(物納の許可限度額の計算)

41−1 法施行令第17条に規定する物納の許可限度額の算出方法を算式で示せば、次のとおりである。(平4課資2−158・徴管5−6、平7課資2−119・徴管5−5、平18徴管5−14改正)

A−{ ((B−C−D)×E+F)+(G−H) }

(注) 算式中の符号は次のとおりである。

 A は、38−2により計算した額
 Bは、前年の申告所得税の確定申告書等に係る収支内訳書等から求めた1年間の事業に係る収入金額(給与所得者の場合は前年の給与等に係る支給金額)から臨時的な収入に係る金額を控除した額。ただし、最近の事業の実績に変動がある場合は、その実績を踏まえて算出した額を加味して差し支えないものとする。
 Cは、38−2のEの額に12を乗じた額
 Dは、事業の継続のために必要な運転資金の額。事業の継続のために必要な運転資金の額とは、前年の申告所得税の確定申告等に係る収支内訳書等から求めた1年間の事業に係る経費の中から、臨時的な支出項目及び減価償却費を除いた額を当該金額とする。ただし、最近の事業の実績に変動がある場合には、その実績を踏まえて算出した額を加味して差し支えないものとする。
 Eは、当該物納申請税額を延納申請税額であるとみなした場合に、法第38条第1項の規定により延納が認められる最長年数とする。
 Fは、38−2のEの額に3を乗じた額に38−2のFの額を加えた額
 Gは、臨時的収入の額。
 なお、臨時的収入の額とは、おおむね1年以内に発生が見込まれる臨時的な金銭収入(貸付金の返還、退職金の給付の確定等)をいうものとする。
 Hは、臨時的支出の額。
 なお、臨時的支出の額とは、おおむね1年以内に発生が見込まれる臨時的な支出(事業用資産の購入等)をいうものとする。

(贈与税等についての物納規定の不適用)

41−2 法第41条の物納の規定は、贈与税及び連帯納付の責に任ずる者のその責に任ずべき金額については適用がないのであるから留意する。
 また、期限後申告又は修正申告若しくは更正又は決定により納付すべき相続税額に併せて納付すべき延滞税又は加算税についても適用がないのであるから留意する。(平7課資2−119・徴管5−5改正)

(やむを得ない事情があると認めるとき)

41−3 法第41条第1項において、「物納財産の性質、形状その他の特徴により当該政令で定める額を超える価額の物納財産を収納することについて、税務署長においてやむを得ない事情があると認めるとき」とは、次のような場合をいう。(平18徴管5−14追加) 

1 当該財産が土地の場合で、当該政令で定める額に相当する価額となるように分割しようとするときには、分割後に物納に充てようとする不動産(以下「分割不動産」という。)又は分割不動産以外の不動産について、例えば、分筆することにより、その地域における宅地としての一般的な広さを有しなくなるなど、通常の用途に供することができない状況が生じることとなると認められる場合

2 建物、船舶、動産などのように、分割することが困難な財産である場合

3 法令等の規定により一定の数量又は面積以下に分割することが制限されている場合

(政令で定める額を超えて物納を許可する場合)

41−4 法第41条第1項の規定により、政令で定める額を超える価額の物納財産による物納を許可する場合において、当該財産の収納価額と当該許可に係る相続税額の差額は、金銭をもって還付するものとする。(平18徴管5−14追加)

(法第19条第1項の規定の適用がある贈与財産による物納)

41−5 法第41条第2項に規定する「課税価格計算の基礎となった財産」には、加算対象贈与財産(19−1(2)の財産の価額が零となる場合における当該財産を除く。)を含むことに留意する。(平18徴管5−14、令5課資2−21・徴管6−30改正)

(法第38条の規定に関する取扱いの準用)

41−6 法第41条第2項に規定する「不動産」については、38−4の取扱いに準ずるものとする。(昭57直資2−177追加、平4課資2−158・徴管5−6、平18徴管5−14改正)

(「当該財産により取得した財産」の意義)

41−7 法第41条第2項に規定する「当該財産により取得した財産」とは、当該財産を処分して取得した財産そのものをいうのであるが、次に掲げる財産は、これに該当するものとして取り扱うのであるから留意する。ただし、(3)に掲げる株券又は出資証券で収納時に旧株券(旧出資証券)がある場合においては、当該旧株券(旧出資証券)を物納税額に充ててもなお不足税額があるときに限るものとする。(昭57直資2−177、平7課資2−119・徴管5−5、平18徴管5−14、平29課資2−14改正) 

(1) 課税価格計算の基礎となった株券又は出資証券の発行法人が合併した場合において、当該合併によって取得した株券又は出資証券

(2) 課税価格計算の基礎となった株券又は出資証券がある場合において、当該株券の消却、資本の減少又は出資の減少によって取得した株券又は出資証券

(3) 課税価格計算の基礎となった株券又は出資証券の発行法人が増資を行った場合において、当該増資によって取得した株券又は出資証券

(通常行われる他の土地との境界確認方法)

41−8 法施行規則第21条第3項第1号に規定する「当該土地の取引において通常行われる他の土地との境界の確認方法により境界を認識できるもの」とは、例えば、山林などの境界確認のように、目印となる樹木や山の尾根などをもって土地の境界とする合意が当事者間で行われることが一般的な例とされているものなどをいう。(平18徴管5−14追加)

(共有不動産の物納)

41−9 相続又は遺贈により取得した財産が不動産の共有持分である場合において、当該財産を取得した納税義務者が当該持分に応じて分割した後の不動産を物納に充てようとするときには、当該不動産は法第41条第2項に規定する「課税価格計算の基礎となった財産(当該財産により取得した財産を含む。)」に該当し、当該不動産による物納を許可しても差し支えないのであるから留意する。 なお、被相続人と不動産を共有していた者が当該被相続人の持分を相続又は遺贈により取得した場合において、当該持分に応じて特定した不動産を物納に充てようとするときについても、これと同様に取り扱うこととして差し支えないのであるから留意する。(平7課資2−119 ・徴管5−5追加、平18徴管5−14改正)

(その他これに類するものの意義)

41−10 法施行規則第21条第8項第2号に規定する「その他これに類するもの」とは、単に外見上等から判断されるものではなく、法律の規定に基づき、公の秩序等を害するおそれのある団体等であることが指定されているものをいうのであるから留意する。(平18徴管5−14追加)

(特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券)

41−11 法第41条第2項に規定する「特別の法律により法人の発行する債券」、「特別の法律により法人の発行する出資証券」とは、例えば、次に掲げるような債券及び出資証券をいうのであるから留意する。(平7課資2−119・徴管5−5改正、平16徴管5−13・課資2−10、平18徴管5−14改正)

(1) 債券

イ 商工債又は農林債又は長期信用銀行債等の金融債

ロ 放送債券

ハ 都市基盤整備債券等の政府機関債

(2) 出資証券
日本銀行出資証券

(相続人が居住等の用に供している土地(底地)の物納)

41−12 法施行令第19条第4号のかっこ書の規定は、相続人が居住の用又は事業の用に供している建物とその敷地が併せて物納申請された場合をいうものであり、その土地(底地)のみが物納申請された場合には適用がなく、当該土地(底地)は劣後財産となるのであるから留意する。(平18徴管5−14追加)

(「特別の事情」の意義)

41−13 法第41条第4項及び同条第5項に規定する「特別の事情」とは、例えば、その財産を物納すれば居住し、又は営業を継続して通常の生活を維持するのに支障を生ずるような場合をいうのであるから留意する。(平16徴管5−13・課資2−10、平18徴管5−14改正)

(「適当な価額のものがない場合」の意義)

41−14 法第41条第4項及び同条第5項に規定する「適当な価額のものがない場合」とは、同項に規定する物納財産の順位により物納に充てることができる財産を納付するときは、当該財産の収納価額が法施行令第17条で定める額を超えるに至るような場合をいうものとする。
  ただし、当該財産の収納価額が当該政令で定める額を超える場合で、次に掲げるものであるときは、「適当な価額のものがない場合」に該当しないのであるから留意する。(平16徴管5−13・課資2−10、平18徴管5−14改正)

1 法第41条第1項後段の規定が適用される場合

2 当該財産が土地の場合で、当該政令で定める額に相当する価額となるように分割しても、分割不動産又は分割不動産以外の不動産について、いずれもその地域における宅地としての一般的な広さが確保されるなど、通常の用途に供することができると認められるような場合

(物納劣後財産と物納に充てることができる順位が後順位である財産がある場合の取扱い)

41−15 法第41条第4項に規定する物納劣後財産と同条第5項に規定する物納に充てることができる順位が後順位の財産がある場合には、まず、同条第5項に掲げる順位に従って物納に充てることのできる財産を区分し、その先順位財産の中に物納劣後財産として物納に充てることができる財産がない場合には、同条第5項による次順位の財産を物納に充てることができるのであるから留意する。
(参考)物納に充てることのできる順位は、次の1から5の順となる。
(平16徴管5−13・課資2−10、平18徴管5−14、平29課資2−14改正)

第1順位1不動産・船舶・国債証券・地方債証券・金融商品取引所に上場されている株券等の有価証券・金融商品取引所に上場されていない投資法人の投資証券等のうち、その規約又は約款に投資主または受益者の請求により投資口の払戻し又は信託契約の一部解約をする旨及び当該払戻し又は当該一部解約の請求を行うことができる日が1月につき1日以上である旨が定められている有価証券
 2うち劣後財産
第2順位 3金融商品取引所に上場されていない株券等の有価証券(第1順位のものを除く。)
 4うち劣後財産
第3順位5動産

(注) 特定登録美術品は上記順位にかかわらず物納に充てることができるのであるから留意する。

(「請求を行うことができる日が1月につき1日以上である旨が定められているもの」の意義)

41−16 法施行規則第21条の2第1項及び同条第2項第2号に規定する「請求を行うことができる日が1月につき1日以上である旨が定められているもの」とは、当該目論見書等に「請求を行うことができる日が1月につき1日以上である」と明記されているもののほか、請求等に係る記載内容から「請求を行うことができる日が1月につき1日以上である」ことが確認できるものを含むのであるから留意する。(平29課資2−14追加)