(現物出資に係る資産の取得)

11−4−1 事業者が現物出資(令第2条第1項第2号《資産の譲渡等の範囲》に規定する金銭以外の資産の出資をいう。)により資産を取得した場合において、当該資産の取得が課税仕入れに該当するときにおけるその課税仕入れに係る支払対価の額は、現物出資を行った者との間で授受することとした株式(出資を含む。)の交付(持分を明らかにして株券等を交付しない場合を含む。)の時における当該株式の価額に相当する金額(課税資産に対応する部分に限る。)となる。(平13課消1−5により改正)

(注) 法第12条第7項第3号《分割等の意義》に該当する分割等により設立された新設分割子法人が、同号の契約に基づく金銭以外の資産の譲渡を受けた場合の課税仕入れに係る支払対価の額は、新設分割親法人との間で授受することとした金額のうち課税資産に対応する部分の金額となる。

(建物と土地等とを同一の者から同時に譲り受けた場合の取扱い)

11−4−2 事業者(令49条第1項第1号ハ(3)《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等》に規定する事業者に限る。)が、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第2条第2号《用語の定義》に規定する建物と同条第1号に規定する宅地とを同一の者(適格請求書発行事業者を除く。)から同時に譲り受けた場合には、当該譲受けに係る支払対価の額を課税仕入れに係る支払対価の額とその他の仕入れに係る支払対価の額とに合理的に区分しなければならないのであるが、その支払対価の額につき、所得税又は法人税の土地の譲渡等に係る課税の特例の計算における取扱いにより区分しているときは、その区分したところによる。

(郵便切手類又は物品切手等の引換給付を受けた場合の課税仕入れに係る支払対価の額)

11−4−3 法別表第二第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類(日本郵便株式会社又は法別表第二第4号イに規定する施設若しくは承認販売所から直接購入したものに限る。)又は物品切手等(当該物品切手等の引換給付を行う者から直接購入したものに限る。)による引換給付として次の課税仕入れを行った場合の課税仕入れに係る支払対価の額は、事業者が当該郵便切手類又は物品切手等の取得に要した金額とする。

(1) 規則第26条の6第2号《適格請求書等の交付が著しく困難な課税資産の譲渡等》に規定する郵便の役務及び貨物の運送に係る課税仕入れ

(2) 令第49条第1項第1号ロ《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等》に規定する課税仕入れ

(課税資産の譲渡等に係る為替差損益の取扱い)

11−4−4 支払対価を外貨建てとする課税仕入れを行った場合において、課税仕入れを行った時の為替相場(外国為替の売買相場をいう。以下同じ。)と当該外貨建てに係る対価を決済した時の為替相場が異なることによって、為替差損益が生じたとしても、当該課税仕入れに係る支払対価の額は課税仕入れを行った時において当該課税仕入れの支払対価の額として計上した額となるのであるから留意する。

(課税仕入れに係る支払対価の額が確定していない場合の見積り)

11−4−5 事業者が課税仕入れを行った場合において、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日までにその支払対価の額が確定していないときは、同日の現況によりその金額を適正に見積もるものとする。この場合において、その後確定した対価の額が見積額と異なるときは、その差額は、その確定した日の属する課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額に加算し、又は当該課税仕入れに係る支払対価の額から控除するものとする。

(特定課税仕入れに係る消費税額)

11−4−6 特定課税仕入れについても法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されるのであるが、その場合における特定課税仕入れに係る消費税額は、当該特定課税仕入れに係る支払対価の額に100分の7.8を乗じて算出した金額であることに留意する。(平27課消1-17により追加、令元課消2-18より改正)

(注) 簡易課税制度が適用されない課税期間において、当該課税期間の課税売上割合が100分の95以上の事業者は、特定課税仕入れを行ったとしても、当分の間、当該特定課税仕入れはなかったものとされるのであるから、当該特定課税仕入れについては、法第30条の規定は適用されないことに留意する。