第3節 債権又はその他の財産権に対する滞納処分

1 差押競合債権

 法第3章第3節(法36条の12から36条の14までを除く。)の適用を受ける債権(以下この節において「差押競合債権」という。)は、次の(1)及び(2)に掲げるものをいう。
 なお、次の(1)及び(2)の「差押命令」又は「差押え」には、単一の差押命令又は差押えだけではなく、複数にわたる場合も含まれる。また、「差押命令」には、仮差押命令が発せられた後にされた強制執行による差押命令も含まれ、「差押え」には、仮差押命令が発せられた前又は後にされた滞納処分による差押えも含まれる。

(1) その一部について強制執行による差押命令が発せられた後に、その残余の部分を超えて滞納処分による差押えがされた債権

(注) その一部について強制執行による差押命令が発せられた後に、その残余の部分を超えない範囲で滞納処分による差押えがされ、その後、更に強制執行による差押命令が発せられ又は滞納処分による差押えがされたことによつて、その残余の部分を超えることになつた場合も差押競合債権に含まれることに留意する。

(2) その全部について強制執行による差押命令が発せられた後に、その一部又は全部について重ねて滞納処分による差押えがされた債権

2 差押競合の金銭債権を差押えた場合の処理

 差押競合の金銭債権につき滞納処分による差押えをした場合において、強制執行による差押えがあることを知つたときは、徴収職員は、「債権差押通知書」(別紙様式15。令219条1項)により滞納処分による差押えをした旨を執行裁判所に通知しなければならない(この条2項本文。第36条の10関係1参照)。ただし、裁判所書記官から、第三債務者から供託に係る事情届があつた旨を規則第43条第3項に掲げる事項を記載した書面(事情届通知書)により通知(法36条の6第3項)を受けたときは、執行裁判所に対し滞納処分により差押えをした旨の通知をする必要はない(この条2項ただし書)が、速やかに滞納処分による差押えに係る国税の年度、税目、納付の期限及び金額を記載した「滞納現在額申立書」(別紙様式17)を執行裁判所に送付しなければならない(令29条2項)。

3 差押競合の条件付等債権等を差押えた場合の処理

 差押競合債権で条件付若しくは期限付であるもの又は反対給付に係ることその他の事由によりその取立てが困難であるもの(以下この節において「差押競合の条件付等債権」という。)、又は差押競合債権で動産の引渡しを目的とするものを滞納処分により差押えた場合において、強制執行による差押命令が発せられていることを知つたときは、徴収職員は、「債権差押通知書及び交付要求書」(別紙様式16)により、執行裁判所に対し滞納処分による差押えをした旨の通知及び交付要求をする(この条2項本文、徴収法82条1項)。

4 動産の引渡請求権に対する差押命令の執行の申立てがされている場合の処理

 強制執行による差押えがされている動産の引渡しを目的とする債権につき滞納処分による差押えをした場合において、執行官が差押債権者から動産の引渡しを受けるべき旨の申立て(執行法163条1項)を受けていることを知つたときは、徴収職員は、滞納処分による差押えをした旨をその執行官に通知しなければならない(令29条3項)。この場合において、滞納処分による差押えをした旨の通知は、「債権差押通知書」(別紙様式15)を補正(令29条4項参照)したものにより行う。

5 登録関係機関から強制執行による差押登録がある旨の通知を受けた場合の処理

 差押競合債権で権利の移転につき登録を要する登録社債等(社債等登録法3条1項、14条等)について、滞納処分による差押えの登録の嘱託をした場合において、その債権につき強制執行による差押えの登録があるときは、登録機関はその旨を徴収職員に通知することになつている(令31条において準用する令18条)。この通知を受けた場合には、徴収職員は、「債権差押通知書及び交付要求書」(別紙様式16)により執行裁判所に対し滞納処分による差押えをした旨の通知及び交付要求をする(この条2項本文、徴収法82条1項)。


目次

滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の逐条通達(国税庁関係)の全文改正について

引用の法令番号一覧表

主用省略用語一覧表