(造成費の支出がある場合の譲渡土地等の帳簿価額の累計額の計算)

68の69(4)−1 措置法令第39条の98第4項の規定により読み替えて準用される措置法令第39条の97第5項第1号ロ又はハに定める金額(以下「帳簿価額の累計額」という。)については、同号に規定する保有期間の中途にその土地等につき造成費等の支出があった場合においても、その支出の日にかかわらず、同号ロ(1)に規定する各連結事業年度の終了の日又は当該土地等の譲渡の日における当該土地等の帳簿価額に基づいて計算することに留意する。

(期末帳簿価額についての見積計算の不適用)

68の69(4)−2 措置法令第39条の98第4項の規定により読み替えて準用される措置法令第39条の97第5項第1号ロ(1)の金額の計算の基礎となる保有期間内に終了した各連結事業年度終了の日の原価の額として計算されることとなる金額は、当該土地等につき各連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)に支出した利子の額以外の金額で土地等の取得価額に算入すべき金額によるものとする。

(注)

  1. 1 発生した費用につき、連結法人が未払金として経理した金額及び手形による支払額も支出した金額に含まれる。
  2. 2 一団の宅地に属する土地等を譲渡した場合において、当該譲渡をした連結事業年度における同号ロ(2)又はハの原価の額は、68の69(3)−4により計算した金額による。

(土地等の帳簿価額の累計額の計算の特例)

68の69(4)−3 一の事業計画に係る一団の宅地に属する土地等の取得又は譲渡がおおむね当該連結事業年度に含まれる各月にわたって行われており、かつ、その取得又は譲渡が相当数に上る場合には、当該連結事業年度中に取得し又は譲渡した当該土地等の全てについて、当該連結事業年度の期央に取得し又は譲渡があったものとして帳簿価額の累計額を計算することができるものとする。(平23年課法2−17「三十一」により改正)

(一団の宅地に属する土地等についての帳簿価額の累計額の計算)

68の69(4)−4 連結法人が一団の宅地に属する土地等の一部の譲渡をした場合における帳簿価額の累計額は、当該譲渡をした土地等につきその取得時期の異なるものごとに計算するのであるが、例えば、次の(1)に掲げる金額に(2)に掲げる割合を乗じて計算した金額と(3)に掲げる金額との合計額によることでも差し支えない。(平23年課法2−17「三十一」により改正)

  1. (1) 当該譲渡をした日を含む連結事業年度の直前の連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)終了の日までの期間につき計算されるその一団の宅地に属する土地等の全てに係る帳簿価額の累計額(既に譲渡された土地等に係る部分の金額を除く。)
  2. (2) 分譲総予定面積(既に譲渡された土地等の面積を除く。)のうちに占める当該譲渡をした土地等の面積の割合
  3. (3) 当該譲渡をした土地等につき68の69(3)−4により計算される譲渡原価の額に当該譲渡をした日を含む連結事業年度の保有期間の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額

(注) (2)の割合は、分譲(予定)価額を基礎として計算することができる。

(概算法による場合の譲渡経費)

68の69(4)−5 連結法人が販売費及び一般管理費の額の計算につき概算法(措置法令第39条の98第4項の規定により読み替えて準用される措置法令第39条の97第5項の規定の適用を受ける場合におけるその計算方法をいう。以下同じ。)による場合には、たとえその土地等の譲渡のために直接要した仲介手数料、広告費等の額が明らかであっても、概算法により計算した金額以外にこれらの金額を別途に控除することはできないことに留意する。

(仲介行為の場合における保有期間)

68の69(4)−6 連結法人が仲介行為をした場合における当該土地等の措置法令第39条の98第4項の規定により読み替えて準用される措置法令第39条の97第5項第1号に規定する保有期間は、1日として取り扱う。

(売主及び買主の双方から報酬を受ける場合の概算法による経費の計算)

68の69(4)−7 連結法人が、土地等の売買又は交換の媒介の行為をし、その当事者の双方から報酬を受けた場合において、そのいずれもが短期重課対象報酬に該当するときは、当該報酬の合計額から控除される概算法による経費の額は、一の仲介行為があったものとして措置法令第39条の98第3項の規定により準用される措置法令第39条の97第2項第1号に規定する仲介取引額に措置法令第39条の98第4項の規定により読み替えて準用される措置法令第39条の97第5項各号に規定する割合を乗じて計算した金額とする。
 当事者の一方から受ける報酬だけが短期重課対象報酬に該当する場合も同様とする。

(実額配賦法による場合の経費の範囲)

68の69(4)−8 連結法人が、措置法令第39条の98第4項の規定により読み替えて準用される措置法令第39条の97第5項第2号に掲げる金額に係る経費の額の計算につき実額配賦法(措置法令第39条の98第4項の規定により準用される措置法令第39条の97第7項の規定の適用を受ける場合におけるその計算方法をいう。以下同じ。)を選定する場合において、当該経費の額は、販売費及び一般管理費に限られるのであるから、企業会計上営業外費用又は損失とされるものの額は、これに含まれないことに留意する。ただし、短期所有土地等の譲渡に係る未収金の貸倒損、当該短期所有土地等の災害等による異常損失で原価外で処理したもの等当該短期所有土地等に係る損失の額は、その発生した連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)における販売費及び一般管理費とする。

(譲渡に伴う建物等の取壊損失)

68の69(4)−9 土地等の上にある建物その他の資産について、当該土地等の譲渡のため又は当該譲渡に関する契約の一環として取壊し又は除去を要する場合には、当該取壊し又は除去により生ずる損失の額は、販売費及び一般管理費とする。

(引当金)

68の69(4)−10 法の規定による引当金の繰入額に係る実額配賦法の計算の基礎となる金額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上損金の額に算入される金額から益金の額に算入すべき金額を控除した金額(当該金額がマイナスとなる場合には、ゼロとする。)によるものとする。(平26年課法2−6「二十六」により改正)

(原価算入について弾力的処理ができる費用を原価外で処理している場合)

68の69(4)−11 連結法人が原価性を有する費用で連結所得の金額の計算上土地等の原価の額に含めないことができることとされているものを原価外で処理している場合には、当該土地等の帳簿価額につきその費用の額を加算する修正はできないものとするが、当該費用の額は、実額配賦法の計算の基礎となる支払利子又は販売費及び一般管理費の額に含めることができるものとする。

(所得計算上損金の額に算入されない費用)

68の69(4)−12 法及び措置法の規定により連結法人の連結所得の金額の計算上損金の額に算入されない金額は、措置法令第39条の98第4項の規定により準用される措置法令第39条の97第7項の規定により、実額配賦法の計算の基礎となる販売費及び一般管理費の額に含まれないのであるが、当該損金の額に算入されない金額のうちに土地等の帳簿価額に含まれているものがあるときは、その含まれている金額は、当該土地等の帳簿価額から控除する。

(注) 当該連結法人に係る交際費等の損金不算入額又は寄附金の損金算入限度超過額のうち土地等の帳簿価額に含まれている金額は、当該連結事業年度において支出した交際費等の金額又は寄附金の金額のうちに占める当該土地等の帳簿価額に含まれているこれらの経費の金額の割合により計算することができる。

(土地等の贈与による寄附金)

68の69(4)−13 連結法人が支出する土地等の贈与による寄附金の額(損金の額に算入されない金額を除く。以下同じ。)については、資産の取得価額に算入されるものを除き一般管理費に該当するから、その土地の譲渡等に直接配賦するのではなく、一般の寄附金の額に含めて土地の譲渡等に係る部分の額を配賦することに留意する。

(売上割引)

68の69(4)−14 連結法人が土地等の譲渡をした日を含む連結事業年度において支出した当該土地等の譲渡に係る売上割引の額は、実額配賦法の計算の基礎となる販売費及び一般管理費の額に含めることができるものとする。

(圧縮記帳による圧縮額等)

68の69(4)−15 圧縮記帳による圧縮額及び措置法の規定による準備金(措置法第68条の41に規定する特別償却準備金を含む。)の積立額は、実額配賦法の計算の基礎となる販売費及び一般管理費には含まれず、営業外費用に該当するものとする。

(実額配賦法による場合の販売費及び一般管理費の計算方法)

68の69(4)−16 連結法人が販売費及び一般管理費を実額配賦法により計算する場合における配賦基準は、原則として個々の費用ごとにその性質、態様等に応じて合理的に定めるものとするが、費用の性質、態様等がおおむね類似するものは、一括して同様の配賦基準によることとしても差し支えないものとする。その具体的な計算に当たっては、次のことに留意する。

  1. (1) 土地の譲渡等に係る部門において発生した費用のうち、個々の土地の譲渡等に直接要した費用の額は当該土地の譲渡等に係る経費の額として直接配賦し、共通的に要した費用の額は合理的な基準により当該土地の譲渡等に係る部分を配賦すること。
  2. (2) 連結法人の各部門に共通的に要した費用の額は、まず当該費用の額のうち土地の譲渡等に係る部門に対応する部分の金額を合理的な基準により当該部門に配賦し、次に当該対応する部分の金額を(1)の共通的に要した費用の額として配賦すること。

(注) 固定資産である土地等(賃貸資産を除く。)については維持管理に直接要した費用だけを配賦し、その他の一般管理費は配賦しないことができる。

(実額配賦法による場合の支払利子の計算方法)

68の69(4)−17 連結法人が支払利子(手形の割引料を含む。以下68の69(4)−17において同じ。)を実額配賦法により計算する場合における配賦基準は、いわゆる総資産あん分の方法によるのであるが、この場合の総資産あん分の方法は、例えば、各連結事業年度ごとに次の算式により計算した金額を当該連結事業年度の土地等に係る支払利子の額として配賦することとする方法によることができる。

(算式)
当該連結事業年度における支払利子の合計額×(C又はD÷(A+B)×1÷2+Cの合計額+Dの合計額)

  • A=当該連結事業年度の直前連結事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度)の終了の日における総資産の帳簿価額から同日における土地等の帳簿価額を控除した金額
  • B=当該連結事業年度終了の日における総資産の帳簿価額から同日における土地等の帳簿価額を控除した金額
  • C=当該連結事業年度中に譲渡した個々の土地等の譲渡原価に当該個々の土地等の当該連結事業年度における保有期間の月数を乗じ、これを当該連結事業年度の月数で除して得た金額
  • D=当該連結事業年度終了の日において有する個々の土地等の同日における帳簿価額に当該個々の土地等の当該連結事業年度における保有期間の月数を乗じ、これを当該連結事業年度の月数で除して得た金額

(仲介行為に係る経費の額)

68の69(4)−18 仲介行為に係る経費の額の計算につき実額配賦法による場合には、当該仲介行為前にその仲介のために直接要した費用の額については、当該仲介行為前に支出したものであっても保有期間に関係なく当該仲介行為に係る経費の額に含まれることに留意する。

(更正決定の場合の経費の計算方法)

68の69(4)−19 措置法第68条の69第1項の適用につき税務署長が決定又は更正をする場合には、同条第2項第2号に規定する経費の額は、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次によることに留意する。(平22年課法2−7「三十」、平26年課法2−6「二十六」により改正)

  1. (1) 決定の場合(連結確定申告書等の提出はしているが、措置法第68条の69第1項に関する事項について申告をしていない場合を含む。) 概算法により計算する。
  2. (2) 更正の場合 連結法人が実額配賦法によっているときは、実額配賦法により計算する。ただし、連結法人の計算が著しく合理性を欠くと認められるときは、概算法により計算する。

(注)

  1. 1 連結法人の各連結事業年度の連結所得の金額(その事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、当該事業年度の所得の金額)の計算の基礎となった費用の額に係る否認金額が多いため、実額配賦法の計算の全体に著しく影響を与えると認められる場合は、著しく合理性を欠く場合に該当する。
  2. 2 計算方法の変更は、通則法第23条に規定する更正の請求の対象とはならない。