平17年課法2-14「十七」、平23年課法2-17「二十六」、平28年課法2-11「ニ十一」、令4年課法2−14「二十七」により改正)

(評価減の額の区分)

55-12 法人が、各事業年度において海外投資等損失準備金に係る特定法人の株式等の帳簿価額を減額した場合において、当該特定法人の株式等が当該事業年度の指定期間内において取得した特定株式等とその他の株式等とから成っているときにおける当該その他の株式等に係る帳簿価額を減額した金額は、当該特定法人の株式等について帳簿価額を減額した金額から当該事業年度の指定期間内に取得した特定株式等に係る帳簿価額を減額した金額として次により計算した金額を控除した金額によるものとする。(平11年課法2-9「二十八」により改正)

  1. (1) 帳簿価額を減額した日に有する特定法人の株式等の当該減額後の平均単価(当該株式等の帳簿価額を当該株式等の数で除して計算した金額をいう。以下(2)において同じ。)が当該事業年度の指定期間内に取得した特定株式等に係る平均取得単価(当該特定株式等の実際の取得価額の合計額を当該特定株式等の数で除して計算した金額をいう。以下(2)において同じ。)以上である場合には、当該特定株式等に係る帳簿価額を減額した金額はないものとする。
  2. (2) 帳簿価額を減額した日に有する特定法人の株式等の当該減額後の平均単価が当該事業年度の指定期間内に取得した特定株式等に係る平均取得単価に満たない場合には、その満たない金額に当該特定株式等の数を乗じて計算した金額(当該金額が当該特定法人の株式等に係る帳簿価額を減額した金額を超えるときは、当該帳簿価額を減額した金額)を特定株式等に係る帳簿価額を減額した金額とする。

(特定法人の株式等の評価減を否認した場合の海外投資等損失準備金の特例)

55-13 法人が、海外投資等損失準備金に係る特定法人の株式等についてその帳簿価額を減額したため、措置法第55条第4項第5号の規定により海外投資等損失準備金の金額を取り崩して益金の額に算入した場合において、当該特定法人の株式等に係る当該減額後の帳簿価額が時価を下回る等のため当該減額が認められないこととなる金額があり、かつ、その取り崩した金額が帳簿価額の減額が認められた金額を基礎として同号の規定により取り崩すべきこととなる金額を超えるときは、その超える部分の金額は、取崩しがなかったものとし、当該金額に相当する会社計算外の海外投資等損失準備金の金額があるものとして取り扱う。(昭51年直法2-39「19」、昭55年直法2-15「九」、平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平17年課法2-14「十七」により改正)

(海外投資等損失準備金の基礎としなかった株式等がある場合の評価減)

55-14 法人が、当該事業年度前の事業年度から引き続き有している特定法人の株式等について帳簿価額を減額した場合には、当該株式等のうちに海外投資等損失準備金の設定の基礎としなかった株式等があるときにおいても、当該減額した日における海外投資等損失準備金の金額のうち当該減額した金額に達するまでの金額は、措置法第55条第4項第5号の規定により益金の額に算入しなければならないことに留意する。(昭51年直法2-39「19」、昭55年直法2-15「九」、平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平15年課法2-7「三十四」、平17年課法2-14「十七」、令4年課法2−14「二十七」により改正)

(特定法人が適格合併をした場合)

55-15 海外投資等損失準備金の設定の基礎とした特定株式等に係る特定法人が適格合併により解散した場合には、措置法第55条第4項第4号括弧書の規定により当該特定法人に係る海外投資等損失準備金の金額は取り崩すことを要しないのであるが、当該適格合併に係る措置法令第32条の2第14項に規定する合併法人等が特定法人でないとき(当該適格合併が法第61条の2第2項に規定する金銭等不交付合併でないときを含む。)は同号及び措置法令第32条の2第15項の規定により当該適格合併に係る被合併法人である特定法人が当該適格合併直前において特定法人でないこととなったものとみなして海外投資等損失準備金の金額を取り崩すこととなることに留意する。(昭50年直法2-21「27」、昭51年直法2-39「19」、昭55年直法2-15「九」、平2年直法2-1「十九」、平10年課法2-17「二十六」、平11年課法2-9「二十八」、平14年課法2-1「三十一」、平15年課法2-7「三十四」、平17年課法2-14「十七」、平22年課法2-7「十五」、平23年課法2-17「二十六」、平26年課法2-6「十五」、平28年課法2-11「ニ十一」、平29年課法2-17「二十一」、平30年課法2-12「十八」、令4年課法2−14「二十七」により改正)

(換算差損を計上した場合の海外投資等損失準備金の取崩し)

55-16 法人が海外投資等損失準備金を積み立てている場合において、当該積立てに係る特定法人の株式等で外貨建てのものにつき当該事業年度終了の時において令第122条の3の規定により換算を行ったため換算差損が生じたときは、当該海外投資等損失準備金の金額のうち、当該換算差損の金額に相当する金額を取り崩して益金の額に算入するものとする。(昭50年直法2-21「28」により追加、昭51年直法2-39「19」、昭53年直法2-24「21」、昭55年直法2-15「九」、昭58年直法2-11「十二」、平2年直法2-1「十九」、平10年課法2-17「二十六」、平11年課法2-9「二十八」、平12年課法2-19「十三」、平14年課法2-1「三十一」、平15年課法2-7「三十四」、平26年課法2-6「十五」により改正)