直法2-5
昭和60年9月3日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについて、別紙2のとおり全国銀行協会連合会から照会があり、別紙1のとおり回答したから了知されたい。
 なお、昭和46年10月6日付直法2-10「手形割引市場創設に伴う貸倒引当金の取扱いについて」通達は廃止する。


別紙1

直法2-4
昭和60年9月3日

全国銀行協会連合会
 専務理事 星野大造 殿

国税庁長官
梅澤節男

 標題のことについては、貴見のとおり取り扱って差し支えありません。


別紙2

昭60調々第114号
昭和60年7月11日

国税庁長官
 梅澤節男 殿

全国銀行協会連合会
専務理事 星野大造

 昭和60年4月1日付大蔵省銀行局長通達第667号「円建銀行引受手形の取扱いについて」に基づき、本年6月1日より貿易関連の円建銀行引受手形を売買対象とする円建銀行引受手形市場が発足いたしました。
 同市場で売買される手形は同通達に基づき信用状付円建貿易手形、アコモデーション手形、輸入決済関係手形(直ハネ手形)、リファイナンス手形及びこれらの手形を担保とする表紙手形とされておりますが、金融機関が市場で取得又は譲渡する手形について、貸倒引当金の対象となる貸金の額を計算する場合には、法人税基本通達11-2-2及び昭和46年10月6日付直法2-10「手形割引市場創設に伴う貸倒引当金の取扱いについて」通達の趣旨に照らし、下記1により取扱われると解して差支えないか貴見をお伺い申し上げます。
 なお、「昭和46年10月6日付直法2-10」通達に係る手形割引市場取引の経理処理については、今回創設された円建銀行引受手形市場における取引の経理処理に合わせるため、下記2のとおり変更することとしておりますので、念のため申し添えます。

1 円建銀行引受手形市場で売買される手形に係る貸倒引当金の取扱いについて

(1) 信用状付円建貿易手形及びリファイナンス手形

イ 信用状付円建貿易手形及びリファイナンス手形を引受けた金融機関がこれらの手形を譲渡した場合には、売渡手形勘定で処理し外国為替勘定と両建経理するが、譲渡される手形は「貸付金債権について取得した手形」であり、既存債権である外国為替勘定は貸倒引当金の対象となる貸金に該当するので、この売渡手形の金額は、貸金の額から控除しない。

ロ 市場でこれらの手形を取得した場合には、買入手形勘定で処理するが、実体は手形割引であるので、この買入手形の金額は、貸倒引当金の対象となる貸金の額に含める。ただし、この買入手形が自己引受手形である場合には貸倒引当金の対象となる貸金の額には含めない。

ハ 市場で取得したこれらの手形を譲渡した場合には、買入手形勘定を引落とすこととするが、この買入手形は既存債権と関係ないものであるので、貸倒引当金の対象とはしない。

(2) アコモデーション手形、輸入決済関係手形(直ハネ手形)及び表紙手形

イ アコモデーション手形、輸入決済関係手形(直ハネ手形)及び表紙手形を引受けた金融機関がこれらの手形を譲渡した場合には、売渡手形勘定で処理するが、譲渡される手形は「金融機関が新規に債務を負うための手形」であり、既存債権の譲渡ではないので、既存債権に係る貸倒引当金の計算には何ら関係がない。

ロ 市場でこれらの手形を取得した場合には、買入手形勘定で処理するが、実体は貸付け又は手形割引であるので、この買入手形の金額は、貸倒引当金の対象となる貸金の額に含める。ただし、この買入手形が自己引受手形又は自己が第1次取得者となっている手形である場合には貸倒引当金の対象となる貸金の額には含めない。

ハ 市場で取得したこれらの手形を譲渡した場合には次による。

(イ) 第1次取得者の転売の場合
 売渡手形勘定で処理し買入手形勘定と両建経理するが、譲渡される手形は、(1)のイと同じく「貸付金債権について取得した手形」であり、既存債権である貸付金債権は貸倒引当金の対象となる貸金に該当するので、この売渡手形の金額は、貸金の額から控除しない。

(ロ) 第2次以降取得者の転売の場合
 買入手形勘定を引落とすこととするが、この買入手形は既存債権と関係のないものであるので、貸倒引当金の対象とはしない。

2 手形割引市場で売買される手形に係る貸倒引当金の取扱いについて

(1) 商業手形(金融機関が割引手形勘定で処理している手形をいう。)

イ 商業手形を割引いた金融機関がその手形を譲渡した場合には、再割引手形勘定で処理し割引手形勘定と両建経理するが、譲渡される手形は「取得の原因が売掛金、貸付金等の既存債権と関係のない手形」であるので、この再割引手形の金額は貸倒引当金の対象となる貸金の額から控除する。

ロ 市場でこの手形を取得した場合には、買入手形勘定で処理するが、実体は手形割引であるので、この買入手形の金額は、貸倒引当金の対象となる貸金の額に含める。

ハ 市場で取得したこの手形を譲渡した場合には、買入手形勘定を引落とすこととするが、この買入手形は既存債権と関係のないものであるので、貸倒引当金の対象とはしない。

(2) 貸付手形(金融機関が手形貸付勘定で処理している手形をいう。)

イ 手形による貸付けを行った金融機関がその手形を譲渡した場合には、売渡手形勘定で処理し手形貸付勘定と両建経理するが、譲渡される手形は「貸付金債権について取得した手形」であり、既存債権である貸付金は貸倒引当金の対象となる貸金に該当するので、この売渡手形の金額は、貸金の額から控除しない。

ロ 市場でこの手形を取得した場合には、買入手形勘定で処理するが、実体は手形割引であるので、この買入手形の金額は、貸倒引当金の対象となる貸金の額に含める。ただし、この買入手形が自己が第一裏書を行っている手形である場合には、貸倒引当金の対象となる貸金の額には含めない。

ハ 市場で取得したこの手形を譲渡した場合には、買入手形勘定を引落とすこととするが、この買入手形は既存債権と関係のないものであるので、貸倒引当金の対象とはしない。

(3) 表紙手形(金融機関が振り出した自己引受の為替手形をいう。)

イ 表紙手形を引受けた金融機関がその手形を譲渡した場合には、売渡手形勘定で処理するが、譲渡される手形は「金融機関が新規に債務を負うための手形」であり、既存債権の譲渡ではないので、既存債権に係る貸倒引当金の計算には何ら関係がない。

ロ 市場でこの手形を取得した場合には、買入手形勘定で処理するが、実体は貸付け又は手形割引であるので、この買入手形の金額は、貸倒引当金の対象となる貸金の額に含める。ただし、この買入手形が自己引受手形又は自己が第1次取得者となっている手形である場合には貸倒引当金の対象となる貸金の額には含めない。

ハ 市場で取得したこの手形を譲渡した場合には次による。

(イ) 第1次取得者の転売の場合
 売渡手形勘定で処理し買入手形勘定と両建経理するが、譲渡される手形は、(2)のイと同じく「貸付金債権について取得した手形」であり、既存債権である貸付金債権は貸倒引当金の対象となる貸金に該当するので、この売渡手形の金額は、貸金の額から控除しない。

(ロ) 第2次以降取得者の転売の場合
買入手形勘定を引落とすこととするが、この買入手形は既存債権と関係のないものであるので、貸倒引当金の対象とはしない。

以上

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円建銀行引受手形市場及び手形割引市場で売買される手形に係る貸倒引当金の取扱いについて

円建銀行引受手形の取扱いについて

円建銀行引受手形の取扱いに関する留意事項について