(相続人の数が零である場合の遺産に係る基礎控除額)

15−1 法第15条第2項に規定する相続人の数が零である場合における同条第1項に規定する遺産に係る基礎控除額は、3,000万円となるのであるから留意する。(昭38直審(資)4、昭39直審(資)30、昭41直審(資)5、昭50直資2257、平元直資2207、平4課資2158、平6課資2114、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)

(法第15条第2項に規定する相続人の数)

15−2 相続の放棄があった場合等における法第15条第2項に規定する相続人の数について、設例を基に示せば、次のとおりである。(昭38直審(資)4、平元直資2207改正、平17課資24改正)

 設例 1

被相続人に、配偶者、子供(A)(B)(C)がいる場合の図

 上記の場合において、(B)、(C)及び配偶者が相続を放棄したときの法第15条第2項に規定する相続人の数は、(A)、(B)、(C)及び配偶者の4人となる。

 設例 2

被相続人に、配偶者、子供(A)(B)(C)、孫=Aの息子(D)(E)がいる場合の図

 上記の場合において、相続の開始以前に(A)が死亡したときの法第15条第2項に規定する相続人の数は、(D)及び(E)の被代襲者である(A)は関係なく、(B)、(C)、(D)、(E)及び配偶者の5人となる。また、(A)が相続権を失った者である場合においても同様である。

 設例 3

被相続人に、配偶者、子供(A)(B)(C)、孫=Aの子(D)(E)、Cの子(F)(G)(H)がいる場合の図

 上記の場合において、(A)、(B)及び(C)が相続の放棄をしたときにおいては、民法の規定による相続人の数は、父、母及び配偶者の3人であるが、法第15条第2項に規定する相続人の数は、(A)、(B)、(C)及び配偶者の4人となる。

 設例 4

被相続人に、配偶者、子供(A)(B)(C)(D)があり、BCDが特別養子縁組による養子となった者である場合の図

 上記の場合において、(B)が民法第817条の2第1項((特別養子縁組の成立))に規定する特別養子縁組による養子となった者であるときの法第15条第2項に規定する相続人の数は、(A)、(B)、(B)を除く養子1人((C)又は(D)のいずれか1人を特定することを要しないのであるから留意する。)及び配偶者の4人となる。

 設例 5

被相続人に、配偶者、子供(A)(B)(C)は皆特別養子縁組による養子となった者であり、孫=Aの息子(D)(E)がいる場合の図

 上記の場合において、相続開始以前に(A)が死亡したときの法第15条第2項に規定する相続人の数は、(D)及び(E)の被代襲者である(A)は関係はなく、養子1人((B)又は(C)のいずれか1人を特定することを要しないのであるから留意する。)、(D)、(E)及び配偶者の4人となる。また、(A)が相続権を失った者である場合においても同様である。

(胎児がある場合の相続人の数)

15−3 相続人となるべき胎児が相続税の申告書を提出する日までに出生していない場合においては、当該胎児は法第15条第1項に規定する相続人の数には算入しないことに取り扱うものとする。(平元直資2207改正)

(代襲相続人が被相続人の養子である場合の相続人の数)

15−4 相続人のうちに代襲相続人であり、かつ、被相続人の養子となっている者がある場合の法第15条第2項に規定する相続人の数については、その者は実子1人として計算するのであるから留意する。(昭57直資2177追加、平元直資2207改正)

(注) この場合の相続分は、代襲相続人としての相続分と養子としての相続分との双方を有するのであるから留意する。

(「当該被相続人に養子がある場合」の意義)

15−5 被相続人の民法第5編第2章((相続人))の規定による相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人をいう。以下155において同じ。)が兄弟姉妹である場合は、その相続人の中に当該被相続人の親と養子縁組をしたことにより相続人となった者があるときであっても、法第15条第2項に規定する「当該被相続人に養子がある場合」に該当しないのであるから留意する。(平元直資2207追加、平17課資24改正)

(「当該被相続人の配偶者の実子」等の意義)

15−6 法第15条第3項第1号に規定する「当該被相続人の配偶者の実子で当該被相続人の養子となった者」とは、当該被相続人と当該配偶者との婚姻期間(婚姻後民法第728条第2項((離婚等による姻族関係の終了))の規定により姻族関係が終了するまでの期間をいう。以下156において同じ。)において被相続人の養子であった者をいうものとする。また、法施行令第3条の2に規定する「当該婚姻後に当該被相続人の養子となったもの」とは、当該被相続人と同条に規定する配偶者との婚姻期間中において被相続人の養子となった者をいうものとする。(平元直資2207追加、平6課資2114、平17課資24改正)

(被相続人である特定贈与者よりも先に相続時精算課税適用者が死亡している場合の相続人の数)

15−7 特定贈与者の死亡以前に当該特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡したことから、法第21条の17又は第21条の18の規定により相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けたことに伴う納税に係る権利又は義務について承継があった場合において、当該相続時精算課税適用者に係る特定贈与者である被相続人の死亡に係る相続税額を計算するときは、法第15条第1項に規定する相続人の数には、当該相続時精算課税適用者は算入されないのであるから留意する。(平15課資21追加)

(注) 法第21条の17又は第21条の18の規定により相続時精算課税適用者の有していた相続時精算課税の適用を受けたことに伴う納税に係る権利又は義務を承継した者については、当該被相続人の相続人である場合(法第15条第2項かっこ書き及び第63条に該当する場合を除く。)に限り、法第15条第1項に規定する相続人の数に算入されることに留意する。