国協178
直法1―165
昭和29年9月15日

国税局長 殿

国税庁長官

標題のことについて熊本国税局協議団本部長から別紙のとおり上申があつたが、これについては、乙説によることとし、左記の点に留意のうえその取扱に遺憾のないようにされたい。

1 同族会社の代表者等に対する仮払金(貸付金を含む。以下同じ。)について認定利息を計算することは当然であるが、当該計算に当つては、進んで複利計算によるようなことはしないで、元本である仮払金についてだけ利息を認定することとし、認定利息の集積額については、利息を認定しないものとすること。ただし当該利息を元本に繰り入れた場合または元本についてだけ返済があり、利息について未収のまま放置している場合等特に課税上弊害があると認められるときには、この限りでないこと。

2 代表者等からのもどし入額について、元本である仮払金または未収利息のいずれに充当するかは、会社計算によるものとすること。

別紙

熊協420
昭和29年8月6日

国税庁協議団本部長 殿

熊本国税局協議団本部長

 同族会社が昭和23年事業年度の調査の際売上脱洩があつたので、法人は翌期においてこれを借方社長仮払勘定、貸方雑収入として受入れ、賞与処分を留保処分に訂正した。その後の事業年度毎に法人は社長仮払に対して認定利息を計算し、その金額を社長仮勘定に加算せず、別科目の未収金勘定で社内留保を行つて現在に至つた。
 この場合、仮払金に対する認定利息を、借方未収金勘定、貸方受取利息で留保した金額の累積されたものも、当然認定利息を課税すべきであると認むべきか否かについて、下記のとおり甲説乙説があるので御指示を仰ぎたく上申いたします。
 なお、乙説を相当と認むる場合は、社長よりの戻入があつた場合、仮払金と未収金の何れより減少させるべきかについても御指示を願います。

甲説
同族会社が認定利息相当額を未収金とした事実は、社長に対する認定利息の源泉所得税負担を回避せんとするものであり、社長仮払金と何等異なるものでなく認定利息相当額を借方社長仮払金貸方雑収入としている事実とを比較して未収金という勘定のみを以て、認定利息を計算しないことは、結果的に見て、法人税負担を不当に減少させる結果となり、課税の公平の実現上、同族会社の行為否認として課税すべきである。

乙説
同族会社の行為否認として、認定利息を計算することは当然であるが、その認定利息の集積された未収金の残高に対して、更に認定利息を課税することは、所謂重利であり、過酷であるから、無理に課税すべきではない。