(食品の範囲)

5−9−1 法別表第一第1号《飲食料品の譲渡》に規定する「食品(食品表示法(平成25年法律第70号)第2条第1項《定義》に規定する食品(酒税法(昭和28年法律第6号)第2条第1項《酒類の定義及び種類》に規定する酒類を除く。)をいう。)」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいうから、例えば、人の飲用又は食用以外の用途に供するものとして取引される次に掲げるようなものは、飲食が可能なものであっても「食品」に該当しないことに留意する。

(1) 工業用原材料として取引される塩

(2) 観賞用・栽培用として取引される植物及びその種子

(注) 人の飲用又は食用に供されるものとして譲渡した食品が、購入者により他の用途に供されたとしても、当該食品の譲渡は、法別表第一第1号に掲げる「飲食料品の譲渡」に該当する。

(飲食料品の販売に係る包装材料等の取扱い)

5−9−2 飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器(以下5−9−2において「包装材料等」という。)が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め飲食料品の譲渡に該当することに留意する。

(注)1 贈答用の包装など、包装材料等につき別途対価を定めている場合の当該包装材料等の譲渡は、飲食料品の譲渡には該当しない。

2 例えば、陶磁器やガラス食器等の容器のように飲食の用に供された後において食器や装飾品等として利用できるものを包装材料等として使用している場合には、食品と当該容器をあらかじめ組み合わせて一の商品として価格を提示し販売しているものであるため、当該商品は令第2条の3第1号《飲食料品に含まれる資産の範囲》に規定する一体資産に該当する。

(一の資産の価格のみが提示されているもの)

5−9−3 令第2条の3第1号《飲食料品に含まれる資産の範囲》に規定する一体資産は、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、当該一の資産に係る価格のみが提示されているものに限られるから、例えば、次のような場合は、食品と食品以外の資産が一の資産を形成し、又は構成しているものであっても、一体資産に該当しないことに留意する。

(1) 食品と食品以外の資産を組み合わせた一の詰め合わせ商品について、当該詰め合わせ商品の価格とともに、これを構成する個々の商品の価格を内訳として提示している場合

(2) それぞれの商品の価格を提示して販売しているか否かにかかわらず、食品と食品以外の資産を、例えば「よりどり3品△△円」との価格を提示し、顧客が自由に組み合わせることができるようにして販売している場合

(注)1 (1)、(2)の場合、個々の商品ごとに適用税率を判定することとなる。

2 (2)の場合に個々の商品に係る対価の額が明らかでないときは、令第45条第3項《一括譲渡した場合の課税標準の計算の方法》の規定により、対価の額を合理的に区分することとなる。

(一体資産に含まれる食品に係る部分の割合として合理的な方法により計算した割合)

5−9−4 令第2条の3第1号《飲食料品に含まれる資産の範囲》に規定する「一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合」とは、事業者の販売する商品や販売実態等に応じ、例えば、次の割合など、事業者が合理的に計算した割合であればこれによって差し支えない。

(1) 当該一体資産の譲渡に係る売価のうち、合理的に計算した食品の売価の占める割合

(2) 当該一体資産の譲渡に係る原価のうち、合理的に計算した食品の原価の占める割合

(注)1 原価に占める割合により計算を行う場合において、当該原価が日々変動するなど、当該割合の計算が困難なときは、前課税期間における原価の実績等により合理的に計算されている場合はこれを認める。

2 売価又は原価と何ら関係のない、例えば、重量・表面積・容積等といった基準のみにより計算した割合は、当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額に占める割合として合理的な方法により計算した割合とは認められない。

(自動販売機による譲渡)

5−9−5 自動販売機により行われるジュース、パン、お菓子等の販売は、飲食料品を飲食させる役務の提供を行っているものではなく、単にこれらの飲食料品を販売するものであるから、軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡に該当することに留意する。

(飲食店業等の事業を営む者が行う食事の提供の意義)

5−9−6 法別表第一第1号イ《飲食料品の譲渡》に規定する食事の提供(以下5−9−6、5−9−9及び5−9−10において「食事の提供」という。)には、食品衛生法施行令第34条の2第2号《小規模な営業者等》に規定する飲食店営業を行う者のみならず、飲食料品をその場で飲食させる事業を営む者が行う食事の提供の全てが該当することに留意する。

(飲食に用いられる設備)

5−9−7 法別表第一第1号イ《飲食料品の譲渡》に規定する「テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備」(以下5−9−8までにおいて「飲食設備」という。)は、飲食料品の飲食に用いられる設備であれば、その規模や目的を問わないから、例えば、テーブルのみ、椅子のみ、カウンターのみ若しくはこれら以外の設備であっても、又は飲食目的以外の施設等に設置されたテーブル等であっても、これらの設備が飲食料品の飲食に用いられるのであれば、飲食設備に該当することに留意する。

(飲食設備等の設置者が異なる場合)

5−9−8 飲食料品を提供する事業者とテーブルや椅子等の設備を設置し、又は管理している者とが異なる場合において、これらの者の間の合意等に基づき、当該設備を当該事業者の顧客に利用させることとしているときは、当該設備は、飲食設備に該当することに留意する。

(注) 飲食料品を提供する事業者と何ら関連のない公園のベンチ等の設備は、当該事業者から飲食料品を購入した顧客が飲食に利用した場合であっても、飲食設備には該当しない。

(食事の提供の範囲)

5−9−9 食事の提供は、事業者がテーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備のある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供をいうのであるから、レストラン、喫茶店、食堂、フードコート等(以下5−9−9において「レストラン等」という。)のテーブルや椅子等の飲食に用いられる設備のある場所で、顧客に飲食させる飲食料品の提供のほか、飲食目的以外の施設等で行うものであっても、テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備のある場所を顧客に飲食させる場所として特定して行う、例えば、次のようなものは、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象とならないことに留意する。

(1) ホテル等の宿泊施設内のレストラン等又は宴会場若しくは客室で顧客に飲食させるために行われる飲食料品の提供

(2) カラオケボックス等の客室又は施設内に設置されたテーブルや椅子等のある場所で顧客に飲食させるために行われる飲食料品の提供

(3) 小売店内に設置されたテーブルや椅子等のある場所で顧客に飲食させるために行われる飲食料品の提供

(4) 映画館、野球場等の施設内のレストラン等又は同施設内の売店等の設備として設置されたテーブルや椅子等のある場所で顧客に飲食させるために行われる飲食料品の提供

(5) 旅客列車などの食堂施設等において顧客に飲食させるために行われる飲食料品の提供

(注)1 (1)から(5)の場合においても、持ち帰りのための飲食料品の譲渡(飲食料品を持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行った飲食料品の譲渡)は、軽減税率の適用対象となる。
 なお、持ち帰りのための飲食料品の譲渡か否かの判定は、5−9−10による。

2 (4)、(5)の施設内に設置された売店や移動ワゴン等による弁当や飲み物等の販売は、例えば、当該施設内の座席等で飲食させるために提供していると認められる次のような飲食料品の提供を除き、法別表第一第1号《飲食料品の譲渡》に掲げる「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となる。

イ 座席等で飲食させるための飲食メニューを座席等に設置して、顧客の注文に応じて当該座席等で行う飲食料品の提供

ロ 座席等で飲食させるため事前に予約を受けて行う飲食料品の提供

(持ち帰りのための飲食料品の譲渡か否かの判定)

5−9−10 事業者が行う飲食料品の提供等に係る課税資産の譲渡等が、食事の提供に該当し標準税率の適用対象となるのか、又は持ち帰りのための容器に入れ、若しくは包装を施して行う飲食料品の譲渡に該当し軽減税率の適用対象となるのかは、当該飲食料品の提供等を行う時において、例えば、当該飲食料品について店内設備等を利用して飲食するのか又は持ち帰るのかを適宜の方法で相手方に意思確認するなどにより判定することとなる。
 なお、課税資産の譲渡等の相手方が、店内設備等を利用して食事の提供を受ける旨の意思表示を行っているにもかかわらず、事業者が「持ち帰り」の際に利用している容器に入れて提供したとしても、当該課税資産の譲渡等は飲食料品の譲渡に該当しないのであるから、軽減税率の適用対象とならないことに留意する。

(給仕等の役務を伴う飲食料品の提供)

5−9−11 法別表第一第1号ロ《飲食料品の譲渡》に規定する「課税資産の譲渡等の相手方が指定した場所において行う加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供」は、飲食料品の譲渡に含まないものとされるため、軽減税率の適用対象とならないのであるが、同号ロに規定する「加熱、調理又は給仕等の役務を伴う」とは、課税資産の譲渡等を行う事業者が、相手方が指定した場所に食材等を持参して調理を行って提供する場合や、調理済みの食材を相手方が指定した場所で加熱して温かい状態等で提供する場合のほか、例えば、次の場合も該当するのであるから留意する。
 なお、相手方が指定した場所で加熱、調理又は給仕等の役務を一切伴わないいわゆる出前は、同号に掲げる「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となる。

(1) 飲食料品の盛り付けを行う場合

(2) 飲食料品が入っている器を配膳する場合

(3) 飲食料品の提供とともに取り分け用の食器等を飲食に適する状態に配置等を行う場合

(有料老人ホーム等の飲食料品の提供に係る委託)

5−9−12 老人福祉法に規定する有料老人ホーム等を設置し、又は運営する者(以下5−9−12において「設置者等」という。)が、外部業者へ当該施設の入居者に対する飲食料品の提供に係る調理等を委託している場合において、受託者たる当該外部業者の行う調理等に係る役務の提供は、委託者たる当該設置者等に対する役務の提供であることから、軽減税率の適用対象とならないことに留意する。

(1週に2回以上発行する新聞の意義)

5−9−13 法別表第一第2号《定期購読契約に基づく新聞の譲渡》に規定する「1週に2回以上発行する新聞」とは、通常の発行予定日が週2回以上とされている新聞をいうのであるから、国民の祝日及び通常の頻度で設けられている新聞休刊日によって1週に1回以下となる週があっても「1週に2回以上発行する新聞」に該当する。