(法人課税信託の受託者の納税義務)

4−4−1 法人課税信託(法人税法第2条第29号の2《定義》に規定する法人課税信託をいう。以下この節において同じ。)の受託者は、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等ごとに、それぞれ別の者とみなして消費税法が適用されるのであるが、受託事業者における法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定の適用については、その課税期間の初日の属する固有事業者の課税期間の基準期間における課税売上高により判定する。
 ただし、当該初日の属する固有事業者の課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合であっても、当該固有事業者が課税事業者選択届出書を提出する等により、当該課税期間につき同項本文の規定の適用を受けない場合には、当該受託事業者にも同項本文の規定の適用がないことに留意する。(平19課消1−18により追加)

(受託事業者の簡易課税制度の適用関係)

4−4−2 受託事業者のその課税期間における簡易課税制度の適用の有無は、当該課税期間の初日において固有事業者の同制度の適用の有無により判定するから、当該初日において、当該固有事業者が同制度の適用を受ける事業者である場合に限り、当該受託事業者のその課税期間についても適用される。(平19課消1−18により追加)

(注)  固有事業者が法第37条の2第1項又は第6項《災害等があった場合の中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の届出に関する特例》の承認を受けたことにより、受託事業者のその課税期間の初日における固有事業者の簡易課税制度の適用の有無に変動が生じた場合には、次のとおりとなる。
 なお、固有事業者が令第57条の2第1項又は第2項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用を受ける旨の届出等に関する特例》の承認を受けた場合も同様である。

(1) 当該固有事業者が法第37条の2第1項の承認を受けた場合
 当該受託事業者のその課税期間につき簡易課税制度が適用される。

(2) 当該固有事業者が法第37条の2第6項の承認を受けた場合
 当該受託事業者のその課税期間につき簡易課税制度が適用されない。

(受託事業者が交付する適格請求書等)

4−4−3 固有事業者が適格請求書発行事業者である場合において、受託事業者の事業として交付する適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書に記載すべき登録番号は、固有事業者の登録番号となることに留意する。

(法人課税信託の受託者が提出する届出書等)

4−4−4 法第9条第4項又は第5項《小規模事業者に係る納税義務の免除》、法第37条第1項又は第5項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》、法第37条の2第1項又は第6項《災害等があった場合の中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の届出に関する特例》、法第57条《小規模事業者の納税義務の免除が適用されなくなった場合等の届出》、法第57条の2第2項又は第8項並びに第10項第1号《適格請求書発行事業者の登録等》、法第57条の3第1項《適格請求書発行事業者が死亡した場合における手続等》、令第20条の2第1項又は第2項《納税義務の免除の規定の適用を受けない旨の届出等に関する特例》及び令第57条の2第1項又は第2項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の適用を受ける旨の届出等に関する特例》の届出又は申請に関する規定が適用されるのは固有事業者に限られるから、受託事業者はこれらの規定に関する届出書又は申請書は提出できない。
 ただし、法第19条第1項第3号から第4号の2《課税期間》及び法第30条第3項《課税売上割合に準ずる割合》の規定は、固有事業者における適用の有無にかかわらず、受託事業者においても適用されるので、受託事業者がこれらの規定の適用を受ける場合には、受託事業者ごとにこれらの規定に関する届出書又は申請書を提出する必要がある。(平19課消1−18により追加、平22課消1−9、平30課消2−5により改正)

(信託事務を主宰する受託者の意義)

4−4−5 法第15条第12項《法人課税信託の受託者に関するこの法律の適用》に規定する「信託事務を主宰する受託者」とは、中心となって信託事務の全体を取りまとめる受託者をいう。
 この場合、全体を取りまとめているかは、信託契約に基づき、信託財産の受入れ事務、信託財産の管理又は処分に関する事務、収益計算の報告事務等の処理の実態を総合的に判定する。 (平19課消1−18により追加)