1 滞納処分続行承認の決定の請求

 二重差押えをした不動産について、強制執行が中止又は停止されたときにおける滞納処分続行承認の決定の請求は、第25条関係に定めるところに準ずる(この条1項において準用する法25条)。

2 滞納処分続行承認の決定の効力発生時期

 この条第1項において準用する法第26条第1項の規定による滞納処分続行承認の決定の効力は、その決定がされた時に生ずるものとする。

3 滞納処分続行承認の決定の請求の却下に対する不服申立て

 滞納処分続行承認の決定の請求を却下する決定に対しては、徴収職員は、執行裁判所に執行異議を申立てることができる(執行法11条)。この場合における執行異議の申立ては、税務署長が行うものとする。

4 滞納処分続行承認の決定の効果

 滞納処分続行承認の決定があったときは、強制競売の開始決定は、滞納処分による差押え後にされたものとみなされる(この条1項において準用する法27条1項)ので、第13条関係から第17条関係までに定めるところに準じて取扱う。

5 裁判所書記官から通知を受けた場合の処理

 裁判所書記官は、滞納処分続行承認の決定があったときは、執行裁判所に対し交付要求をした徴収職員等の属する庁その他の事務所の名称及び所在を徴収職員に通知することになっている(規則36条、33条3号)ので、徴収職員がこの通知を受けたときは、第31条関係に定めるところに準じて処理する(令22条において準用する令20条)。

6 強制競売の開始決定に係る差押えの登記の職権まつ消

 滞納処分続行承認の決定があった不動産について換価処分による権利移転の登記をする場合には、登記官は、同時に強制競売の開始決定に係る差押えの登記を職権でまつ消することになつている(法16条)が、その権利移転の登記の嘱託書には、滞納処分続行承認の決定があったことを証する書面を添付する必要はない(昭和33年3月5日付徴徴4-8「滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の施行に伴う登記事務の取扱方について」通達の記の二)。

7 強制執行による差押え後に登記された先取特権等の取扱い

 強制競売の開始決定に係る差押えの登記後滞納処分による差押えの登記前に登記された先取特権(配当要求の終期までに差押え又は配当要求をした債権者の有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するもの(執行法87条1項4号、59条1項。以下次条関係までにおいて「先取特権等」という。)の存する不動産について、滞納処分続行承認の決定があり、滞納処分により換価した場合には、徴収職員は、その先取特権等により担保される債権を有する者に対.し、先行の執行を停止された差押債権者が停止に係る訴訟等で敗訴したときに限り、徴収法第129条の規定による配当を行う(この条2項において準用する執行法87条3項)。

8 供託及び配当

(1) 供託をする場合
 徴収職員は、執行停止に係る差押えの登記後に登記された先取特権等があるため配当額が定まらないときは、配当額の定まらない部分に相当する金銭を供託しなければならない(この条2項において準用する執行法91条1項6号)。徴収職員は、供託した場合には、執行裁判所及び先取特権等の権利を有する者にその旨を通知するものとする(徴収令50条1項参照)。

(注) 執行停止に係る訴訟等の結果いかんにより影響を受けない部分の国税その他の債権(徴収法129条1項)に相当する金銭は、供託することなく配当することに留意する。

(2) 供託事由が消滅した場合の配当

イ 徴収職員は、供託の事由が消滅し、配当額が確定したときは、その供託金について、更に配当を実施し又は残余を交付しなければならない。この場合においては、次により処理するものとする。

(イ) 配当を受けるべき者に配当額支払証を交付するとともに、上記(1)により供託した供託所に支払委託書を送付するものとする(徴収令50条参照)。

(ロ) 執行裁判所に残余を交付する場合には、徴収職員は、供託金の取りもどしをした上、当該金銭を第6条関係1の(4)に定めるところにより交付する。

ロ 執行裁判所に対し残余の交付をすることができなくなったとき(例えば、執行を停止された差押債権者がそ.の停止に係る訴訟等で敗訴したとき)は、配当計算書に関する異議の申出をしなかった債権者のためにも配当計算書を更正しなければならない(この条2項において準用する執行法92条2項)。

ハ 供託の事由の消滅については、執行の停止に係る債権を有する者又は先取特権等の権利を有する者に判決等の正本を呈示させることにより確認するものとする。


目次

滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の逐条通達(国税庁関係)の全文改正について

引用の法令番号一覧表

主用省略用語一覧表