(免税事業者に係る適格請求書発行事業者の登録申請に関する経過措置)

21−1−1 28年改正法附則第44条第4項《適格請求書発行事業者の登録等に関する経過措置》の規定により、適格請求書発行事業者の登録開始日(同条第3項に規定する「登録開始日」をいう。以下21−1−1において同じ。)が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中である適格請求書発行事業者の登録がされた場合には、当該登録開始日から当該課税期間の末日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定は適用されないのであるから、当該課税期間において免税事業者である事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合には、登録申請書のみを提出すればよく、課税事業者選択届出書の提出を要しないことに留意する。

(注) 28年改正法附則第44条第4項の規定の適用を受け、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者は、当該登録を受けた課税期間の翌課税期間以後の課税期間についても法第9条第1項本文の規定の適用はないこととなる。
 なお、当該事業者(適格請求書発行事業者の登録を受けていないとすれば、同項本文の規定の適用がある事業者に限る。)は、登録開始日の属する課税期間が令和5年10月1日を含む場合、法第57条の2第10項第1号《適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める場合の届出》に規定する適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書を提出し、当該登録の取消しを受けることで、法第9条第1項本文の規定が適用されるが、登録開始日の属する課税期間が令和5年10月1日を含まない場合、登録開始日の属する課税期間の翌課税期間から登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、同項本文の規定は適用されない。

(貸倒れがあった場合の適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置の適用関係)

21−1−2 28年改正法附則第51条の2第1項《適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除》の規定を適用している事業者の行った課税資産の譲渡等に係る売掛金等について貸倒れにより法第39条第1項《貸倒れに係る消費税額の控除等》の規定の適用がある場合又は同項の規定の適用を受けた貸倒れに係る売掛金等を回収した場合における消費税額の計算は、次によるのであるから留意する。

(1) その貸倒れとなった売掛金等に係る消費税額(当該売掛金等の金額に法第39条第1項に規定する割合を乗じて算出した金額をいう。以下21−1−2において同じ。)は、当該課税期間の課税標準額に対する消費税額から、28年改正法附則第51条の2第1項の規定により当該課税期間における仕入控除税額とみなされる金額を控除した後の金額から控除する。

(2) 回収した売掛金等に係る消費税額は、その回収した日の属する課税期間における課税標準額に対する消費税額に加算され、加算後の金額を基に同項の規定により仕入控除税額を計算する。

(適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置)

21−1−3 11−1−3注書2の課税仕入れのように、適格請求書の交付を受けられないことにより法第30条第9項《仕入税額控除に係る請求書等》に規定する請求書等の保存ができない課税仕入れであっても、28年改正法附則第52条第1項又は第53条第1項《適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置》の規定の適用を受ける課税仕入れは、これらの規定により計算した金額が課税仕入れに係る消費税額とみなされることに留意する。

(追記の範囲及び内容)

21−1−4 28年改正法第5条《消費税法の一部改正》による改正前の法第30条第9項《請求書等の範囲》に規定する請求書等(以下21−1−4において「旧法適用請求書等」という。)の交付を受けた事業者が、28年改正法附則第52条第3項《適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置》の規定により、当該旧法適用請求書等に記載された課税資産の譲渡等の事実に基づいて追記することができるのは、次の事項に限られることに留意する。
 なお、(1)の事項に係る記載については、1−8−4に準じて取り扱う。

(1) 旧法適用請求書等に係る課税資産の譲渡等が、軽減対象課税資産の譲渡等である旨

(2) 税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)

(注)1 旧法適用請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を出力することにより作成した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力したものに限る。)に追記する場合も同様である。

2 28年改正法附則第53条第3項《適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置》の規定により、同法第52条第3項を準用して適用する場合も同様である。

(請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置の対象となる事業者の範囲)

21−1−5 28年改正法附則第53条の2《請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置》の規定は、事業者(法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)のその基準期間における課税売上高が1億円以下である課税期間又はその特定期間における課税売上高が5千万円以下である課税期間に限り適用を受けることができるのであるが、新たに設立された法人の基準期間がない課税期間について、その特定期間における課税売上高が5千万円超となった場合でも、28年改正法附則第53条の2の規定の適用を受けることができることに留意する。

(請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置における1万円未満の判定単位)

21−1−6 消費税法施行令等の一部を改正する政令(平成30年政令第135号)附則第24条の2第1項《請求書等の保存を要しない課税仕入れの範囲等》に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合」に該当するか否かは、一回の取引の課税仕入れに係る税込みの金額が1万円未満かどうかで判定するのであるから、課税仕入れに係る一の商品(役務)ごとの税込みの金額によるものではないことに留意する。