徴徴4−5
徴管2−54
平成15年7月2日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、下記のとおり定めたから、今後は、これにより適切に取り扱われたい。

(理由)
 法人税法等の一部を改正する法律(平成14年法律第79号)により法人税法(昭和40年法律第34号)第81条の28(連結子法人の連帯納付の責任)が新設されたことに伴い、同条の規定による法人税の徴収に当たって留意すべき事項を定めるものである。

1 連結子法人の連帯納付の責任

 法人税法第2条第12号の7の3に規定する連結子法人(以下「連結子法人」という。)は、同条第12号の7の2に規定する連結親法人(以下「連結親法人」という。)の各連結事業年度(同法第15条の2)の連結所得(同法第81条の2)に係る法人税(以下「連結法人税」という。)について、連帯納付の責任(以下「連帯納付責任」という。)を負う。
 ただし、連結子法人が連帯納付責任を負う連結法人税は、当該連結子法人がその連結親法人との間に同法第2条第12号の7の5に規定する連結完全支配関係がある期間内に納税義務が成立したものに限られる(同法第81条の28第1項かっこ書)。また、連結法人税の納税義務が成立したときに連結子法人であった法人について、その後、法人税法第4条の5第1項若しくは第2項の規定による連結納税の承認の取消し若しくはみなし取消し又は同条第3項の規定による連結納税の適用の取りやめ承認があったとしても、これらの事由によって当該法人の負う当該連結法人税についての連帯納付責任が消滅することはない。

(注) 連結子法人が負う連結法人税についての連帯納付責任については、限度が設けられていない。したがって、連結子法人は、連結事業年度中の所得の有無等にかかわらず、連結法人税の全額について、連帯納付責任を負う。

2 納税者

 国税通則法(昭和37年法律第66号)第2条第5号及び国税徴収法(昭和34年法律第147号)第2条第6号に規定する「納税者」には、法人税法第81条の28第1項の規定による連帯納付責任を負う法人(以下「連帯納付責任者」という。)が含まれる。

3 連帯納付責任の確定手続

 連帯納付責任は、連結法人税の納税義務の確定という事実に照応して、法律上当然に生ずるものであり、その連帯納付責任につき格別の確定手続を要しない(最高裁昭和55年7月1日第三小法廷判決・民集34巻4号535頁参照)。

4 徴収の所轄庁

 連結親法人から連結法人税を徴収する場合の徴収の所轄庁は、その徴収に係る処分の際における連結法人税の納税地を所轄する税務署長であり、連帯納付責任者から連結法人税を徴収する場合の徴収の所轄庁は、その徴収に係る処分の際における連結法人税の納税地を所轄する税務署長と当該連帯納付責任者の本店又は主たる事務所の所在地(以下「本店等所在地」という。)を所轄する税務署長である(法人税法第81条の28第2項参照)。

5 連帯納付責任者に対する督促

(1) 督促
 連結法人税を連帯納付責任者の財産から徴収しようとするときは、当該連帯納付責任者に対して、督促状により督促をしなければならない(国税通則法第37条第1項)。

(注) 連帯納付責任者に対する繰上請求は、連結親法人に対し、連結法人税についての繰上請求を行っており、かつ、当該連帯納付責任者について繰上請求事由がある場合にのみ行うものとする。

(2) 督促状の記載
 連帯納付責任者に対する督促状には、連結法人税の納税地、連結親法人の名称、及び徴収しようとする連結法人税が法人税法第81条の28第1項の規定により連結親法人と連帯して納付すべきものである旨を、適宜の箇所に記載するものとする。

6 滞納処分

 連帯納付責任者は、連結親法人に対する滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合に限って連帯納付責任を負うものではない。したがって、連帯納付責任者に対する連結法人税の徴収手続は、連結親法人に対する連結法人税の徴収手続に先行して行うことができる。ただし、滞納処分の執行に支障又は支障を生ずるおそれがない限り、連結親法人から徴収するよう努めることとする。
なお、連帯納付責任者の本店等所在地を所轄する税務署長が連結法人税を当該連帯納付責任者から徴収しようとする場合において、連結法人税の納税地を所轄する税務署長が当該連帯納付責任者に対して督促していれば、当該連帯納付責任者の本店等所在地を所轄する税務署長は、当該連帯納付責任者に対して、改めて督促をする必要はない。また、連結法人税の納税地を所轄する税務署長が当該連結法人税を連帯納付責任者から徴収しようとする場合において、当該連帯納付責任者の本店等所在地を所轄する税務署長が当該連帯納付責任者に対して督促していれば、連結法人税の納税地を所轄する税務署長は、当該連帯納付責任者に対して、改めて督促する必要はない。
連帯納付責任者から連結法人税を徴収する際に作成する差押調書等には、連結法人税の納税地、連結親法人の名称、及び徴収しようとする連結法人税が法人税法第81条の28第1項の規定により連結親法人と連帯して納付すべきものである旨を、適宜の箇所に記載するものとする。

7 保全差押金額及び繰上保全差押金額の通知

 納付すべき額の確定後においては徴収を確保することができないと認められる連結法人税の徴収を確保するために行う連帯納付責任者に対する保全差押金額又は繰上保全差押金額の通知は、当該連結法人税について、連結親法人に対する保全差押金額の通知又は繰上保全差押金額の通知を行い、かつ、当該連帯納付責任者について保全差押金額の通知又は繰上保全差押金額の通知ができる要件が満たされている場合にのみ行うものとする(国税徴収法第159条第1項、国税通則法第38条第3項参照)。

8 連結法人税の納税義務と連帯納付責任の関係

1 連結法人税について、連結親法人若しくは連帯納付責任者の納付又は連結親法人若しくは連帯納付責任者に対する還付金の充当、連結親法人若しくは連帯納付責任者からの徴収があったときは、連結法人税の納税義務と連帯納付責任は、その範囲内で消滅する。

2 連結法人税について、免除、国税徴収法第153条第4項若しくは第5項による消滅又は時効による消滅があったときは、その免除等の範囲内で連帯納付責任は消滅する。他方、連帯納付責任について、免除又は国税徴収法第153条第4項若しくは第5項による消滅があった場合であっても、連結法人税の納税義務及び当該免除等の効果を受ける連帯納付責任者以外の連帯納付責任者の連帯納付責任は消滅しない。

3 連結法人税についての時効の中断又は停止の効果は、各連帯納付責任者の連帯納付責任に及ぶが、連帯納付責任についての時効の中断又は停止の効果は、連結法人税の納税義務及び他の連帯納付責任者の連帯納付責任には及ばない。
したがって、連帯納付責任者の財産についての差押えや連帯納付責任者に対する納税の猶予等により当該連帯納付責任者の負っている連帯納付責任についての時効が中断又は停止している場合であっても、連結法人税について時効が完成した場合には、すべての連帯納付責任者の連帯納付責任が消滅することに留意する。