直法1―152
直所1―62
昭和33年8月4日

国税局長 殿

国税庁長官

 東京穀物商品取引所、大阪穀物取引所、名古屋穀物商品取引所、神戸穀物商品取引所及び小樽商品取引所(以下「商品取引所」という。)は、商品仲買人の倒産により生ずる委託者の貸倒損失を補てんするため、これらの商品取引所が定める委託者保護積立金規程に基いて各商品仲買人から委託者保護積立金として一定の金額の預託を受け、商品仲買人の倒産等により委託者の当該商品仲買人に対して有する債権が貸倒れとなる場合においては、各商品仲買人が共同してその弁済をすることとし、各商品仲買人の委託者保護積立金を取りくずして弁済に充てているのであるが、この委託者保護積立金に対する法人税及び所得税の取扱を下記のとおり定めたから、これによることとされたい。

第1 法人

1 商品仲買人が商品取引所に対して委託者保護積立金として預託する金額は、当該商品取引所に対する預け金として経理すること。従つて、当該預け金は、貸倒準備金勘定の対象となる貸金に算入されないのであるから留意すること。

2 商品仲買人が商品取引所に対して預託している委託者保護積立金について生ずる利息は、当該商品仲買人の益金に算入するのであるから留意すること。

3 商品仲買人の倒産等により、当該商品仲買人が債務を有している委託者のその債務の弁済に充てるため、商品取引所が当該商品仲買人以外の商品仲買人の委託者保護積立金を取りくずした場合においては、その委託者保護積立金を取りくずして弁済に充てた金額は、当該委託者保護積立金を有していた商品仲買人の当該取りくずしの日を含む事業年度の損金に算入すること。

4 商品仲買人の倒産等により、当該商品仲買人が債務を有している委託者のその債務の弁済に充てるため、商品取引所が当該倒産等をした商品仲買人の委託者保護積立金を取りくずした場合においては、その委託者保護積立金を取りくずして弁済に充てた金額は、当該倒産等をした商品仲買人が商品取引所から委託者保護積立金の返還を受け、これをもつて当該委託者に対する債務を弁済したものとするのであるから留意すること。

5 商品仲買人の倒産等により、当該倒産等をした商品仲買人の有する債務の弁済のために他の商品仲買人の委託者保護積立金の取りくずしがあつた場合においては、当該倒産等をした商品仲買人については、弁済に充てられた金額に相当する債務が消滅するので、その金額に相当する金額を弁済のあつた日を含む事業年度の益金に算入するのであるから留意すること。

6 商品仲買人の倒産等により、当該商品仲買人に対して債権を有する委託者が商品取引所から委託者保護積立金を取りくずして支払を受けた金額は、当該商品仲買人に対する債権について弁済された金額とすること。

第2 個人

 個人である商品仲買人の委託者保護積立金に対する所得税の取扱についても、第1の法人の取扱方に準じて取り扱うものとすること。この場合において、第1の法人に関する取扱通達中「益金」とあるのは「総収入金額」と、「事業年度」とあるのは「年」と、「損金」とあるのは「必要経費」と、それぞれ読み替えるものとすること。
 なお、個人である商品仲買人の第1の2に掲げる委託者保護積立金について生じた利息及び個人である倒産した商品仲買人の第1の5に掲げる他の商品仲買人の委託者保護積立金を取りくずして委託者に対して負担する債務の弁済を受けたことによる利益(弁済された金額)は、それぞれその個人である商品仲買人又は倒産した商品仲買人の事業所得の総収入金額に属するものとして取り扱うものとすること。