徴管2−33
直資2−9
直審(資)2
昭和44年3月31日

国税局長 殿

国税庁長官

 標題のことについて、大阪国税局長から別紙2のとおり上申があり、別紙1のとおり回答したから了知されたい。


別紙1

徴管2−33
直資2−9
直審(資)2
昭和44年3月31日

大阪国税局長 殿

国税庁長官

 標題については下記により取扱われたい。

 未分割遺産が共同相続人等の協議により分割されたことに基づく相続税額の減額更正の効果は、その相続税が確定した当初にそ及するものと解すべきである。したがって、納付すべき相続税額を計算の基礎として課する相続税の附帯税(加算税、利子税および延滞税)についても当然に減額を要することになる。
 なお、上記により相続税の附帯税について減額を行なった場合において、その減額部分の附帯税を他の相続人等にいわゆる賦課換えを行なうことについては、遺産取得者課税方式を採用している現行相続税法のもとではできないものと解するのが妥当であるから申し添える。


別紙2

徴管(決)第413号
大局
直資(相)第424号
昭和43年11月20日

国税庁長官 殿

大阪国税局長

 標題のことについて、下記のとおり甲、乙の両説があり取扱いに疑義があるので、なにぶんの指示を願いたい。
 なお、当局の見解としては、乙説が妥当であると考えている。

1 甲説

 減額更正により減額した部分の納税義務は、通常の更正の効力と同様当初にさかのぼり消滅するので、既に課した附帯税(加算税、利子税および延滞税をいう。以下同じ)は改算し減額する。

(理由)

(1) 減額更正によって納税義務および附帯税に及ぼす効力は、法律上特別の規定がないから他の事由による更正と同一である。

(2) 国税通則法第58条第5項および同令第24条の還付加算金の規定には協議分割による更正を含み、かつ、その附帯税の過納を含むこととしていることから類推して、納税義務は当初にさかのぼり消滅する。

2 乙説

 更正により減少した部分の納税義務は、その更正事由の特質等から更正までは存続していると認め、既に課した附帯税は減額しない。

(理由)

(1) 相続税の課税は取得者課税を建前としながら、未分割遺産につき分割確定まで課税を留保することは、相続財産のは握、納税手続きおよび税負担の公平等について問題が生ずるので、未分割遺産に対する課税が規定されていると認識している。

(2) 相続税法第55条(未分割遺産に対する課税)は、協議分割に基づく更正請求または更正等を妨げないとしていることから、通常の更正請求または更正の規定による取消しとは異なり、課税にかしあるものではなく前記(1)の認識から課税の撤回であり、将来に向ってのみ効力を生ずる。

(3) 相続税法第51条(延滞税の特則)第2項各号のロにおいて、増額分の延滞税の徴収始期が当初にさかのぼることとしていないので、相続人間において求償権の問題が生ずるとしても不合理はない。

(4) 更正請求しうる協議分割の時期について制限のない現行規定において、その更正請求の有無、または協議分割の時期により税負担の不公平が生ずる不合理がある。