1 引渡しを受ける方法

 二重差押えをした動産について強制執行による差押えを取消すべき場合においては、執行官は、規則第25条第1項の規定による書面(引渡通知書)又はこの書面に規則第25条第2項の規定による書面(引渡依頼書)を添付したものにより徴収職員に通知することになっている。この通知を受けた徴収職員は、書面に記載されている日時及び場所において動産を受取らなければならない(令14条1項)。この場合において、執行官以外の者で動産の保管をしている者(以下この条関係において「保管者」という。)から受取るときは、徴収職員は、執行官からの「引渡依頼書」を保管者に交付するものとする(令14条1項後段)。

(注) 動産がその保管に費用を要しているものである場合には、執行官からの「引渡通知書」に1日当りの保管の費用の額が記載されている(最高裁通達十一)。

2 引渡しを受ける場合の処理

 徴収職員は、執行官又は保管者から動産の引渡しを受ける場合には、執行官からの引渡通知書に表示されている動産と一致しているかどうかについて十分点検の上受取るものとし、その動産を受取ったときは、「差押財産引受調書」を作成するものとする。この場合には、「参加差押財産引受調書」(様式通達第26号様式)を補正して使用するものとする。

3 引渡しを受けた場合の保管

 徴収職員は、引渡しを受けた動産の運搬が困難であるとき等、必要があると認める場合には、滞納者又はこれを占有する第三者にその動産を保管させることができる(令14条2項本文)。この場合には、封印、公示書その他の方法によりその動産を差押えた旨、差押年月日及びその差押えをした徴収職員の所属する税務署の名称を明らかにしなければならない(令14条3項、徴収令26条)。
 なお、その動産を占有する第三者に保管させる場合においては、その運搬が困難であるとき(徴収法基本通達60条関係5参照)を除き、その第三者の同意を受けなければならない(令14条2項ただし書)。

4 引渡しを受けた場合の執行官等に対する通知

 徴収職員は、この条の規定により動産の引渡しを受けたときは、「差押財産引受通知書」(別紙様式9)により、速やかに、その旨を執行官、滞納者及び執行官に対して交付要求をした徴収職員等で執行官から通知があったもの(規則25条1項4号参照)に対して通知しなければならない(令14条4項)。ただし、滞納者に対する通知は、「差押財産引受調書」の謄本の交付をもってこれに代えて差支えない。

(注) 執行官に対して交付要求をしていた徴収職員等は、差押えをしている徴収職員に対して交付要求をする必要がある(徴収法82条)。

5 引渡しを受けるときまでの保管費用

 徴収職員が執行官から「引渡通知書」を受領した日の翌日から現実に動産の引渡しを受けるときまでの間の保管費用は、滞納処分費とされる(令14条5項)が、その保管費用は執行官が支払うものであるから留意する。

6 引渡しを受けるときまでの保管責任

 徴収職員が執行官から「引渡通知書」を受領しても、現実に動産の引渡しを受けるときまでの間の保管責任は、原則として、執行官が負うことに留意する。


目次

● 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の逐条通達(国税庁関係)の全文改正について

● 引用の法令番号一覧表

● 主用省略用語一覧表