強制執行による差押えをした債権者が提起した法第36条の7に規定する取立訴訟の訴状が第三債務者に送達される時までに、その差押えがされている金銭債権につき滞納処分による差押えがされたとき(債権差押通知書が第三債務者に送達された時をいう。)は、第三債務者は、その債権の全額(強制執行による差押えの前に他の滞納処分による差押えがされているときは、その滞納処分による差押えがされた部分を差引いた残額。この条関係2参照)に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない(この条1項)。
(注) 法第36条の11第1項において準用する法第26条第1項の規定により滞納処分続行承認の決定があったときは、この条の適用はなく、第三債務者は、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭の供託をすることが認められるにすぎないことになる。
この条第1項かつこ書の「強制執行による差押えの前に他の滞納処分による差押えがされているとき」とは、次に掲げるときをいう。
(1) 金銭債権の一部について滞納処分による差押えがされている場合において、強制執行による差押えがされ、その差押債権者の提起した法第36条の7に規定する取立訴訟の訴状が第三債務者に送達される時までに、更に滞納処分による差押えがされて競合したとき。
(2) 金銭債権の一部について滞納処分による差押えがされている場合において、強制執行による差押えにより競合し、その差押債権者の提起した法第36条の7に規定する取立訴訟の訴状が第三債務者に送達される時までに、更に滞納処分による差押えがされたとき。
第三債務者から、この条第2項に規定する事情届が執行裁判所にされた場合には、裁判所書記官は、「事情届通知書」によりその旨を徴収職員に通知することになっている(この条3項)。
この条第1項の規定により供託された金銭については、徴収職員は、取立権を行使することはできない(この条4項)が、執行裁判所の配当手続において配当を受けることができる。この場合において、執行裁判所から支払証明書が交付されたときは、徴収職員は、「供託金払渡請求書」にこれを添付して供託所から配当額の払渡しを受ける(供託規則32条2項)。