1 残余金が生じた場合の処理

(1) 残余金の交付
 二重差押えがされた動産の滞納処分による売却代金又は有価証券の取立金について滞納者に交付すべき残余(以下この条関係において「残余金」という。)が生じたときは、徴収職員は、徴収法第129条第3項の規定にかかわらず、これを執行官に交付しなければならない(この条1項)。

(2) 「残余金交付通知書」の送付
 徴収職員が執行官に残余金を交付するときは、「残余金交付通知書」(別紙様式7)及び徴収法第131条の「配当計算書」に記載すべき事項(徴収令49条1項)を記載した「残余金計算書」(別紙様式7の付表)を執行官に送付しなければならない(令4条)。

(3) 執行官からの照会
 徴収職員は、上記(2)の「残余金交付通知書」(別紙様式7)を執行官に送付した場合において、執行官から特定の財産の売却代金、配当金の内訳等につき照会があったときは、これに応ずるものとする。この場合において、執行官からの照会が一括公売した財産についての照会であるときは、その照会された財産の売却代金の額については、見積価額によってあん分するなどの方法により定めるものとする。

(4) 残余金の交付手続
 残余金は、徴収職員が保管金取扱規程第15条の規定により、執行官の所属する地方裁判所の歳入歳出外現金出納官吏の保管金口座に保管替し、又は執行官に送金し若しくは持参する方法により交付する(最高裁通達三前段参照)。
 なお、執行官に送金する方法によって残余金を交付する場合においては、その送金に要する費用はその交付すべき金銭の中から支出する。

(注)

1 残余金の交付手続は、執行官の所属する地方裁判所の歳入歳出外現金出納官吏の保管金口座に保管替する方法を原則とする。
 この場合には、日本銀行からの振替済書が歳入歳出外現金出納計算書の払出しの証拠書類となることに留意する。

2 保管金取扱店が遠隔の地にあることなどにより、歳入歳出外現金を保管金として日本銀行に払込まないで預金としている場合においては、執行官に現金送金(預金先銀行に対する送金依頼を含む。)をする。
 この場合には、執行官から実際送付金額(交付すべき金額から送金に要する費用を差し引いた金額)の領収証書が送付されてくることになっている。
 なお、その領収証書の欄外に「ほか送付費用○○○円(領収書別添)」と記載し、その領収証書に送付費用の領収書(金融機関発行の「普通為替金受領証書」、「振込金(兼手数料)受領書」等、送付費用を支払ったことが明らかとなっている書類を含む。)を添付したものが歳入歳出外現金出納計算書の払出しの証拠書類となることに留意する。

3 持参する方法による交付は、執行官の所属する地方裁判所が隣接している場合等、事務処理上支障が生じないと認められる場合にのみ行うことに留意する。

2 残余金の供託

 二重差押えがされた動産を滞納処分により換価し、又は有価証券に係る金銭債権の取立てをした場合において、質権等により担保される債権額等につき争いがあるため、滞納者に交付すべき金額が確定しないときは、その金額を執行官に交付することなく供託し(徴収法133条第3項、徴収令50条1項前段)、その旨を執行官に通知するものとする。

3 残余金が生じなかった場合の処理

 残余金が生じなかった場合には、徴収職員は、「残余金皆無通知書」(別紙様式8)を執行官に送付しなければならない(この条3項)。この場合には、「残余金計算書」(別紙様式7の付表)を「残余金皆無通知書」に添付するものとする。


目次

 滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律の逐条通達(国税庁関係)の全文改正について

● 引用の法令番号一覧表

● 主用省略用語一覧表