(納税義務が免除されない相続人の範囲)

1−5−1 法第10条第1項《相続があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する「その年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である相続人」には、相続のあった日において現に事業を行っている相続人で当該相続のあった日の属する年の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者及び相続があった日の属する年の基準期間において事業を行っていない相続人が該当するのであるから留意する。(平15課消1−37により改正)

(包括遺贈)

1−5−2 法第2条第4項《相続等の範囲》に規定する「包括遺贈」とは、遺贈する財産を特定しないで、財産の全部又は財産の一定の割合として他人に遺贈することをいう。

(被相続人の事業を承継したとき)

1−5−3 法第10条第1項《相続があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する「被相続人の事業を承継したとき」とは、相続により被相続人の行っていた事業の全部又は一部を継続して行うため財産の全部又は一部を承継した場合をいう。

(注) 特定遺贈又は死因贈与により受遺者又は受贈者が遺贈者又は贈与者の事業を承継したときは、法第10条第1項又は第2項の規定は適用されないから、当該受遺者又は受贈者のその課税期間について法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定の適用があるかどうかは、当該受遺者又は受贈者のその課税期間に係る基準期間における課税売上高のみによって判定するのであるから留意する。

(相続があった場合の納税義務)

1−5−4 法第10条各項《相続があった場合の納税義務の免除の特例》の規定は、相続により被相続人の事業を承継した相続人について、次に掲げる場合に該当するときには、納税義務を免除しないとする趣旨であることに留意する。(平15課消1−37、平27課消1−17により改正)

(1) 相続があった年においては、相続人又は被相続人の基準期間における課税売上高のうちいずれかが1,000万円を超える場合

(注) 相続人の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても被相続人の基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、当該相続人の当該相続のあった日の翌日からその年の12月31日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて納税義務が免除されない。

(2) 相続のあった年の翌年及び翌々年においては、相続人の基準期間における課税売上高と被相続人のそれとの合計額が1,000万円を超える場合

(共同相続の場合の納税義務)

1−5−5 法第10条第1項又は第2項《相続があった場合の納税義務の免除の特例》の規定を適用する場合において、2以上の相続人があるときには、相続財産の分割が実行されるまでの間は被相続人の事業を承継する相続人は確定しないことから、各相続人が共同して被相続人の事業を承継したものとして取り扱う。この場合において、各相続人のその課税期間に係る基準期間における課税売上高は、当該被相続人の基準期間における課税売上高に各相続人の民法第900条各号《法定相続分》(同法第901条《代襲相続人の相続分》から第903条《特別受益者の相続分》までの規定の適用を受ける場合には、これらの各条)に規定する相続分に応じた割合を乗じた金額とする。(平17課消1−22により改正)

(合併があった場合の納税義務)

1−5−6 法第11条各項《合併があった場合の納税義務の免除の特例》の規定は、合併により被合併法人の事業を承継した合併法人について、次に掲げる場合に該当するときは、納税義務を免除しないとする趣旨であることに留意する。(平13課消1−5、平15課消1−37、平27課消1−17により改正)

(1) 合併があった日の属する事業年度においては、合併法人の基準期間における課税売上高又は各被合併法人の当該基準期間に対応する期間における課税売上高のうちいずれかが1,000万円を超える場合

(注) 合併法人の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても被合併法人の当該基準期間に対応する期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、当該合併法人の当該合併があった日から当該合併があった日の属する事業年度終了の日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて納税義務が免除されない。

(2) 合併があった日の属する事業年度の翌事業年度及び翌々事業年度においては、合併法人の基準期間における課税売上高と各被合併法人の当該基準期間に対応する期間における課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合

(分割等があった場合の納税義務)

1−5−6の2 法第12条第1項から第6項まで《分割等があった場合の納税義務の免除の特例》の規定の趣旨は、次のとおりであるから留意する。(平13課消1−5により追加、平15課消1−37、平25課消1-34により改正)

(1) 分割等があった日の属する事業年度及び当該事業年度の翌事業年度

イ 新設分割子法人の納税義務
 新設分割子法人の基準期間に対応する期間における各新設分割親法人の課税売上高のうちいずれかが1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されない。

ロ 新設分割親法人の納税義務
新設分割親法人の基準期間における課税売上高によって判定する。

(2) 分割等(新設分割親法人が一の場合に限る。)があった日の属する事業年度の翌々事業年度以後

イ 新設分割子法人の納税義務
新設分割子法人が特定要件(法第12条第3項《特定要件の意義》に規定する特定要件をいう。以下1−5−6の2及び1−5−13において同じ。)に該当し、かつ、新設分割子法人の基準期間における課税売上高と当該新設分割子法人の基準期間に対応する期間における新設分割親法人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されない。

ロ 新設分割親法人の納税義務
新設分割子法人が特定要件に該当し、かつ、新設分割親法人の基準期間における課税売上高と当該新設分割親法人の基準期間に対応する期間における新設分割子法人の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されない。

(3) 吸収分割があった日の属する事業年度及び当該事業年度の翌事業年度

イ 分割承継法人
分割承継法人の基準期間における課税売上高又は当該分割承継法人の基準期間に対応する期間における各分割法人の課税売上高のうちいずれかが1,000万円を超える場合は、納税義務が免除されない。

ロ 分割法人
分割法人の基準期間における課税売上高によって判定する。

(4) 吸収分割があった日の属する事業年度の翌々事業年度以後

イ 分割承継法人
分割承継法人の基準期間における課税売上高によって判定する。

ロ 分割法人
分割法人の基準期間における課税売上高によって判定する。

(合併があった日)

1−5−7 法第11条第1項《吸収合併があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する「合併があった日」とは、合併の効力を生ずる日をいい、同条第3項《新設合併があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する「合併があった日」とは、法人の設立の登記をした日をいう。(平13課消1−5、平14課消1−12、平19課消1−18により改正)

(設立の日)

1−5−8 (平13課消1−5により削除)

(分割等があった日)

1−5−9 法第12条第1項《分割等があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する「分割等があった日」とは、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次の日とする。(平13課消1−5、平14課消1−12により改正)

(1) 当該分割等が法第12条第7項第1号又は第2号《分割等の意義》に該当する場合 同条第1項に規定する新設分割子法人の設立の登記の日

(2) 当該分割等が法第12条第7項第3号《分割等の意義》に該当する場合 同号の契約に基づく金銭以外の資産の譲渡が行われた日

(特定出資の範囲)

1−5−10 (平10課消2−9により削除)

(吸収分割があった日)

1−5−10 法第12条第5項《吸収分割があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する「吸収分割があった日」とは、分割の効力を生ずる日をいう。(平13課消5−1により追加、平14課消1−12、平19課消1−18により改正)

(現物出資に代えて金銭出資により設立した法人に資産を譲渡した場合の法第12条の適用関係)

1−5−11 (平10課消2−9により改正、平13課消1−5により削除)

(分割親法人の分割の翌事業年度の納税義務の判定)

1−5−12 (平13課消1−5により削除)

(株式等の所有割合に異動があった場合の適用関係)

1−5−13 法第12条第1項《分割等があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する新設分割子法人又は新設分割親法人のその課税期間について同条第3項又は第4項《分割等があった場合の納税義務の免除の不適用》の規定の適用があるかどうかを判定する場合において、特定要件に該当するかどうかは、当該課税期間の基準期間の末日の現況による。したがって、例えば、新設分割親法人が新設分割子法人の株式を譲渡し、いったん特定要件に該当しないこととなった場合であっても、その後再び株式を取得することにより、その課税期間の基準期間の末日において特定要件に該当することとなったときは、同条第3項又は第4項の規定の適用があるのであるから留意する。(平13課消1−5により改正)

(分割子法人の事業が分割親法人の事業と同種のものであること)

1−5−14 (平13課消1−5により削除)

(「新設法人」の意義)

1−5−15 法第12条の2第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》に規定する「新設法人」には、基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人が該当するのであるから、法人を新規に設立した事業年度に限らず当該設立した事業年度の翌事業年度以後の事業年度であっても、基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である場合には、新設法人に該当することとなるのであるから留意する。(平10課消2−9により追加、平18課消1−16、平22課消1−9、平25課消1-34により改正)

(法第12条の3第1項に規定する特定要件の判定時期)

1−5−15の2 法第12条の3第1項《特定新規設立法人の納税義務の免除の特例》の規定の適用があるかどうかを判定する場合において、同項に規定する新規設立法人が特定要件(同項に規定する特定要件をいう。)に該当するかどうかは、その基準期間がない事業年度開始の日の現況による。(平25課消1-34により追加)

(注) 同項の規定の適用があるかどうかの判定は、法人を新規に設立した事業年度に限らず、当該設立した事業年度の翌事業年度以後の事業年度であっても、基準期間がない事業年度について行う必要があることに留意する。

(出資の金額の範囲)

1−5−16 法第12条の2第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》に規定する「出資の金額」には、営利法人である合名会社、合資会社又は合同会社に係る出資の金額に限らず、農業協同組合及び漁業協同組合等の協同組合に係る出資の金額、特別の法律により設立された法人で出資を受け入れることとしている当該法人に係る出資の金額、地方公営企業法第18条《出資》に規定する地方公共団体が経営する企業に係る出資の金額及びその他の法人で出資を受け入れることとしている場合の当該法人に係る出資の金額が該当するのであるから留意する。(平10課消2−9により追加、平18課消1−16、平21課消1-10、平22課消1−9、平25課消1-34により改正)

(合併又は分割等により設立された法人における基準期間がない課税期間の納税義務の判定)

1−5−17 合併又は分割等により設立された法人については、法第11条《合併があった場合の納税義務の免除の特例》又は第12条《分割等があった場合の納税義務の免除の特例》の規定が適用されない場合であっても、基準期間がない課税期間については、法第12条の2第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》、第12条の3第1項《特定新規設立法人の納税義務の免除の特例》又は第12条の4第1項若しくは第2項《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》の規定により納税義務の有無を判定する必要があることに留意する。(平10課消2−9により追加、平13課消1−5、平22課消1−9、平25課消1-34、平28課消1-57、令2課消2-9により改正)

(新設法人等の3年目以後の取扱い)

1−5−18 法第12条の2第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》又は第12条の3第1項《特定新規設立法人の納税義務の免除の特例》の規定は、基準期間がない法人について適用されるのであるから、基準期間ができた以後の課税期間(法第12条の2第2項《基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した新設法人の納税義務の免除の特例》、第12条の3第3項《基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した特定新規設立法人の納税義務の免除の特例》又は第12条の4第1項若しくは第2項《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》の規定により法第9条第1項《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定が適用されないこととなる課税期間を除く。)における納税義務の有無の判定は、法第9条第1項の規定によることとなるのであるから留意する。(平10課消2−9により追加、平13課消1−5、平18課消1−16、平22課消1−9、平23課消1-35、平25課消1-34、平28課消1-57、令2課消2-9により改正)

(注)

1 当該法人が、法第9条第1項の規定により納税義務が免除されることとなる場合であっても、特定期間ができた以後の課税期間における納税義務の有無の判定は、法第9条の2第1項《前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例》の規定の適用があることに留意する。

2 当該法人が、合併又は分割等により設立された法人である場合には、基準期間ができた以後の課税期間における納税義務の有無の判定は、法第9条第1項又は第9条の2第1項の規定によるほか、法第11条《合併があった場合の納税義務の免除の特例》又は第12条《分割等があった場合の納税義務の免除の特例》の規定によることとなるのであるから留意する。

(新設法人又は特定新規設立法人の簡易課税制度の適用)

1−5−19 法第12条の2第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》の規定が適用される新設法人又は第12条の3第1項《特定新規設立法人の納税義務の免除の特例》の規定が適用される特定新規設立法人であっても、法第37条第3項第2号《調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の簡易課税制度選択届出書の提出制限》に該当する場合、同項第3号若しくは第4号《高額特定資産を取得した場合等の簡易課税制度選択届出書の提出制限》に該当する場合又は同条第4項が適用される場合を除き、同条第1項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》に規定する中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例(簡易課税制度)の選択はできるのであるから留意する。(平10課消2−9により追加、平22課消1−9、平25課消1−34、平28課消1−57、令3課消2−1により改正)

(法人設立届出書の提出があったときの取扱い)

1−5−20 法法第148条《内国普通法人等の設立の届出》の規定による届出書の提出があった場合において、当該届出書に法第12条の2第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》の規定の適用がある新設法人に該当する旨及び規則第26条第5項各号《新設法人に該当する旨の届出書の記載事項》に規定する事項の記載がある場合には、「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」の提出があったものとして取り扱う。(平10課消2−9により追加、平22課消1−9、平25課消1-34により改正)

(法第12条の2第2項の規定が適用される新設法人)

1−5−21 法第12条の2第2項《基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した新設法人の納税義務の免除の特例》の規定が適用される新設法人は、その基準期間がない事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である同条第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》に規定する新設法人をいうのであるから、同項の規定により法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定が適用されない新設法人に限られないことに留意する。(平22課消1−9により追加、平25課消1-34により改正)

(法第12条の3第3項の規定が適用される特定新規設立法人)

1−5−21の2 法第12条の3第3項《基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した特定新規設立法人の納税義務の免除の特例》の規定が適用される特定新規設立法人は、同条第1項《特定新規設立法人の納税義務の免除の特例》に規定する特定新規設立法人をいうのであるから、同項の規定により法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定が適用されない特定新規設立法人に限られないことに留意する。(平25課消1-34により追加)

(調整対象固定資産を売却等した場合の法第12条の2第2項及び第12条の3第3項の適用関係)

1−5−22 法第12条の2第2項《基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した新設法人の納税義務の免除の特例》の規定は、同条第1項《新設法人の納税義務の免除の特例》に規定する新設法人が、同条第2項に規定する各課税期間(法第37条第1項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》の適用を受ける課税期間を除く。)中に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合に適用されるのであるから、その後に当該調整対象固定資産を廃棄、売却等により処分したとしても、法第12条の2第2項の規定は継続して適用されることに留意する。(平22課消1−9により追加、平25課消1-34により改正)

(注) 法第12条の2第2項の規定を準用することとしている法第12条の3第3項《基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した特定新規設立法人の納税義務の免除の特例》の規定についても同様である。

(高額特定資産を売却等した場合の法第12条の4第1項の適用関係)

1−5−22の2 法第12条の4第1項《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》の規定は、法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定が適用されない事業者が、法第37条第1項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》の規定の適用を受けない課税期間中に法第12条の4第1項に規定する高額特定資産の仕入れ等を行った場合に適用されるのであるから、その後に当該高額特定資産を廃棄、売却等により処分したとしても、同項の規定は継続して適用されることに留意する。
 また、法第12条の4第2項の規定は、法第36条第1項又は第3項《納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整》の規定の適用を受けた高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産をその後に廃棄、売却等により処分したとしても、継続して適用されることに留意する。(平28課消1-57により追加、令2課消2-9により改正)

(特定期間における課税売上高とすることができる給与等の金額)

1−5−23 特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定は、特定期間における課税売上高又は法第9条の2第1項《前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例》の個人事業者若しくは法人が特定期間中に支払った所法第231条第1項《給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書》に規定する支払明細書に記載すべき同項の給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものの合計額のいずれかによることができる。
 この場合の、給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものとは、所得税法施行規則(昭和40年大蔵省令第11号)第100条第1項第1号に規定する給与等の金額をいうことから、当該給与等の金額とは、所得税の課税対象とされる給与、賞与等が該当し、所得税が非課税とされる通勤手当、旅費等は該当しないことに留意する。(平23課消1-35により追加)

(注) 特定期間中において支払った給与等の金額には、未払額は含まれないことに留意する。

(法第12条の4第1項に規定する高額特定資産の支払対価)

1−5−24 資産が高額特定資産に該当するかどうかを判定する場合における令第25条の5第1項第1号《高額特定資産の範囲等》に規定する「課税仕入れに係る支払対価の額」とは当該資産に係る支払対価の額をいい、当該資産の購入のために要する引取運賃、荷役費等又は当該資産を事業の用に供するために必要な課税仕入れに係る支払対価の額は含まれないのであるから留意する。(平28課消1-57により追加)

(共有に係る高額特定資産)

1−5−25 事業者が他の者と共同で購入した資産(以下1−5−25及び12−2−4において「共有物」という。)が高額特定資産に該当するかどうかを判定する場合において、令第25条の5第1項《高額特定資産の範囲等》に規定する金額が1,000万円以上であるかどうかは、当該事業者の共有物に係る持分割合に応じて判定する。(平28課消1-57により追加)

(自己建設資産が調整対象固定資産である場合の高額特定資産の判定)

1−5−26 高額特定資産に該当するかどうかは、自己建設資産が調整対象固定資産である場合には、令第5条各号《調整対象固定資産の範囲》に掲げる資産について、その資産ごとに、その建設等に要した仕入れ等に係る支払対価の額(令第25条の5第1項第2号《高額特定資産の範囲等》に規定する「仕入れ等に係る支払対価の額」をいう。以下1−5−28までにおいて同じ。)の合計額を基礎として判定することに留意する。(平28課消1-57により追加)

(自己建設資産が棚卸資産である場合の高額特定資産の判定)

1−5−27 令第5条各号《調整対象固定資産の範囲》に掲げる資産であっても、棚卸資産の原材料として仕入れるものは、調整対象固定資産に該当しないのであるから、当該原材料を自ら建設等する棚卸資産の原材料として使用した場合には、その原材料の仕入れに係る支払対価の額についても、当該棚卸資産の建設等に要した仕入れ等に係る支払対価の額の合計額に含まれることに留意する。(平28課消1-57により追加)

(保有する棚卸資産を自己建設資産の原材料として使用した場合)

1−5−28 自己が保有する建設資材等の棚卸資産を自己建設資産の原材料として使用した場合には、当該棚卸資産の仕入れに係る支払対価の額は、当該自己建設資産の建設等に要した仕入れ等に係る支払対価の額に含まれることに留意する。(平28課消1-57により追加)

(調整対象自己建設高額資産に係る法第12条の4第2項の適用関係)

1−5−29 法第12条の4第2項《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》の規定は、高額特定資産である棚卸資産若しくは課税貨物又は調整対象自己建設高額資産について法第36条第1項又は第3項《納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整》の規定の適用を受けた場合に適用されるのであるから、これらの規定の適用を受けた課税期間の初日(相続、合併又は分割があったことにより、法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定の適用を受けないこととなった場合には、その受けないこととなった日をいう。以下1−5−29において同じ。)の前日において建設等に要した費用の額(法第12条の4第2項に規定する建設等に要した費用の額をいう。以下1−5−29において同じ。)が1,000万円未満である棚卸資産について、当該課税期間の初日以後において当該棚卸資産の建設等に要した費用の額が1,000万円以上となったとしても、法第12条の4第2項の規定は適用されないことに留意する。(令2課消2-9により追加)

(注)  法第12条の4第2項の規定が適用されない場合であっても、棚卸資産について法第36条第1項又は第3項の規定の適用を受け、当該棚卸資産が仕掛品等であったことにより、これらの規定の適用を受けた課税期間の初日以後において当該棚卸資産に係る課税仕入れ等を行った場合には、法第12条の4第1項の規定が適用される場合があることに留意する。

(高額特定資産等が居住用賃貸建物である場合等の法第12条の4の適用関係)

1−5−30 高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産について法第30条第10項《居住用賃貸建物に係る仕入税額控除の制限》の規定が適用された場合のように、課税仕入れについて、同条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》の規定が適用されなかったとしても、法第12条の4第1項又は第2項《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》の規定は適用されることに留意する。(令2課消2-9により追加)

(調整対象自己建設高額資産の判定)

1−5−31 調整対象自己建設高額資産の建設等に要した費用の額には、当該調整対象自己建設高額資産の原材料として使用する令第5条各号《調整対象固定資産の範囲》に掲げる資産及び自己が保有する建設資材等の棚卸資産に係るものも含まれることに留意する。(令2課消2-9により追加)