(登録申請書を提出することができる事業者)

1−7−1 適格請求書発行事業者の登録を受けることができるのは、課税事業者に限られるのであるが、免税事業者であっても、例えば、次の場合のように、登録を受けようとする課税期間において課税事業者となるときは、法第57条の2第2項《適格請求書発行事業者の登録申請》に規定する申請書(以下「登録申請書」という。)を提出することができることに留意する。

(1) 免税事業者である事業者が、基準期間における課税売上高が1,000万円超であることにより、翌課税期間から課税事業者となる場合

(2) 免税事業者である事業者が、課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となることを選択する場合

(注) 免税事業者が課税事業者となる課税期間の初日から登録を受けようとするときは、原則として、当該課税期間の初日から起算して15日前の日までに登録申請書を提出しなければならない。

(登録番号の構成)

1−7−2 適格請求書発行事業者登録簿(法第57条の2第4項《適格請求書発行事業者の登録等》に規定する「適格請求書発行事業者登録簿」をいう。以下1−7−3までにおいて同じ。)に登載する登録番号(同項に規定する「登録番号」をいう。以下同じ。)は、次の区分に応じ、それぞれ次によるものとする。

(1) 法人番号を有する課税事業者 法人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第2条第15項《定義》に規定する「法人番号」をいう。)及びその前に付されたローマ字の大文字Tにより構成されるもの

(2) (1)以外の課税事業者 13桁の数字(法人番号と重複しないものとし、当該課税事業者の個人番号(同条第5項に規定する「個人番号」をいう。)は利用しないものとする。)及びその前に付されたローマ字の大文字Tにより構成されるもの

(適格請求書発行事業者の登録の効力)

1−7−3 適格請求書発行事業者の登録は、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日(以下「登録日」という。)からその効力を有するのであるから、法第57条の2第7項《登録等の通知》による通知を受けた日にかかわらず、適格請求書発行事業者は、登録日以後に行った課税資産の譲渡等について法第57条の4第1項《適格請求書の交付義務》の規定に基づき適格請求書を交付することとなることに留意する。

(注)1 登録日から登録の通知を受けた日までの間に行った課税資産の譲渡等について、既に請求書等の書類を交付している場合には、当該通知を受けた日以後に登録番号等を相手方に書面等(既に交付した書類との相互の関連が明確であり、当該書面等の交付を受ける事業者が同項各号に掲げる事項を適正に認識できるものに限る。)で通知することにより、これらの書類等を合わせて適格請求書の記載事項を満たすことができる。

2 適格請求書発行事業者の登録がされた場合、登録日その他の適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項が、インターネットを通じて公表されることとなる。また、適格請求書発行事業者の登録が取り消された又はその効力を失った場合のその年月日についても同様である。

(相続があった場合の登録の効力)

1−7−4 相続があった場合(適格請求書発行事業者以外の相続人が事業を承継した場合に限る。)における適格請求書発行事業者である被相続人の登録は、みなし登録期間(法第57条の3第3項《適格請求書発行事業者が死亡した場合における手続等》に規定する「みなし登録期間」をいう。以下同じ。)後にその効力を失う。したがって、当該被相続人の事業を承継した相続人が当該みなし登録期間後においても適格請求書を交付しようとするときは、新たに登録申請書を提出し、適格請求書発行事業者の登録を受けなければならないことに留意する。
 なお、当該相続人が当該みなし登録期間中に登録申請書を提出した場合において、当該みなし登録期間の末日までに当該申請書に係る適格請求書発行事業者の登録又は法第57条の2第5項《適格請求書発行事業者の登録の拒否》の処分に係る通知がないときは、同日の翌日から当該通知が当該相続人に到達するまでの期間はみなし登録期間とみなされることから、その間の相続人による適格請求書の交付は被相続人の登録番号により行うこととなる。

(注) 適格請求書発行事業者以外の相続人が適格請求書発行事業者である被相続人の事業を承継した場合、当該相続人は、法第57条の3第3項の規定により適格請求書発行事業者とみなされ、法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定の適用を受けないこととなるため、当該相続人がみなし登録期間中に適格請求書発行事業者の登録を受けようとするときは、登録申請書のみを提出すればよく、課税事業者選択届出書の提出を要しないことに留意する。

(共同相続があった場合の登録の効力)

1−7−5 相続があった場合において、2以上の相続人があるときには、相続財産の分割が実行されるまでの間は適格請求書発行事業者である被相続人の事業を承継する相続人は確定しないことから、これらの相続人(適格請求書発行事業者を除く。以下1−7−5において同じ。)は法第57条の3第3項《適格請求書発行事業者が死亡した場合における手続等》に規定する「相続により適格請求書発行事業者の事業を承継した相続人」に該当するものとして取り扱う。
 なお、みなし登録期間の末日までに相続財産の分割が実行された場合において、適格請求書発行事業者である被相続人の事業を承継しないこととなった相続人は、相続財産の分割が実行された日以後同項の規定が適用されないため、同日以後適格請求書発行事業者とみなされないことに留意する。

(合併又は分割があった場合の登録の効力)

1−7−6 合併又は分割があった場合における適格請求書発行事業者の登録の効力は、それぞれ次のようになることに留意する。

(1) 吸収合併又は新設合併があった場合において、被合併法人が受けた適格請求書発行事業者の登録の効力は、当該被合併法人の事業を承継した合併法人には及ばない。したがって、当該合併法人が適格請求書発行事業者の登録を受けようとするときは、新たに登録申請書を提出しなければならない。
 なお、法人が、新設合併によりその事業を承継した場合又は吸収合併により適格請求書発行事業者の登録を受けていた被合併法人の事業を承継した場合において、当該法人が合併があった日の属する課税期間中に登録申請書を提出したときは、当該課税期間は、規則第26条の4第1号《事業を開始した日の属する課税期間》又は第2号《合併があった日の属する課税期間》に規定する課税期間に該当する。

(2) 分割があった場合において、分割法人が受けた適格請求書発行事業者の登録の効力は、当該分割により当該分割法人の事業を承継した分割承継法人には及ばない。したがって、当該分割承継法人が適格請求書発行事業者の登録を受けようとするときは、新たに登録申請書を提出しなければならない。また、法第12条第7項第2号又は第3号《分割等の意義》に該当する分割等により新設分割親法人の事業を引き継いだ新設分割子法人についても同様である。
 なお、法人が、新設分割によりその事業を承継した場合又は吸収分割により適格請求書発行事業者の登録を受けていた分割法人の事業を承継した場合において、当該法人が新設分割又は吸収分割があった日の属する課税期間中に登録申請書を提出したときは、当該課税期間は、規則第26条の4第1号又は第3号《分割があった日の属する課税期間》に規定する課税期間に該当する。

(事業の廃止による登録の失効)

1−7−7 法第57条の2第10項第2号《適格請求書発行事業者の登録の失効》に規定する「適格請求書発行事業者が事業を廃止した場合」には、法第57条第1項第3号《事業を廃止した場合の届出》に規定する事業を廃止した旨の届出書の提出があった場合のほか、法第9条第5項《課税事業者の選択不適用》、第19条第3項《課税期間の特例の選択不適用》、第37条第5項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の選択不適用》、第42条第9項《任意の中間申告書の提出の取りやめ》又は第45条の2第2項《法人の確定申告書の提出期限の特例の取りやめ》のいずれかに規定する事業を廃止した旨の届出書の提出があった場合も含むことに留意する。