(有価証券の評価)

36-36 使用者が役員又は使用人に対して支給する有価証券(令第84条第3項各号に掲げる権利で同項の規定の適用を受けるもの及び株主等として発行法人から与えられた株式(これに準ずるものを含む。)を取得する権利を除く。)については、その支給時の価額により評価する。この場合における支給時の価額については、23〜35共-9及び昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」の第8章第2節《公社債》の取扱いに準じて評価する。(昭50直所3-4、昭52直所3-33、直法6-10、直資3-15、平4課法8-5、課所4-3、平14課個2-5、課資3-3、課法8-3、課審3-118、平18課個2-18、課資3-10、課審4-114、平19課個2-11、課資3-1、課法9-5、課審4-26、平28課法10-5、課審5-15、令2課個2−12、課法11−3、課審5−6改正)

(保険契約等に関する権利の評価)

36-37 使用者が役員又は使用人に対して生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約(以下「保険契約等」という。)に関する権利を支給した場合には、その支給時において当該保険契約等を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額。以下「支給時解約返戻金の額」という。)により評価する。
 ただし、次の保険契約等に関する権利を支給した場合には、それぞれ次のとおり評価する。

(1) 支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利(法人税基本通達9−3−5の2の取扱いの適用を受けるものに限る。)を支給した場合には、当該支給時資産計上額により評価する。

(2) 復旧することのできる払済保険その他これに類する保険契約等に関する権利(元の契約が法人税基本通達9−3−5の2の取扱いの適用を受けるものに限る。)を支給した場合には、支給時資産計上額に法人税基本通達9−3−7の2の取扱いにより使用者が損金に算入した金額を加算した金額により評価する。

(注)「支給時資産計上額」とは、使用者が支払った保険料の額のうち当該保険契約等に関する権利の支給時の直前において前払部分の保険料として法人税基本通達の取扱いにより資産に計上すべき金額をいい、預け金等で処理した前納保険料の金額、未収の剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額を加算した金額をいう。

(食事の評価)

36-38 使用者が役員又は使用人に対し支給する食事については、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額により評価する。(昭50直法6-4、直所3-8改正)

(1) 使用者が調理して支給する食事 その食事の材料等に要する直接費の額に相当する金額

(2) 使用者が購入して支給する食事 その食事の購入価額に相当する金額

(食事の支給による経済的利益はないものとする場合)

36-38の2 使用者が役員又は使用人に対し支給した食事(36-24の食事を除く。)につき当該役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、36-38により評価した当該食事の価額の50%相当額以上である場合には、当該役員又は使用人が食事の支給により受ける経済的利益はないものとする。ただし、当該食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額が月額3,500円を超えるときは、この限りでない。(昭50直法6-4、直所3-8追加、昭59直法6-4、直所3-7改正)

(商品、製品等の評価)

36-39 使用者が役員又は使用人に対して支給する商品、製品等(有価証券及び食事を除く。)の物については、その支給時における次に掲げる価額により評価する。

(1) 当該物が使用者において通常他に販売するものである場合には、当該使用者の通常の販売価額

(2) 当該物が使用者において通常他に販売するものでない場合には、当該物の通常売買される価額。ただし、当該物が、役員又は使用人に支給するため使用者が購入したものであり、かつ、その購入時からその支給時までの間にその価額にさして変動がないものであるときは、その購入価額によることができる。

(役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)

36-40 使用者(国、地方公共団体その他これらに準ずる法人(以下36-45においてこれらを「公共法人等」という。)を除く。以下36-44までにおいて同じ。)がその役員に対して貸与した住宅等(当該役員の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-44までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額(月額をいう。以下36-48までにおいて同じ。)は、次に掲げる算式により計算した金額(使用者が他から借り受けて貸与した住宅等で当該使用者の支払う賃借料の額の50%に相当する金額が当該算式により計算した金額を超えるものについては、その50%に相当する金額)とする。ただし、36-41に定める住宅等については、この限りでない。

役員に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の算式

(注)

1 家屋だけ又は敷地だけを貸与した場合には、その家屋だけ又は敷地だけについて上記の取扱いを適用する。

2 上記の算式中「木造家屋以外の家屋」とは、耐用年数省令別表第1に規定する耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいい、木造家屋とは、当該耐用年数が30年以下の住宅用の建物をいう(以下36-41において同じ。)。

(小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)

36-41 36-40の住宅等のうち、その貸与した家屋の床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分の床面積。以下この項において同じ。)が132平方メ-トル(木造家屋以外の家屋については99平方メ-トル)以下であるものに係る通常の賃貸料の額は、36-40にかかわらず、次に掲げる算式により計算した金額とする。

小規模住宅等に係る通常の賃貸料の額の算式

(注) 敷地だけを貸与した場合には、この取扱いは適用しないことに留意する。

(通常の賃貸料の額の計算に関する細目)

36-42 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算するに当たり、次に掲げる場合には、それぞれ次による。

(1) 例えば、その貸与した家屋が1棟の建物の一部である場合又はその貸与した敷地が1筆の土地の一部である場合のように、固定資産税の課税標準額がその貸与した家屋又は敷地以外の部分を含めて決定されている場合 当該課税標準額(36-41により計算する場合にあっては、当該課税標準額及び当該建物の全部の床面積)を基として求めた通常の賃貸料の額をその建物又は土地の状況に応じて合理的にあん分するなどにより、その貸与した家屋又は敷地に対応する通常の賃貸料の額を計算する。

(2) その住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合 その改訂後の課税標準額に係る固定資産税の第1期の納期限の属する月の翌月分から、その改訂後の課税標準額を基として計算する。

(3) その住宅等が年の中途で新築された家屋のように固定資産税の課税標準額が定められていないものである場合 当該住宅等と状況の類似する住宅等に係る固定資産税の課税標準額に比準する価額を基として計算する。

(4) その住宅等が月の中途で役員の居住の用に供されたものである場合 その居住の用に供された日の属する月の翌月分から、役員に対して貸与した住宅等としての通常の賃貸料の額を計算する。

(通常の賃貸料の額の計算の特例)

36-43 36-40又は36-41により通常の賃貸料の額を計算する場合において、その住宅等が次に掲げるものに該当するときは、その使用の状況を考慮して通常の賃貸料の額を定めるものとする。この場合において、使用者が当該住宅等につきそれぞれ次に掲げる金額をその賃貸料の額として徴収しているときは、その徴収している金額を当該住宅等に係る通常の賃貸料の額として差し支えない。

(1) 公的使用に充てられる部分がある住宅等 36-40又は36-41により計算した通常の賃貸料の額の70%以上に相当する金額

(2) 単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない住宅等 次の算式により計算した金額以上の金額

単身赴任者のような者が一部を使用しているにすぎない住宅等の通常の賃貸料の額の算式

(住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算)

36-44 使用者が住宅等を貸与した全ての役員(令第21条第4号《非課税とされる職務上必要な給付》に規定する者を除く。以下この項において同じ。)からその貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が役員に貸与した全ての住宅等につき36-40から36-43までにより計算した通常の賃貸料の額の合計額以上であるときは、これらの全ての役員につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(使用人に貸与した住宅等に係る通常の賃貸料の額の計算)

36-45 使用者が使用人(公共法人等の役員を含む。以下36-48までにおいて同じ。)に対して貸与した住宅等(当該使用人の居住の用に供する家屋又はその敷地の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利をいう。以下36-48までにおいて同じ。)に係る通常の賃貸料の額は、36-41に掲げる算式により計算した金額とする。この場合において、その計算に関する細目については、36-46に該当する場合を除き、36-42の取扱いに準ずるものとする。

(無償返還の届出がある場合の通常の賃貸料の額)

36-45の2 使用者が役員等に対しこれらの者の居住の用に供する家屋の敷地を貸与した場合において、法人税基本通達13-1-7の規定により当該敷地を将来当該役員等が無償で返還することとしているときは、その土地に係る通常の賃貸料の額は、36-40、36-41、36-43及び36-45にかかわらず、法人税基本通達13-1-2に定める相当の地代の額とする。(昭63直法6-7、直所3-8追加)

(通常の賃貸料の額の改算を要しない場合)

36-46 使用者が使用人に対して貸与した住宅等の固定資産税の課税標準額が改訂された場合であっても、その改訂後の課税標準額が現に通常の賃貸料の額の計算の基礎となっている課税標準額に比し20%以内の増減にとどまるときは、現にその計算の基礎となっている課税標準額を基として36-45の取扱いを適用して差し支えない。この場合において、使用者が徴収している賃貸料の額が36-48に該当するものであるときは、使用人(令第21条第4号に規定する者を除く。以下36-48までにおいて同じ。)に貸与した全ての住宅等を一括して、又は1か所若しくは数か所の事業所等ごとの区分により、20%以内であるかどうかを判定して差し支えない。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(徴収している賃貸料の額が通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合)

36-47 使用者が使用人に対して貸与した住宅等につき当該使用人から実際に徴収している賃貸料の額が、当該住宅等につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の50%相当額以上である場合には、当該使用人が住宅等の貸与により受ける経済的利益はないものとする。

(住宅等の貸与による経済的利益の有無の判定上のプ-ル計算)

36-48 使用者が住宅等を貸与した全ての使用人から、その貸与した住宅等の状況に応じてバランスのとれた賃貸料を徴収している場合において、その徴収している賃貸料の額の合計額が使用人に貸与した全ての住宅等につき36-45により計算した通常の賃貸料の額の合計額の50%相当額以上であるときは、これらの全ての使用人につき住宅等の貸与による経済的利益はないものとする。この場合において、使用人に貸与した全ての住宅等につき一括してこれらの合計額を計算することが困難であるときは、1か所又は数か所の事業所等ごとにその所属する住宅等の全部を基として計算して差し支えない。(平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

(利息相当額の評価)

36-49 使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の租税特別措置法第93条第2項《利子税の割合の特例》に規定する利子税特例基準割合による利率により評価する。(平19課法9-9、課個2-20、課審4-32、平25課法9-7、課個2-16、課審5-32、令2課法11-7、課審5-30改正)

(用役の評価)

36-50 使用者が役員又は使用人に提供した用役については、当該用役につき通常支払われるべき対価の額により評価する。ただし、36-30に定める行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益で、その行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。以下この項において同じ。)に対してその参加に代えて金銭が支給される場合に受けるものについては、その参加しなかった役員又は使用人に支給される金銭の額に相当する額とする。