(正当な理由)

77−1 法第77条第1項ただし書及び第2項ただし書の「正当な理由があるとき」には、例えば、次の場合がこれに当たることに留意する。

(1) 誤って法定の期間より長い期間を不服申立期間として教示した場合において、その教示された期間内に不服申立てがされたとき。

(2) 不服申立人の責めに帰すべからざる事由により、不服申立期間内に不服申立てをすることが不可能と認められるような客観的な事情がある場合(具体的には、地震、台風、洪水、噴火などの天災に起因する場合や、火災、交通の途絶等の人為的障害に起因する場合等)

(第1項と第3項との適用関係)

77−2 処分の相手方の不服申立期間については、法第77条第1項の規定が適用され、同条第3項の規定の適用はないことに留意する。

(注) 滞納処分に係る通知を受けていない者が不服申立てをする場合の不服申立期間については、法第77条第3項の規定が適用される。

(災害等による期限の延長との関係)

77−3 国税庁長官、審判所長(令第38条第2項《権限の委任等》の規定に該当しない場合には、同条第1項の規定により権限を委任された首席国税審判官。以下第91条関係、第105条関係及び第109条関係において同じ。)、国税局長、税務署長又は税関長が法第11条《災害等による期限の延長》の規定により期限の延長をした場合における当該規定により延長された不服申立期間は、法第77条第1項又は第2項の規定にかかわらず、これらの者が指定した期日までとなることに留意する。

(処分があった日)

77−4 法第77条第3項の「処分があつた日」とは、処分に係る書類の送達があった日(公示送達をしたときは、書類の送達があったものとみなされる日)をいうことに留意する。
 なお、不動産等の差押えについて、滞納者に対する差押書の送達前に差押えの登記又は登録がされた場合など、処分に係る書類の送達があった日とその処分の効力が生じた日が異なる場合は、上記にかかわらず、その処分の効力が生じた日が「処分があつた日」となる。

(注) 国税に関する法律に基づく処分に係る通知書その他の書類は、公示送達による場合を除き、郵便又は信書便による送達又は交付送達によりその送達を受けるべき者の住所又は居所に送達するが、送達の効力は、受取人が了知し得る状態に置かれた時、すなわち郵便又は信書便による送達の場合にあっては送達すべき場所に郵便物又は信書便物が到達した時に、交付送達の場合にあっては当該書類が受取人(使用人、同居者その他の受領補助者又は受領代理人を含む。)に交付され又は送達すべき場所に差し置かれた時に、それぞれ生じ、その後当該書類が返還されても送達の効力に影響を及ぼさない。

(期間の計算)

77−5 法第77条第1項の「3月」、第2項の「1月」及び第3項の「1年」の計算については、法第10条《期間の計算及び期限の特例》の規定によること、及びこれらの期間内に再調査の請求書又は審査請求書が提出されたかどうかの判定に当たっては、法第77条第4項の規定により法第22条《郵送等に係る納税申告書等の提出時期》の規定が準用されることに留意する。

(注) 官庁における年始の休暇(行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)に定める1月2日及び同月3日をいう。)は、法第10条第2項《期限の特例》の「一般の休日」に当たる(昭和43.1.30最高裁判決、昭和33.6.2最高裁判決)。

(滞納処分に係る不服申立ての期限等の特例)

77−6 滞納処分に係る不服申立ての期限及び提出時期については、徴収法第171条第1項及び第3項《滞納処分に関する不服申立て等の期限の特例》の定めがあることに留意する。

(標準審理期間)

77の2−1 法第77条の2の「通常要すべき標準的な期間」(以下「標準審理期間」という。)とは、審査請求に係る事件について、審査請求書が規則第12条第1項《審査請求に係る書類の提出先》に規定する国税不服審判所の支部に到達した日から適法な審査請求に対する裁決をするために要する審理期間の目安となる期間をいう。

(標準審理期間を経過した事件)

77の2−2 標準審理期間を経過した事件については、その期間が経過したからといって、不作為の違法又は裁決の手続上の瑕疵には当たらないことに留意する。

(国税不服審判所と支部との関係)

78−1 国税不服審判所の支部は、国税不服審判所の事務の一部を取り扱わせるために置かれるものであって、国税不服審判所と別個独立の官庁ではないから、例えば、審査請求に関して提出する書類が原処分庁の管轄区域を管轄する支部以外の支部に提出された場合においても、それを理由に当該審査請求が不適法となるものではないことに留意する。

(その他国税に関する法律による別段の定め)

80−1 法第80条第1項の「別段の定め」には、例えば、次に掲げる定めがこれに当たることに留意する。

(1) 法第3条《人格のない社団等に対するこの法律の適用》、法第10条《期間の計算及び期限の特例》、法第11条《災害等による期限の延長》、法第12条《書類の送達》、法第13条《相続人に対する書類の送達の特例》、法第14条《公示送達》及び法第124条《書類提出者の氏名、住所及び番号の記載》の規定

(2) 徴収法第8章《不服審査及び訴訟の特例》のうち不服申立てに関する規定

(3) 相続税法附則第3項ただし書《不服申立先等の特例》の規定

(税務官庁の事実上の行為又は不作為についての不服申立て)

80−2 税務官庁の事実上の行為又は不作為についての不服申立てについては、専ら審査法の定めるところによることに留意する。

第2章 審査請求

(審査請求書に記載すべき事項)

87−1 審査請求書には、法第87条に規定する事項の記載のほか、法第124条《書類提出者の氏名、住所及び番号の記載》に規定する事項の記載が必要であることに留意する。

(不適法な再調査の請求に係る合意によるみなす審査請求)

89−1 不適法な再調査の請求は、法第89条第1項の規定により審査請求とみなされたからといって、適法な審査請求となるものではないことに留意する。

(他の更正決定等の意義)

90−1 法第90条第1項及び第2項の「他の更正決定等」とは、例えば、更正決定等がされた税目の同一の課税期間(法第2条第9号《定義》に規定する課税期間をいう。)に係る課税標準等(同条第6号イからハまでに掲げる事項をいう。以下同じ。)又は税額等(同号ニからヘまでに掲げる事項をいう。以下同じ。)についてされた他の更正決定等をいう。

(不適法な再調査の請求に係る法第90条の規定によるみなす審査請求)

90−2 不適法な再調査の請求は、法第90条第3項の規定により審査請求とみなされたからといって、適法な審査請求となるものではないことに留意する。

(補正要求を行う場合)

91−1 法第91条第1項の規定による補正要求は、審査請求が不適法なもので補正可能と認められる場合、例えば、審査請求書に必要な記載事項を欠いている場合(軽微な不備で審査請求の調査及び審理を行う上で支障のない場合を除く。)又は代理人を選任するとき若しくは総代を互選するときにおいて代理人若しくは総代の権限を証する書面の添付がない場合に行うものとする。

(注) 審査請求書に必要な記載事項を欠いたものであっても、軽微な不備で審査請求の調査及び審理を行う上で支障のないものについては、審判所長は職権で補正することができる。

(補正要求の方法)

91−2 法第91条第1項の規定による補正要求は、口頭又は文書により行うものとするが、補正がされない場合にはその審査請求を不適法なものとして却下することとなるような事項のあるものについては、具体的に補正すべき事項を示した書面によりこれを行うものとする。

(再調査決定について審査請求がされた場合の措置)

92−1 再調査決定について審査請求がされた場合においては、明らかに当該決定のみを争う趣旨のものでない限り、法第91条《補正》の規定に準じて再調査決定を経た後の処分についての審査請求とするよう訂正を求めることに留意する。

(不適法であって補正することができないことが明らかなとき)

92−2 法第92条第2項の「不適法であつて補正することができないことが明らかなとき」とは、例えば、次のときをいう。

(1) 審査請求の対象が処分でないとき。

(2) 審査請求の対象となった処分が審査請求をすることができないものであるとき。

(3) 審査請求の対象となった処分が存在しないとき。

(4) 審査請求の対象となった処分が審査請求人の権利又は法律上の利益を侵害するものでないことが明らかなとき。

(5) 審査請求の対象となった処分について、既に審判所長の裁決(却下の裁決を除く。)がされているとき。

(6) 審査請求人が行った再調査の請求が不適法であるとき。

(7) 審査請求が法定の審査請求期間経過後にされたことについて正当な理由がないことが明らかなとき。

(8) 審査請求の対象となった処分について、審査請求人が直接自己の権利又は法律上の利益を侵害された者でないことが明らかなとき。

(答弁書の提出に係る相当の期間)

93−1 法第93条第1項の「相当の期間」とは、答弁書を作成するのに通常要する期間をいい、その期間は、審査請求の対象とされた処分の内容や、当該審査請求が再調査の請求についての決定を経たものであるかなどの事情に応じて定められるべきものであることに留意する。

(反論書等の提出に係る相当の期間)

95−1 法第95条第1項及び第2項の「相当の期間」とは、反論書又は参加人意見書を作成するのに通常要する期間をいい、その期間は、審査請求の対象とされた処分の内容や、審査請求人又は参加人(法第109条第3項《参加人》に規定する参加人をいう。以下同じ。)の事情などに応じて定められるべきものであることに留意する。

(意見陳述の申立て)

95の2−1 法第95条の2第1項の規定による申立てがあった場合には、同条第3項において準用する法第84条第1項ただし書《決定の手続等》の規定に該当する場合を除き、担当審判官は必ず当該申立てをした審査請求人又は参加人(以下第95条の2関係において「申立人」という。)に口頭で意見を述べる機会を与えなければならないから、その機会を与えない又は申立人にとり意見陳述が不可能に等しい機会を与えたことにより、その陳述が行われないままされた裁決は違法となることに留意する。

(注) 1 申立人に対し日時及び場所を指定して意見を述べる機会を与えたにもかかわらず、正当な理由がなく、その機会に出頭しないときは、法第97条の4第2項第2号《審理手続の終結》の規定の適用がある。

2 担当審判官が指定した期日に申立人が出頭した場合には、申立人以外の審査請求人又は参加人が出頭しなかったとしても、当該申立人に改めて口頭意見陳述の機会を与える必要はないことに留意する。

(申立人の所在その他の事情)

95の2−2 法第95条の2第3項において準用する法第84条第1項ただし書の「申立人の所在その他の事情」とは、例えば、申立人が矯正施設に収容されていて相当の期間出所の見込みがない場合など、申立人が担当審判官の指定した期日及び場所に出頭して口頭で意見を述べることが困難であると認められる事情をいう。

(意見陳述の制限)

95の2−3 法第95条の2第3項において準用する法第84条第5項の「その他相当でない場合」とは、例えば、申立人の行う意見陳述が既にされた陳述の繰り返しにすぎない場合その他その発言が口頭意見陳述の趣旨、目的に沿わないと認められる場合がこれに当たることに留意する。

(注) 代理人によってされた意見陳述の効果は、申立人本人に帰属するものであるから、申立人本人から改めて口頭意見陳述の申立てがあったときは、代理人によってされた意見陳述と重複しない限度でこれを行わせることができる。

(質問の許可)

95の2−4 担当審判官は、例えば、申立人の行う質問が審査請求に係る事件に関係のない事項にわたる場合や、既にされた質問の繰り返しにすぎない場合その他口頭意見陳述の円滑な遂行を阻害するおそれがある場合を除き、原則として、法第95条の2第2項の規定による申立人の質問を許可することに留意する。

(補佐人)

95の2−5 法第95条の2第3項において準用する法第84条第3項の「補佐人」とは、申立人に付き添って口頭意見陳述の期日に出頭し、その陳述を補佐する者をいうことに留意する。

(補佐人帯同申請に対する決定義務)

95の2−6 法第95条の2第3項において準用する法第84条第3項の規定により申立人から口頭意見陳述の際、補佐人を帯同したい旨の申請があったときは、担当審判官は速やかにその許否を決定するものとする。

(補佐人帯同の許可の基準)

95の2−7 法第95条の2第3項において準用する法第84条第3項の規定による補佐人の帯同は、申立人が十分に意見陳述を行うことができるよう専門的知識をもってその意見陳述を補佐させる趣旨の制度であるから、担当審判官は、この趣旨に従って許否を決定するものとする。

(注) 許可を与えた場合にも、必要に応じてその許可を取り消すことができる。

(税務代理行為との関係)

95の2−8 補佐人が税理士法に規定する税理士業務の制限規定に該当する行為をするおそれがある場合その他税理士法違反のおそれがある場合には、許可を与えず又は既に与えた許可を取り消すことに取り扱う。