1 仮差押競合債権

 この条の規定の適用を受ける債権(以下この条関係において「仮差押競合債権」という。)は、次の(1)及び(2)に掲げるものをいう。
 なお、次の(1)及び(2)の「仮差押命令」又は「差押え」には、単一の仮差押命令又は差押えだけでなく、複数にわたる場合も含まれる。

(1) その一部について仮差押命令が発せられた後に、その残余の部分を超えて滞納処分による差押えがされた債権

(注) その一部について仮差押命令が発せられた後に、その残余の部分を超えない範囲で滞納処分による差押えがされ、その後、更に仮差押命令が発せられ又は滞納処分による差押えがされたことによってその債権の残余の部分を超えることになった場合も仮差押競合債権に含まれることに留意する。

(2) その全部について仮差押命令が発せられた後に、その全部又は一部について重ねて滞納処分による差押えがされた債権

2 滞納処分による差押えをした場合の処理

 仮差押競合債権につき、滞納処分による差押えをした場合の処理については、次に留意する。(平15徴徴4-3により改正)

(1) 第三債務者から供託に係る事情届があった場合(この条1項において準用する法20条の6第2項)の処理については、第20条の9関係4に定めるところに準ずること(この条1項において準用する法20条の6第3項)。

(注) 上記の場合において、事情届により仮差押命令が発せられていることを知つたときは、徴収職員は、その保全執行裁判所に対し徴収法第55条の通知をしなければならないことに留意する。

(2) 仮差押えの効力の拡張については、第36条の4関係と同様であること(この条1項において準用する法36条の4)。

(3) この条において準用する法第20条の6第1項の規定により供託された金銭の還付については、第20条の9関係5に定めるところに準ずること(この条1項において準用する法20条の6)。

(4) 仮差押競合債権について、滞納処分による第三債務者からの取立金若しくはこの条第1項において準用する法第20条の6第1項の規定により供託された金銭の払渡金又は売却代金について滞納者に交付すべき残余を生じたときは、徴収職員は、これを仮差押競合債権に対する強制執行について管轄権を有する裁判所に交付しなければならないこと(この条1項において準用する法18条2項)。この場合の残余の交付手続については、第20条の9関係6に定めるところにより行う。

(5) 執行裁判所に対し滞納処分による差押えをした旨の通知をしている場合において、仮差押競合債権について、仮差押えの執行の申立てが取下げられたとき、又は仮差押えの執行を取消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官はその旨を徴収職員に通知することになっていること(この条1項において準用する法31条)。

3 滞納処分による差押えを解除した場合の処理

 仮差押競合債権について、滞納処分による差押えを解除した場合の徴収職員の処理は、第20条の9関係8に定めるところに準ずる(令32条において準用する令12条の11(令10条2項を準用))。

4 登録関係機関から通知を受けた場合の処理

 仮差押競合債権で権利の移転につき登録を要する登録社債等(社債等登録法3条1項、14条等)に対し、滞納処分による差押えの登録の嘱託をした場合において、その債権について仮差押えの登録があるときは、登録関係機関は、その旨を徴収職員に通知することになつている(令32条において準用する令18条)。この場合においては、徴収職員は、保全執行裁判所に対し徴収法第55条の通知をしなければならないことに留意する。(平15徴徴4-3により改正)

5 仮差押えの執行、強制執行による差押え及び滞納処分による差押えが競合した場合の処理

 仮差押えの執行、強制執行による差押え及び滞納処分による差押えが競合した場合の処理については、第18条関係14及び15に定めるところに準ずる。


目次

● 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の逐条通達(国税庁関係)の全文改正について

● 引用の法令番号一覧表

● 主用省略用語一覧表