(収用等の場合の課税の特例相互間の適用関係)

68の73−1 措置法の規定による収用等の場合の課税の特例には、圧縮記帳等の特例(措置法第68条の70から第68条の72まで)及び5,000万円損金算入の特例(措置法第68の73の規定による5,000万円の損金算入の特例をいう。以下同じ。)があるが、これらの特例相互間の適用関係は次のとおりである。(平16年課法2−14「二十四」、平27年課法2−8「二十六」、令3年課法2-31「九」により改正)

収用等の場合の課税の特例相互間の適用関係の図

(5,000万円損金算入の特例と圧縮記帳等の特例との適用関係)

68の73−2 連結親法人又は当該連結親法人による連結完全支配関係にある連結子法人が、同一連結事業年度のうち同一の年に属する期間中に収用換地等により譲渡した資産のうちに、例えば最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までに譲渡した資産と同日後に譲渡した資産とがあるなど、5,000万円損金算入の特例の適用が受けられる資産と受けられない資産とがある場合において、その受けられる資産につき5,000万円損金算入の特例の適用を受けたときは、5,000万円損金算入の特例の適用が受けられない資産については、圧縮記帳又は特別勘定経理の特例の適用はないことに留意する。(平16年課法2−14「二十四」、令3年課法2-31「九」により改正)

(注)

1 措置法第68条の72第1項に係る措置法第65条第1項第3号から第7号までに掲げる場合に該当する資産の譲渡をした場合において、換地処分等により取得したこれらの号に規定する資産については、他の収用換地等された資産についての5,000万円損金算入の特例の適用の有無に関係なく、圧縮記帳の特例だけが適用される。

2 連結法人が連結事業年度内において譲渡をした資産については、当該連結法人との間に連結完全支配関係がある他の連結法人が当該譲渡をした日と同一年中の日に他の譲渡をした資産について当該他の譲渡をした日を含む連結事業年度の連結所得の金額の計算において措置法第68条の70から第68条の72までの規定(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度の所得の金額の計算において措置法第64条から第65条までの規定)の適用を受けた又は受けるかどうかにかかわらず、圧縮記帳等の特例と5,000万円の損金算入の特例とのいずれかを選択をすることができる。

(年又は連結事業年度を異にする2以上の譲渡等があった場合)

68の73−3 措置法第68条の73第1項に規定する5,000万円の額は、連結法人ごとの年を通ずる損金算入限度額であるから、次の場合における損金算入額の計算は、それぞれ次によることに留意する。

(1) 5,000万円損金算入の特例の適用を受けることができる譲渡等が1連結事業年度中に2以上あり、かつ、これらの譲渡等が年を異にして行われたときは、各年に行われた譲渡等についてそれぞれ5,000万円を限度として同条第1項の規定により損金の額に算入することができる。

(2) 5,000万円損金算入の特例の適用を受けることができる譲渡等が同一年中に2以上あり、かつ、これらの譲渡等が連結事業年度を異にして行われたときは、当該連結事業年度において損金の額に算入することができる金額は、5,000万円から当該連結事業年度前の各連結事業年度(当該年において終了したものに限る。)において措置法第68条の73第1項の規定により損金の額に算入した金額の合計額(当該年中における譲渡等に係る部分の金額に限る。)を控除した金額を基礎として計算する。

(例)

年又は連結事業年度を異にする2以上の譲渡等があった場合の図

(適格合併等により引継ぎを受けた特別勘定に係る圧縮記帳と 5,000万円損金算入との適用関係)

68の73−4 措置法第68条の71第5項の規定に基づき引継ぎを受けた特別勘定を設けている合併法人等(同項に規定する合併法人等をいう。以下同じ。)が、当該特別勘定につき同条第8項又は第9項の規定により圧縮記帳を行う場合であっても、当該特別勘定の基礎となった収用換地等による譲渡は被合併法人等(被合併法人、分割法人又は現物出資法人をいう。)が行ったものであることから、当該被合併法人等が行った当該譲渡と同一の年に属する期間中に合併法人等が自ら行った収用換地等による譲渡については措置法第68条の73第1項の規定による5,000万円損金算入の特例の適用を受けることができることに留意する。(平22年課法2−7「三十二」により改正)

(他の連結法人が5,000万円損金算入の特例を受けた場合の適用関係)

68の73−5 措置法第68条の73第1項に規定する5,000万円の額は、連結法人ごとの年を通ずる損金算入限度額であるから、仮に、当該連結法人と連結完全支配関係を有する他の連結法人が同項の規定の適用対象となる収用換地等による譲渡を行ったことにより、連結所得の金額の計算上、同項の規定による5,000万円損金算入の特例の適用を受けている場合であっても、当該連結法人が当該他の連結法人が行った譲渡等の日と同一年中の日に同項の規定の適用の対象となる収用換地等による譲渡を行ったときには、同項に規定する5,000万円を限度として同項の規定の適用があることに留意する。
 同条第2項又は第7項の5,000万円損金算入の特例についても、同様とする。

(注)

1 当該連結法人及び当該他の連結法人が適用を受けた、又は適用を受ける5,000万円損金算入の特例に係る損金算入額の合計額については、措置法第68条の77の規定の適用がある。

2 5,000万円損金算入の特例による損金算入限度額の計算上5,000万円から控除することとなる金額は、同一の年に属する期間中の収用換地等につき措置法第68条の77の規定(同法第65条の6の規定を含む。)の適用を受けたかどうかにかかわらず、当該収用換地等につき既に措置法第68条の73の規定(同法第65条の2の規定を含む。)により計算した損金算入額となる。

(補償金の支払請求等の時期)

68の73−6 資産の収用換地等による譲渡につき土地収用法の規定による仲裁の申請に基づき仲裁判断があった場合若しくは補償金の支払の請求があった場合又は農地法の規定による転用等の許可を受けなければならない場合若しくは同法第5条第1項第7号の規定による届出をする場合には、その譲渡が最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までにされないときであっても、5,000万円損金算入の特例の適用があるが、この特例は、仲裁の申請若しくは補償金の支払請求又は農地の転用等の許可申請若しくは届出書の提出が最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までにされなかった場合には適用がないことに留意する。(平21年課法2−5「十九」、令2年課法2−17「二十四」により改正)

(補償金の支払請求があった土地の上にある建物等の譲渡期間)

68の73−7 土地収用法の規定により補償金の支払の請求ができる資産は、土地及び土地に関する所有権以外の権利に限られているが、これらの資産につき最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までに補償金の支払の請求があった場合には、これらの資産の上にある建物等の収用換地等による譲渡についても措置法第68条の73第3項第1号括弧書に規定する「土地収用法第46条の2第1項の規定による補償金の支払の請求があった場合」に準じて取り扱う。(平23年課法2−17「三十三」により改正)

(団体漁業権等の消滅等があった場合の譲渡期間)

68の73−8 漁業協同組合又は漁業協同組合連合会(以下68の73−8において「組合等」という。)が有する団体漁業権又は入漁権(以下68の73−8において「団体漁業権等」という。)の消滅又は価値の減少(以下68の73−8において「消滅等」という。)により組合等の組合員で連結法人であるものが措置法第68条の73第1項に係る措置法第64条第1項第7号に掲げる補償金又は対価(以下68の73−8において「補償金等」という。)を取得する場合における措置法第68条の73第3項第1号の規定の適用については、団体漁業権等につき同号に規定する公共事業施行者から組合等に対して最初に買取り等の申出があった日から6月を経過した日後において当該組合員の組合員行使権(漁業法第105条に規定する組合員行使権をいい、当該買取り等の申出の対象となった団体漁業権等に係るものに限る。以下68 の73−8において同じ。)の消滅等に伴う補償金等の額が確定した場合であっても、当該公共事業施行者と当該組合等の間で締結された当該団体漁業権等の消滅等に関する契約の効力が最初に買取り等の申出があった日から6月を経過した日までに生じているときは、当該組合員の組合員行使権の収用換地等による譲渡は、最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までにされているものとして取り扱う。(令3年課法2-31「九」により改正)

(注) 組合等が有する団体漁業権等の消滅等により、当該組合等の組合員で連結法人であるものがその組合員行使権の消滅等に伴って取得する補償金等については、当該組合員に対する配分額が確定した日を含む連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の益金の額に算入することに留意する。

(許可を要しないこととなった日の意義)

68の73−9 措置法令第39条の101第4項第3号の場合において、農地又は採草放牧地(以下68の73−11までにおいて「農地等」という。)の譲渡につき農地法第5条第1項の規定による許可の申請をした日後に当該許可を要しないこととなったときにおける同号に規定する「その要しないこととなった日」とは、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる日によるものとする。(平16年課法2−14「二十四」、平21年課法2−5「十九」、平28年課法2−11「三十一」、令2年課法2−17「二十四」により改正)

(1) 当該許可前に当該農地等の所在する地域が都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域に該当することになったことに伴い農地法第5条第1項第7号の規定による届出をし、当該届出が受理されたこと 当該受理の日

(2) 農地法施行規則第53条第12号に掲げる都道府県以外の地方公共団体、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、土地開発公社、独立行政法人中小企業基盤整備機構又は同規則第29条第14号の規定により農林水産大臣が指定する法人(以下「指定法人」という。)が当該農地等を買い取る場合において、当該許可前に当該農地等の所在する地域が都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域(指定法人にあっては同号に規定する指定計画に係る市街化区域)に該当することとなったこと 当該市街化区域に関する都市計画の決定に係る告示があった日

(最初に買取り等の申出を受けた者以外の連結法人による譲渡)

68の73−10 現物出資法人又は現物分配法人が最初に買取り等の申出を受けた場合において、現物出資又は現物分配によりその資産の移転を受けた連結法人である被現物出資法人又は被現物分配法人が収用換地等による譲渡をしたときは、当該譲渡は、最初に買取り等の申出を受けた者以外の連結法人による譲渡に該当することから、当該現物出資又は現物分配が適格現物出資又は適格現物分配に該当するかどうかにかかわらず、当該譲渡につき措置法第68条の73第1項の規定の適用はないことに留意する。(平22年課法2−7「三十二」により改正)

(注) 適格合併又は適格分割があった場合の同項の規定の適用については、同条第3項第3号の規定によるのであるから留意する。

(一の収用換地等に係る事業につき譲渡した資産のうちに農地等とその他の資産がある場合の譲渡の時期の特例)

68の73−11 一の収用換地等に係る事業につき譲渡した資産のうちに農地法の規定による転用等の許可を受けなければならない農地等とその他の資産とがあり、これらの資産の収用換地等による譲渡が2以上の年にわたって行われた場合において、その他の資産の収用換地等による譲渡が行われた年にその農地等につき譲渡に関する契約が締結されており、かつ、その年にその農地等の収用換地等による譲渡があったものとして申告したときは、その農地等はその年において収用換地等による譲渡があったものとして取り扱う。

(一の収用換地等に係る事業につき譲渡した資産のうちに権利取得裁決による譲渡資産と明渡裁決による譲渡資産とがある場合の譲渡の時期の特例)

68の73−12 一の収用換地等に係る事業につき譲渡した資産のうちに土地(土地に関する所有権以外の権利を含む。以下68の73−12において同じ。)とその土地の上にある建物等とがあり、その土地の譲渡は権利取得裁決により、その建物等の譲渡は明渡裁決により行われたため、これらの資産の譲渡が2以上の年にわたった場合において、その建物等につき権利取得裁決前に明渡裁決の申立てをしており、かつ、その土地の譲渡があった年にその建物等の譲渡があったものとして申告したときは、その建物等はその年において収用等による譲渡があったものとして取り扱う。

(関連事業)

68の73−13 土地収用法第16条に規定する関連事業は、本体事業から独立した別個の事業ではなく、本体事業に付随する事業として、本体事業とともに措置法第68条の73第3項第2号に規定する「一の収用換地等に係る事業」に該当することに留意する。

(事業計画の変更等があった場合の一の収用換地等に係る事業の判定)

68の73−14 一の収用換地等に係る事業が次に掲げる場合に該当する場合において、その事業の施行につき合理的と認められる事情があるときは、次に掲げる地域ごとにそれぞれ別個の事業として措置法第68条の73第3項第2号の規定を適用するものとする。

(1) 事業の施行地について計画変更があり、当該変更に伴い拡張された部分の地域について事業を施行する場合 当該変更前の地域と当該変更に伴い拡張された部分の地域

(注) この取扱いは、一の収用換地等に係る事業の施行地の変更前において当該変更前の地域にある資産を当該事業のために譲渡した連結法人が、当該変更後において当該変更に伴い拡張された部分の地域にある資産を当該事業のために譲渡する場合に限って適用があることに留意する。

(2) 事業を施行する営業所、事務所その他の事業場が2以上あり、当該事業場ごとに地域を区分して事業を施行する場合 当該区分された地域

(3) 事業が1期工事、2期工事等と地域を区分して計画されており、当該計画に従って当該地域ごとに時期を異にして事業を施行する場合 当該区分された地域

(信託財産に属する資産の譲渡への適用)

68の73−15 受益者等課税信託(法第12条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下68の73−15において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。)の信託財産に属する資産について措置法第68条の73第1項に規定する収用換地等による譲渡があった場合における同条の規定の適用に当たっては、次に掲げる事項は、それぞれ次によることに留意する。(平19年課法2−5「六」により追加)

(1) 同条第3項第1号に掲げる「最初に当該申出のあった日」とは、当該受益者等課税信託の受託者が、同号の公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出を受けた日をいう。

(2) 同項第2号に規定する「一の収用換地等に係る事業につき前二項に規定する資産の収用換地等による譲渡が二以上あった場合」に該当するかどうかは、当該受益者等課税信託の受益者等である連結法人が有するものとみなされる当該信託財産に属する資産の譲渡とそれ以外の資産の譲渡とを通じて判定する。

(3) 当該収用換地等による譲渡の時における当該信託財産に属する資産の譲渡をした当該連結法人が、当該信託財産に属する資産につき最初に買取り等の申出を受けた時における当該受益者等課税信託の受益者等以外の者である場合(同項第3号イ又はロに掲げる場合に該当するときを除く。)には、同号の規定に該当することとなる。

(買取り等の申出証明書の発行者)

68の73−16 公共事業施行者の買取り等の申出に関する事務に従事した者がその公共事業施行者の本店又は主たる事務所以外の営業所、事務所その他の事業場に勤務するものである場合には、保存する「買取り等の申出があったことを証する書類」は、当該営業所、事務所その他の事業場の長が発行したものによることができるものとする。(平19年課法2−5「六」、平30年課法2−12「二十二」により改正)

(代行買収における証明書の発行者)

68の73−17 措置法第68条の73第1項の規定の適用に当たって、措置法規則第14条第5項第2号から第4号の2まで、第4号の5から第5号まで、第5号の12、第5号の13、第8号又は第11号の規定により、事業の施行者に代わり、事業の施行者以外の者(以下「代行買収者」という。)が資産の買取り等をする場合には、措置法規則第22条の65第3項第1号又は第2号に規定する「買取り等の申出があったことを証する書類」又は「買取り等があったことを証する書類」は当該資産の買取り等の申出又は買取り等をした代行買収者が発行するのであるが、措置法規則第14条第5項第2号から第4号の2まで、第4号の5から第5号まで、第5号の12、第5号の13、第8号又は第11号に規定する証明書は、これらの規定に規定する者が発行することに留意する。(平16年課法2−14「二十四」、平19年課法2−5「六」、平27年課法2−8「二十六」、平29年課法2−17「二十八」、令元年課法2−10「二十五」により改正)

(仲裁判断等があった場合の証明書類)

68の73−18 措置法規則第22条の65第3項第2号に規定する「当該買取り等につき施行令第39条の101第4項各号に掲げるいずれかに該当する場合」の「その旨を証する書類」とは、例えば、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次のものをいうのであるが、措置法規則第22条の65第3項第2号に規定する「公共事業施行者の買取り等の年月日及び当該買取り等に係る資産の明細を記載した買取り等があったことを証する書類」にそれぞれ次の(1)から(4)までの括弧書の日が記載されている場合で、当該書類を保存しているときには、措置法第68条の73の規定の適用がある。(平19年課法2−5「六」、平23年課法2−17「三十三」、平30年課法2−12「二十二」により改正)

(1) 土地収用法の規定による仲裁判断があった場合 仲裁判断書の写し(仲裁の申請をした日及び仲裁判断のあった日)

(2) 補償金の支払請求があった場合 収用裁決書の写し(補償金の支払の請求をした日)

(3) 農地法の規定による許可を受けなければならない場合 許可申請書の写し(申請をした日及び許可があった日又は許可を要しなくなった日)

(4) 農地法の規定による届出をする場合 受理通知書の写し(届出書を提出した日及び受理した日)