1 仮差押えの執行がされた場合における他の規定の準用

 滞納処分による差押えがされている動産に対する仮差押えの執行は、執行官が規則第14条において準用する規則第5条に掲げる事項を記載した書面(仮差押執行書)を徴収職員に交付することによって行われる(法11条1項において準用する法3条2項)。
 なお、上記の仮差押えの執行がされた場合には、次に掲げる定めに準じて処理する。

(1) 強制執行による差押えに関する第3条関係

(2) 滞納処分による差押えがされている動産で、仮差押えの執行がされているものにつき参加差押えがされている場合を除いて、滞納処分による差押えの解除時の処理等に関する第5条関係(4の(2)のロ及びハを除く。)

(3) 滞納処分による差押えがされている動産で仮差押えの執行がされているものにつき参加差押えがされている場合には、滞納処分による差押えの解除時の処理等に関する第5条関係4の(2)のロ及ぴハ
 なお、この場合において、第5条関係4の(2)のハの(注)において「差押書」とあるのは「仮差押執行書」と読替える。

(4) 二重差押えがされた動産の滞納処分による売却代金又は有価証券の取立金の残余を執行官に交付するとき及び残余が生じなかったときの通知に関する第6条関係

(5) 強制執行による差押えの取消しの通知に関する第7条関係

(注)

1 滞納処分による差押えを解除した場合において、その動産につき参加差押え(その参加差押えがされた時期が仮差押えの前であると後であるとを問わない。)及び仮差押えの執行がされているときは、その差押解除後、参加差押えに係る差押えと仮差押えとの間の状態は、滞納処分による差押え後に仮差押えの執行をした場合と同様となるのでこの条の規定が適用される。

2 「仮差押執行書」を参加差押えをしている徴収職員等に交付するのは、仮差押えの執行が、その参加差押えに係る滞納処分による差押え後にされたものとみなされることによる(この条2項において準用する法5条4項)。

2 仮差押えの執行、滞納処分による差押え及び強制執行による差押えが競合した場合の関連規定の適用

 仮差押えの執行後に滞納処分による差押えをしている動産について強制執行の申立てがされ、執行法第125条第2項後段の規定により事件の併合がされた場合又は滞納処分による差押えをした動産について仮差押えの執行がされた後、強制執行の申立てがされ、執行法第125条第2項後段の規定により事件の併合がされた場合において、徴収職員に「差押書」(規則5条)が交付されたときのこの法律の適用については、仮差押えがされていない動産について二重差押えがされた場合と同様に第4条関係から第10条関係までに定めるところに準じて処理するものとする(執行法125条4項前段参照)。

(注)

1 上記の事件の併合がされた場合には、差押えるべき動産の有無にかかわらず、徴収職員に「差押書」が交付されることに留意する。

2 強制執行の申立てにより滞納処分による差押えの対象となっていない動産について差押えがされ、事件の併合がされた場合には、その新たに差押えられた動産については、上記本文の適用はない。従って、新たに差押えられた動産については、法第21条の差押え及び徴収法第82条第1項の交付要求をする必要があることに留意する。

3 強制執行による差押えを取消す場合において、仮差押えの執行がされているときは、執行官は、その旨を書面により徴収職員に通知することになっている(最高裁通達四、十二の2)。

3 仮差押えの執行、強制執行による差押え及び滞納処分による差押えが競合した場合において、強制執行による差押えを取消すべきとき等の処理

 仮差押えの執行、強制執行の申立て及び滞納処分による差押えの順に差押え等がされた場合、強制執行による差押え、滞納処分による差押え及び仮差押えの執行の申立ての順に差押え等がされた場合又は強制執行による差押え、仮差押えの執行の申立て及び滞納処分による差押えの順に差押え等がされた場合において、強制執行による差押えを取消すべきときは、執行官から徴収職員に規則第25条第1項に掲げる事項を記載した書面(引渡通知書)により動産を引渡す旨の通知がされる。この場合においては、仮差押えの執行がされていない動産につき、強制執行による差押え後に滞納処分による差押えをした場合における強制執行による差押えの取消し時の処理を定める第23条関係に準じて処理するものとする。

(注) 強制執行による差押えを取消し、当該動産を徴収職員に引渡す場合において、仮差押えの執行がされているときは、執行官は、その旨を書面により徴収職員に通知することになっている(最高裁通達十二の1、3及び4)。

4 仮差押えの執行、強制執行による差押え、滞納処分による差押え及び参加差押えが競合した場合の処理

 仮差押えの執行、強制執行による差押え、滞納処分による差押え及び参加差押えが競合した場合においても、この条関係2及び3に定めるところに準じて処理する。なお、上記の場合には、次に掲げる事項に留意する。

(1) 強制執行による差押えが取消された後、滞納処分による差押えを解除する場合には、動産は徴収法第87条第2項及びこの条第1項ただし書の規定により参加差押えをしている徴収職員等に引渡すほか仮差押えの執行がされている旨の書面(最高裁通達十二の1)もその徴収職員等に交付する。この場合においては、この条関係1の(3)に定めるところに準じて処理する(法5条1項本文参照)。

(2) 上記(1)の滞納処分による差押えを解除した後における参加差押えに係る差押えと仮差押えの執行とのこの法律の適用については、その参加差押えに係る差押え後に仮差押えの執行(参加差押え以前にされたものに限る。)がされたものとみなされる(この条2項において準用する法5条4項)。

5 仮差押えの執行後に担保権が設定されている場合等の残余金の交付

 滞納処分による差押え、仮差押えの執行及び担保権(質権、抵当権、先取特権、留置権又は担保のための仮登記をいう。以下この項において同じ。)の設定の順、滞納処分による差押え、担保権の設定及び仮差押えの執行の順又は仮差押えの執行、滞納処分による差押え及び担保権の設定の順に差押え等がされている動産を滞納処分により換価した場合において、滞納者に交付すべき残余が生じたときは、徴収職員は、当該金銭を担保権者に交付することなく、仮差押えの執行をしている執行官に交付する。


目次

● 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の逐条通達(国税庁関係)の全文改正について

● 引用の法令番号一覧表

 主用省略用語一覧表