第8章 輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税

(輸出物品販売場における輸出免税の特例の適用範囲)

8−1−1 法第8条第1項《輸出物品販売場における輸出免税の特例》の規定は、輸出物品販売場(同項に規定する輸出物品販売場をいう。以下この章において同じ。)を経営する事業者が、同項に規定する免税購入対象者に対し、免税対象物品(令第18条第2項《輸出物品販売場で免税販売できる物品の範囲》に規定する免税対象物品をいう。以下8―3―2までにおいて同じ。)で、輸出するため同条第3項《購入手続》に規定する方法により購入されるものの譲渡を行った場合に適用されるのであるから、一般物品(同項第1号に規定する一般物品をいう。以下8―1―10までにおいて同じ。)の譲渡については、免税購入対象者が、国内において生活の用に供した後に、輸出するため購入する場合であっても法第8条第1項の規定により消費税が免除されることに留意する。

(注) 免税購入対象者が、国内において生活の用に供するために購入する消耗品等(令第18条第2項第2号に規定する消耗品(以下8―1―1及び8―1―3において「消耗品」という。)並びに同条第4項《消耗品として免税販売手続を行う資産》の規定により消耗品として同条第2項、第3項、第13項及び第14項並びに第18条の3第1項《免税手続カウンターにおける手続等の特例》の規定が適用される資産をいう。以下8―1―12までにおいて同じ。)の譲渡については、法第8条第1項の規定の適用はない。

(「対価の額の合計額」の意義)

8−1−2 法第8条第1項《輸出物品販売場における輸出免税の特例》及び令第18条第2項第2号《免税対象物品の範囲》に規定する「対価の額の合計額」は、同一の輸出物品販売場において、同一の日に、同一の免税購入対象者に対して複数の一般物品又は消耗品等を譲渡した場合は、一般物品又は消耗品等の区分に応じたそれぞれの「対価の額の合計額」をいうことに留意する。
 なお、同一の輸出物品販売場において、同一の日に、同一の免税購入対象者に対して時間又は売場を異にして、複数の一般物品又は消耗品等を譲渡した場合も同様である。

(一般物品と消耗品とが一の資産を構成している場合)

8−1−3 令第18条第4項第1号《消耗品として免税販売手続を行う資産》に規定する「一般物品と消耗品とが一の資産を構成している場合」とは、一般物品と消耗品を組み合わせて一の商品としている場合をいう。
 なお、一般物品の機能を発揮するために通常必要な消耗品が当該一般物品に付属されている場合は、「一般物品と消耗品とが一の資産を構成している場合」に該当せず、一の一般物品に該当することに留意する。

(災害その他やむを得ない事情の範囲)

8−1−4 法第8条第2項ただし書《輸出物品販売場免税の不適用の規定を適用しない場合等》に規定する「災害その他やむを得ない事情」の意義は、次の各号に掲げるところによる。(令2課消2-9により改正)

(1) 「災害」とは、震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火等の天災又は火災その他の人為的災害で自己の責任によらないものに基因する災害をいう。

(2) 「やむを得ない事情」とは、前号に規定する災害に準ずるような状況又は当該事業者の責めに帰することができない状況にある事態をいう。

(免税購入した消耗品等を国内において生活の用に供した場合)

8−1−5 輸出物品販売場において、令第18条第3項《購入手続》に規定する方法により消耗品等を購入した免税購入対象者が、当該消耗品等を国内において消費等生活の用に供した場合には、法第8条第3項《輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収》に規定する「当該物品を輸出しないとき」に該当することに留意する。

(輸出しないときの範囲)

8−1−5の2 輸出物品販売場において免税対象物品を令第18条第3項各号《購入手続》に掲げる方法(同項第3号及び第6号に掲げる方法を除く。)により購入した免税購入対象者が、本邦から出国する際に当該物品を所持していなかった場合には、原則として、法第8条第3項《輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収》に規定する「当該物品を輸出しないとき」に該当することに留意する。
 ただし、免税購入対象者が本邦から出国する際に、その出港地を所轄する税関長に対し次の書類のいずれかを提示した場合で、当該物品を輸出したことが当該書類により明らかなときは、同項に規定する「当該物品を輸出しないとき」に該当しないものと取り扱って差し支えない。
 なお、免税購入対象者が免税購入対象者でなくなる場合において、そのなくなる時におけるその者の住所又は居所の所在地を所轄する税務署長に対して当該書類を提示し、そのなくなる時までに当該物品を輸出したことが当該書類により明らかなときも同様とする。

(1) 輸出許可書又はその写し

(注) 電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律第3条《情報通信技術活用法の適用》の規定に基づき、電子情報処理組織を使用して輸出申告し、輸出の許可があったものにあっては、「輸出許可通知書(輸出申告控)」又は「輸出申告控」及び「輸出許可通知書」が輸出許可書に該当するものとする。

(2) 万国郵便条約第1条《定義》に規定する小包郵便物又はEMS郵便物(以下8―1―5の2において「小包郵便物等」という。)として当該物品を輸出する場合(当該輸出の時における輸出される資産の価額が20万円以下であるとして関税法第76条第1項《郵便物の輸出入の簡易手続》の規定の適用があるものを輸出する場合に限る。)に日本郵便株式会社から交付を受けた当該小包郵便物等の引受けを証する書類及び当該小包郵便物等に貼り付け又は添付した次に掲げる事項が記載された書類の写し

イ 当該物品を輸出する者の氏名及び住所又は居所

ロ 当該物品の品名並びに品名ごとの数量及び価額

ハ 当該物品の受取人の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は事務所等の所在地

ニ 日本郵便株式会社による当該物品の引受けの年月日

(3) 万国郵便条約第1条《定義》に規定する通常郵便物として当該物品を輸出する場合(当該輸出の時における輸出される資産の価額が20万円以下であるとして関税法第76条第1項の規定の適用があるものを輸出する場合に限る。)に日本郵便株式会社から交付を受けた当該通常郵便物の引受けを証する書類で(2)ロに掲げる事項に係る追記をしたもの

(4) (2)又は(3)に掲げる書類に準ずる書類((2)イからハまでに掲げる事項及び当該物品の輸出を引き受けた者(貨物利用運送事業法第20条《許可》又は第45条第1項《許可》の規定による許可を受けて同法第6条第1項第5号《登録の拒否》に規定する国際貨物運送に係る同法第2条第8項《定義》に規定する第二種貨物利用運送事業を経営する者に限る。)による引受けの年月日が記載されたものに限る。)

(輸出免税物品につき国内で譲渡等があった場合の消費税の即時徴収)

8−1−6 法第8条第5項《輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収》(同条第6項《輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収に係る連帯納付義務》において準用する場合を含む。)の規定は、免税対象物品で免税購入対象者が輸出物品販売場において同条第1項《輸出物品販売場における輸出免税の特例》に規定する方法により購入したもの(以下8―1―7までにおいて「輸出免税物品」という。)を、当該免税購入対象者が国内において譲り渡した場合(譲渡の委託を受けた者又は媒介をする者に所持させた場合を含む。)、当該輸出免税物品を当該免税購入対象者から譲り受けた場合及び当該輸出免税物品を当該免税購入対象者から引渡しを受けて所持した場合(譲渡若しくは譲受けの委託を受け、又は媒介のため当該輸出免税物品の引渡しを受けて所持した場合をいう。)に適用される。この場合において、当該輸出免税物品を譲り受けた者と当該譲渡に関して所持した者とがあるときは、これらの者は、当該免税購入対象者と連帯して同条第1項の規定による免除に係る消費税額に相当する消費税額を納付する義務を負うため、税務署長は、これらのいずれの者からも同条第6項後段において準用する同条第5項の規定により消費税を徴収することができるのであるから留意する。

(即時徴収する場合の法定納期限及び延滞税の起算日)

8−1−7 法第8条第3項《輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収》及び同条第5項《輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収》(同条第6項《輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収に係る連帯納付義務》において準用する場合を含む。)の規定により直ちにその消費税を徴収する場合の法定納期限は、次に掲げる日であり、延滞税の計算は当該法定納期限の翌日から起算することとなるのであるから留意する。

(1) 法第8条第3項の規定によるもの((2)に掲げるものを除く。) 同項に規定する免税購入対象者が本邦から出国する日(その者が免税購入対象者でなくなる場合には当該免税購入対象者でなくなる日)

(2) 令第18条第17項《国際第二種貨物利用運送事業者が輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収》の規定により読み替えて適用する法第8条第3項の規定によるもの 令第18条第3項第3号《購入手続》に規定する国際第二種貨物利用運送事業者が同号の規定に基づき免税購入対象者から引渡しを受けた輸出免税物品を輸出しないこととなった日(当該輸出しないこととなった日が明らかでないときは、当該輸出免税物品の輸出に係る運送契約を締結した日)

(3) 法第8条第5項の規定によるもの 同項に規定する譲渡又は所持させた日

(4) 法第8条第6項の規定によるもの 同項に規定する譲受け又は所持をした日

(輸出物品販売場免税の不適用の規定を適用しない場合等)

8−1−8 法第8条第2項ただし書《輸出物品販売場免税の不適用の規定を適用しない場合等》に規定する「既に次項本文若しくは第5項本文(第6項において準用する場合を含む。)の規定の適用により消費税が徴収された場合」とは、既に同条第3項本文《輸出免税物品を輸出しない場合の消費税の即時徴収》、第5項本文《輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収》又は第6項《輸出免税物品の譲渡等があった場合の消費税の即時徴収に係る連帯納付義務》の規定を適用して賦課決定が行われた場合をいう。
 同条第3項ただし書又は第5項ただし書に該当する場合も同様とする。(令2課消2-9により改正)

(一般物品と消耗品等を譲渡する場合の購入者誓約書の作成方法)

8−1−10 同一の基地内輸出物品販売場(令第18条第3項第4号《購入手続》に規定する基地内輸出物品販売場をいう。以下8―2―1までにおいて同じ。)において、同一の日に、同一の合衆国軍隊の構成員等(同条第1項第2号《免税購入対象者の範囲》に規定する合衆国軍隊の構成員等をいう。)に対して一般物品と消耗品等を譲渡する場合に作成することとなる購入者誓約書(同条第3項第4号に規定する購入後において輸出する旨を誓約する書類及び同項第5号《購入手続》に規定する購入した日から30日以内に輸出する旨を誓約する書類をいう。)は、一の書類として作成することができる。
 この場合において、その記載事項のうち、例えば、購入者の氏名、所属、機関など、同一の記載内容については、重複して記載することを要しないが、同一の記載内容でない「一般物品の品名、品名ごとの数量及び価額並びに当該一般物品の価額の合計額」及び「消耗品の品名、品名ごとの数量及び価額並びに当該消耗品の価額の合計額」については、それぞれ区分して記載する必要があることに留意する。

(手続委託型輸出物品販売場における免税販売手続)

8−1−11 手続委託型輸出物品販売場(令第18条の2第2項第2号《手続委託型輸出物品販売場の許可要件》に規定する手続委託型輸出物品販売場をいう。以下8―3―5までにおいて同じ。)における免税販売手続(令第18条第7項《購入記録情報の提供》に規定する免税販売手続をいう。以下8―3―5までにおいて同じ。)は、免税販売手続(購入記録情報(同項に規定する購入記録情報をいう。以下8―3―5までにおいて同じ。)の提供に係るものを除く。)の代理に関する契約に基づき、承認免税手続事業者(令第18条の2第7項《承認免税手続事業者の定義》に規定する承認免税手続事業者をいう。以下8―3―5までにおいて同じ。)が当該手続委託型輸出物品販売場を経営する事業者に代わって行うこととなるから、令第18条第3項第1号から第3号《購入手続》までの規定による提示及び提供並びに提出は、承認免税手続事業者に対して行うこととなることに留意する。
 なお、同条第11項《免税購入対象者に対する説明義務》の規定により免税購入対象者に対して行うこととされている説明は、承認免税手続事業者が行うことに留意する。

(承認免税手続事業者が設置する免税手続カウンターにおける合算の取扱い)

8−1−12 令第18条の3第1項《免税手続カウンターにおける手続等の特例》の規定は、令第18条第14項《輸出物品販売場における輸出免税の最低限度額》に定める金額以上となるかどうかの判定にのみ適用されるものであることに留意する。

(注) 消耗品等の譲渡に係る対価の額の合計額が50万円を超えるかどうかの判定は、販売場ごとに行うこととなることに留意する。