第1項関係
1 「前年度課税移出数量」の意義
前年度課税移出数量(注1、2、3)は、法第7条第1項《酒類の製造免許》の規定により製造免許を受けている酒類の品目にかかわらず、全ての品目の酒類の前年度における純課税移出数量(注4、5)をいう。
(注)1 措置法第87条第1項《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》に規定する「前年度課税移出数量」をいう。以下この編において同じ。
2 前年度課税移出数量の算出に当たっては、完全支配関係のある者の数量も含める。前年度の途中で完全支配関係を有することとなった場合には、完全支配関係を有することとなった後の数量だけでなく、前年度における全体の数量を含める。
なお、完全支配関係は、措置法第87条第4項第2号に規定する「完全支配関係」をいう。以下この編において同じ。
3 2以上の製造場を有する製造者の前年度課税移出数量は、製造場ごと、かつ品目ごとに純課税移出数量を算出し、その合計による。
4 課税移出数量から戻入れ数量を控除した後の数量をいう。以下この編において同じ。
5 純課税移出数量の算出に当たって、課税移出数量から控除する戻入れ数量には、その年度以前に移出した酒類を戻し入れた場合の戻入れ数量を含む。
2 「当該移出につき同法第30条第3項の規定の適用を受けるもの」の取扱い
(1) 再移出控除適用酒類(注)については、他の製造場から移出する際に措置法第87条《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》の規定を適用されたものであるかどうかにかかわらず、税率の特例は適用しない。
(注) 措置法第87条第1項に規定する「当該移出につき同法第30条第3項の規定の適用を受けるもの」をいう。以下この編において同じ。
(2) 再移出控除適用酒類の数量については、第2編第30条第3項関係の3〈再移出控除を受けようとする場合における移入酒類の数量等の計算〉の定めにより算出する。
3 「当年度酒税累計額」の取扱い
当年度酒税累計額(注1、2、3、4、5、6)は、措置法第87条第1項各号《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》の区分を判定する時において、第2編第30条の2第1項、第2項及び第3項関係の2〈税額の端数計算〉及び3〈課税標準数量等の端数計算〉により算出した酒税額とする。
(注)1 措置法第87条第1項に規定する「当年度酒税累計額」をいう。以下この編において同じ。
2 当年度酒税累計額は、本則税額によるものであるから、措置法第87条第1項各号又は第2項の表下欄に定める各割合を乗じる前の金額の累計である。
なお、本則税額は、法第23条《税率》又は措置法第87条の2《低アルコール分の蒸留酒類等に係る酒税の税率の特例》に規定する税率により計算した金額をいう。以下この編において同じ。
3 当年度酒税累計額の計算の基礎となる数量は、純課税移出数量であるほか、再移出控除適用酒類を除き、また、製造免許を受けている酒類と同一の品目のものの数量に限る。
4 酒類を戻し入れた場合、当年度酒税累計額は本則税額によるものであるから、戻し入れた酒類に係る本則税額を当年度酒税累計額から控除する。
5 2以上の製造場を有する製造者の当年度酒税累計額は、製造場ごとに酒税額を算出し、その合計による。
6 措置令第46条の7の2第8項《承認酒類製造者の承認に関する事項等》に基づき、納税申告書に当年度酒税累計額を記載しなければならない。
4 税率の特例を適用する場合の酒税額の計算
(1) 税率の特例を適用する場合の酒税額(注1、2、3)は、第2編第30条の2第1項、第2項及び第3項関係の2〈税額の端数計算〉及び3〈課税標準数量等の端数計算〉により算出した酒税額に、当年度酒税累計額の区分に応じ、措置法第87条第1項各号又は第2項の表下欄《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》に定める各割合を乗じて計算する。
(注)1 その製造場から酒類を移出した順に、その酒類に対して適用する。
2 2以上の製造場を有する製造者が税率の特例を適用する場合において、月中に当年度酒税累計額が5,000万円、8,000万円又は1億円を超える場合には、(注)1にかかわらず、製造者の選択した1製造場から、順次、税率の特例を適用することとして差し支えない。この場合、製造者の選択した1製造場を、当年度酒税累計額が5,000万円を超えることとなる月の酒税に係る期限内申告書を提出するときまでに当該製造場の所轄税務署長に届出させる。
3 製造場から移出した場合であっても法第54条第5項《罰則》の適用があるときには、税率の特例は適用しない。
(2) ただし、再移出控除適用酒類を混和して移出した場合には、第2編第23条の3〈混和酒の税率適用の取扱い〉の定めに準じて算出した酒税額に、当年度酒税累計額の区分に応じて、措置法第87条第1項各号又は第2項の表下欄に定める各割合を乗じて計算する。
(3) (1)及び(2)により算出した税額に1円未満の端数がある場合には、これを切り捨てる。
(4) 法第30条《戻入れの場合の酒税額の控除等》の規定による酒税額の控除については、戻し入れた酒類に係る当初移出時の税率の特例の割合にかかわらず、戻入れ前の当年度酒税累計額の区分に応じ、順次、本則税額に措置法第87条第1項第1号から第3号に定める割合(注)を乗じて計算した酒税が課された酒類を戻し入れたものとして取り扱う。
(注) 同条第2項に該当する場合は、同項の表下欄に定める割合とする。
5 「相続その他の理由により酒類の製造免許に係る製造業の全部又は一部の承継があった」の取扱い
措置令第46条の6第1項《相続等があった場合における前年度課税移出数量等》に規定する「相続その他の理由により酒類の製造免許に係る製造業の全部又は一部の承継があった」とは、法第19条第2項《製造業又は販売業の相続等》の規定により酒類の製造免許を受けたものとみなされた場合のほか、第2編第7条第1項関係の5〈法人成り等の場合の酒類等の製造免許の取扱い〉の取扱いを適用して酒類の製造免許を受けた場合を含むものとして取り扱う。
第1項及び第3項関係
1 「法第7条第1項の規定により製造免許を受けている」の範囲
措置法第87条第1項及び第3項第5号《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》に規定する「法第7条第1項の規定により製造免許を受けている」には、次表の左欄に掲げる酒類の製造免許は含まれるが、右欄に掲げる酒類の製造免許は含まれない。
なお、製造免許に製造する酒類の範囲に条件が付されている場合には、当該条件により製造された酒類に限り、税率の特例を適用するものとして取り扱う。
含まれる製造免許 | 含まれない製造免許 |
---|---|
1 法第19条第2項《製造業又は販売業の相続等》に規定された製造免許 |
1 法第28条第6項《未納税移出》に規定された製造免許 |
2 令和5年改正法附則(注)第56条第6項《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例に関する経過措置》に規定された製造免許 |
ただし、令和5年改正法附則(注)第56条第6項《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例に関する経過措置》に規定された製造免許を除く |
3 過去の改正法附則の経過措置に規定された製造免許 |
2 法第28条の3第4項《未納税引取》に規定された製造免許 |
(注) 所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)の附則をいう。
第2項関係
1 「特定品目前年度課税移出数量」の取扱い
措置法第87条第2項《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》に規定する「特定品目前年度課税移出数量」には、完全支配関係のある者に係る前年度における数量も含まれる。
第3項関係
1 「常時使用する従業員」の範囲
措置法第87条第3項第1号及び第2号《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》に規定する「常時使用する従業員」とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第20条第1項《解雇の予告》に基づいて解雇の予告を必要とする者をいうが、季節的業務に期間を定めて使用される者も含むものとする。
2 資本金の額等の円換算
法人が措置法第87条第3項第3号《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》に掲げる法人に該当するかどうかを判定する場合において、当該法人との間に完全支配関係がある法人が外国法人であるときは、当該外国法人が同項第2号に規定する「資本金の額又は出資金の額が3億円を超え」ているかどうかは、その年度の前年度の末日における当該外国法人の資本金の額又は出資金の額について、その年度の前年度の末日の電信売買相場の仲値により換算した円換算額により判定する。
3 税率の特例を適用しない者の取扱い
年度の途中で措置法第87条第3項第5号、第6号、第8号又は第9号《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》の規定に該当することとなった者については、同条第8項の規定による承認酒類製造者に係る承認の取消の日にかかわらず、該当することとなった日の翌日から、税率の特例を適用しない。
第3項及び第4項関係
1 「完全支配関係」の判定
(1) 一の者と法人との間に当該一の者による完全支配関係があるかどうかは、当該法人の株主名簿、社員名簿又は定款に記載又は記録されている株主等により判定するが、その株主等が単なる名義人であって、当該株主等以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者が保有するものとして判定する。
(2) (1)の判定は、税率の特例の適用を受けようとする前年度の末日までに完全支配関係を有することとなっているかどうかにより行う。例えば、その有することとなった原因が次に掲げる場合には、それぞれ次に定める日をもって完全支配関係を有するものとする。
イ 株式の購入 当該株式の引渡しのあった日
ロ 新たな法人の設立 当該法人の設立後最初の事業年度開始の日
ハ 合併 合併の効力を生ずる日(新設合併の場合は、新設合併設立法人の設立登記の日)
ニ 分割 分割の効力を生ずる日(新設分割の場合は、新設分割設立法人の設立登記の日)
ホ 株式交換 株式交換の効力を生ずる日
2 完全支配関係の判定における従業員持株会の範囲
措置令第46条の7第1項第1号《完全支配関係》に規定する組合は、民法第667条第1項《組合契約》に規定する組合契約による組合に限られる。
なお、いわゆる証券会社方式による従業員持株会は原則としてこれに該当するが、人格のない社団等のいわゆる信託銀行方式による従業員持株会はこれに該当しない。
(注) 上記の従業員持株会の使用人には、法人税法第34条第6項《役員給与の損金不算入》に規定する使用人としての職務を有する役員は含まれない。
第6項及び第8項関係
1 「滞納処分を受けた」の意義
措置法第87条第6項第3号及び第8項第3号《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》に規定する「酒税の滞納処分を受けた」の意義は、第2編第10条第6号関係の1〈「滞納処分を受けた」の意義〉の取扱いに準じる。
2 滞納処分を受けてからの期間の計算の取扱い
措置法第87条第6項第3号《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例》に規定する「申請前2年内において酒税の滞納処分を受けた者」であるかどうかの判定の取扱いは、第2編第10条第6号関係の2〈滞納処分を受けてからの期間の計算の取扱い〉の取扱いに準じる。
1 税率の特例の適用となる酒類
措置法第87条の2《低アルコール分の蒸留酒類等に係る酒税の税率の特例》の規定は、発泡性を有するものは適用がないことに留意する。
[例]
品目 | アルコール分 | 発泡性 | 適用 |
---|---|---|---|
スピリッツ | 12度 | 有 | 無 |
スピリッツ | 12度 | 無 | 有 |
1 定義
措置法第87条の3第1項《入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例》に規定する「輸入」とは、関税法第2条《定義》に定めるところによる。
2 酒税の税率の特例を適用する輸入ウイスキー等の範囲
措置法第87条の3《入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例》に規定する入国者の輸入ウイスキー等の税率の特例の適用範囲は、次による。
(1) 同条第1項に規定する「入国する者がその入国の際に携帯して輸入し、又は政令で定めるところにより別送して輸入するウイスキー等」とは、旅客及び乗務員(以下「旅客等」をいう。)が入国の際に携帯し又は別送して輸入するウイスキー等をいい、次のウイスキー等は含まない。
イ 船舶若しくは航空機の船長、機長若しくは乗組員が携帯し又は別送して輸入する託送ウイスキー等
ロ 旅客が携帯し又は別送して輸入する託送ウイスキー等のうち、当該旅客が消費税及び地方消費税に係る納税証明として輸入許可書の発給を希望するウイスキー等
(2) 同条第2項に規定する「商業量に達する数量のウイスキー等」とは、品目、数量及び価格並び入国者の職業及び入国の事由その他の事情を勘案して明らかに商業量に達すると認められる数量のウイスキー等をいう。
なお、次の場合には「商業量に達する数量のウイスキー等」に該当しないものとして取り扱う。
イ 輸入貿易管理令(昭和24年政令第414号)第14条《特例》の規定により輸入の承認を要しないもののうち同令別表二《入国者の携帯品等》に掲げるもの(品目ごとの課税数量が3個以下(「1個」とは、760程度のもの1本をいう。以下同じ。)のもの、品目ごとの課税数量が3個を超え10個以下であって、その課税価格が30万円程度以下のもの及び品目ごとの課税数量が10個を超え、かつ、それに該当する全ての品目の課税価格の合計額が30万円程度以下のものに限る。)である場合
ロ 輸入貿易管理令第14条《特例》の規定により輸入の承認を要しないもののうち同令別表二《入国者の携帯品等》に掲げるもの以外のものであって、全ての課税価格の合計額が30万円程度以下である場合
(注) 品目とは、関税定率法(明治43年法律第54号)別表に掲げる番号区分による。
(3) 別送して輸入するウイスキー等で、入国の際に「携帯品・別送品申告書」の提出がなかったものであっても、明らかに身回品と認められるもの又は数量が少ないものについては、実情に応じ、入国者の輸入ウイスキー等に対する特例税率を適用しても差し支えない。
3 入国者の輸入ウイスキー等に係る税率の特例によることを希望しない場合
措置法第87条の3第1項ただし書《入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例》の規定により、入国者の輸入ウイスキー等に係る税率の特例によることを希望しない旨を税関に申し出た場合は、次により取り扱う。
(1) 旅客等が旅具検査の際に、自発的に、かつ、携帯し又は別送して輸入するウイスキー等のそれぞれの全部について一般税率によることを希望した場合に限り適用があるのであるから、それぞれのウイスキー等の一部についてのみ一般税率の適用を申し出ても受理しない。
なお、入国の際に携帯品とともに検査を受ける前送ウイスキー等については、携帯して輸入するウイスキー等として取り扱う。
(2) 入国者の輸入ウイスキー等に対する特例税率を適用して通関が行われた後、一般税率の適用を申し出た場合も受理しない。
(3) 別送品を数次にわたり分割して輸入する場合又は船舶の乗組員が携帯品を数港にわたって分割して輸入する場合は、最初に通関を行った際に適用した税率をじ後の輸入についても適用するものとし、これらの場合においては、「携帯品・別送品申告書」又は「乗組員携帯品申告書」の税関記入欄に、適用した税率の種類を記載する。
4 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例の対象となるビールの範囲
措置法第87条の3第1項第1号《入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例》に規定する関税定率法別表第2203・00号(ビール)は、関税についての条約に規定する税率が無税とされているものに限るものであり、条約の締約国以外から携帯輸入等されるビールについては、関税が無税とされず、引き続き関税の簡易税率が適用されるのであるから留意する。
5 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例の対象となるリキュールの範囲
措置法第87条の3第1項第4号《入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例》に規定する関税定率法別表第2208・70号のうち「リキュール」には、人蔘酒、玖瑰露酒、竹葉青酒、五加皮酒、キュラソー等が含まれるので留意する。
6 別送する携帯品の免税の手続等
措置令第46条の6《別送して輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例の手続等》の取扱いについては、次による。
(1) 第1項に規定する「やむを得ない特別な事由」とは、次の場合をいう。
イ 当該物品を積載していた船舶又は航空機が遭難その他の事故により本邦に到着することが遅延した場合
ロ 当該物品の輸出港又は輸入港において荷役のストライキその他これに類する事由によりウイスキー等の積卸しが遅延したため本邦に到着又は輸入することが遅延した場合
ハ その他税関長が真にやむを得ないと認めた場合
(2) 携帯品の別送手続については、関税法上の定めに準じるものとする。
1 「外航船等」の取扱い
措置法第85条《外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税》に規定されている「本邦と外国との間を往来する本邦の船舶又は航空機」(以下、「外航船等」という。)の範囲の取扱いは、関税法(昭和29年法律第61号)第23条《船用品又は機用品の積込み等》第1項に規定する船舶又は航空機のうちの、本邦の船舶又は航空機と同一のものとする。
2 外航船等に積み込む酒類の免税の取扱い
措置法第87条の5《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による外航船等に船用品等として積み込む酒類については、法第29条《輸出免税》の規定が適用されるものであるから留意する。
3 外航船等への積込みの承認の取扱い
(1) 承認申請書の様式等
措置令第45条の2第1項《酒類等の外航船等への積込みの承認》に規定する申請書の様式は、関税法施行令第21条の2第1項若しくは第2項《船用品又は機用品の積込みの手続》又は同令第21条の3第1項《一括して積込みの承認を受けることができる貨物の指定等》の規定による申告書を使用することとし、次の事項を付記させる。
なお、上記の承認申請書は、積み込もうとする酒類が、内国貨物である場合は3通を、外国貨物である場合は4通を、それぞれ提出させる。
イ 措置法第87条の5第1項《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による承認の申請をする旨
ロ 措置令第45条の2《酒類等の外航船等への積込みの承認》第1項第3号に掲げる事項
ハ 措置令第45条の2《酒類等の外航船等への積込みの承認》第1項第5号に掲げる事項として、積み込もうとする酒類の容器1個当たりの酒税相当額並びに、内国貨物の場合は、積込み製造者の氏名又は名称及び製造場名
(注) 上記のうちの1通は承認書として申請者に交付し、1通は船長等に交付する写しとして用いる。
(2) 承認の基準
措置法第87条の5第1項《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による承認は、原則として、措置規則第34条《酒類の数量の計算方法》に規定する数量に、航海又は航行の日数並びに旅客及び乗組員の数を乗じた数量による。ただし、外国におけるレセプション等の催しのため消費量が多く、当該数量では不足するものと認められる等特殊な事情がある場合には、その実情を勘案して実情に則した積込み数量を決定する。
(3) 積込み酒類の選択
措置法第87条の5第1項《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による承認を受けて、外航船等に積み込もうとする酒類の種類は、措置令第45条の2《酒類等の外航船等への積込みの承認》の規定による数量の範囲内において、外航船等の運航者が自由に選択して差し支えない。
(4) 包括承認の取扱い
措置法第87条の5第1項《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による承認は、外航船等に酒類を積み込もうとする都度与えることを原則とするが、機用品で積込みの都度手続することが困難な事情がある場合には、便宜航空機の所有者又は管理者ごとに1か月分又は6か月分の所要数量について包括して承認を与えることに取り扱っても差し支えない。
(5) 積込み期間の指定の取扱い
措置令第45条の2第3項前段《酒類等の外航船等への積込みの承認》に規定する積込期間の指定は、積込みに必要な期間に若干の余裕を見込んで行う。
(6) 指定期間の延長の取扱い
措置規則第33条第1項《指定期間の延長手続》に規定する承認申請書は、関税法施行令第21条の4《積込みの期間の延長の手続》の規定による申請書を使用することとし、当該申請書に措置令第45条の2第3項後段《酒類等の外航船等への積込みの承認》の規定による申請をする旨及び同条第1項第3号に掲げる事項を付記させる。
なお、上記の承認申請書は、2通提出させ、うち1通に積込み承認書を添付させる。
4 表示命令の取扱い
(1) 表示命令の範囲
措置令第45条の2第4項《酒類等の外航船等への積込みの承認》の規定による表示の命令は、当該酒類等が内国貨物か外国貨物であるかにかかわらず、原則として行う。
(2) 表示の方法等
措置令第45条の2第4項《酒類等の外航船等への積込みの承認》の規定による表示の方法は、容器又は1包装ごとの外装の見やすい箇所に容易に識別できるような方法によって、措置法第87条の5第1項《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による承認に係る酒類である旨を明示させる。
5 輸出されたことを証する書類の取扱い
措置規則第36条第3項《外航船等に積み込む酒類等の免税手続》に規定する「法第87条の5第1項の承認を受けた事実を証する書類」は、輸出許可証等に次の事項を付記したものとして取り扱う。
(1) 措置法第87条の5第1項《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による承認に係る承認年月日、承認番号、申請者の住所及び氏名又は名称並びに積込みの指定期間
(2) 措置令第45条の2第3項後段《酒類等の外航船等への積込みの承認》の規定により指定期間の延長の承認を受けた場合は、(1)の事項のほか、当該延長承認に係る(1)の事項
なお、輸出されたことを証する書類の税関長に対する交付申請に当たっては、措置法第87条の5第1項《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による承認書を添付させる。
6 積込み承認書の写しの取扱い
措置法第87条の5第1項《外航船等に積み込む酒類の免税》の規定による承認を受けた者が酒類を外航船等に積み込む場合に、当該外航船等の船長等に当該酒類等が現存する期間中は、常時税関職員に提示できるように、当該外航船等内において船長等に直接保管させる。
7 積換え等の場合の承認等の取扱い
(1) 積換えの承認の取扱い
措置法第87条の5第2項《外航船等に積み込む酒類の免税》(措置法第85条第2項《外航船等に積み込む物品の譲渡等に係る免税》の規定を読み替え)の規定による積換えの場合の承認申請、承認の基準等の取扱いは、措置法第87条の5第1項の規定による積込み承認の場合の取扱いを準用する。
なお、機用品の積換えの場合において、同項の規定による積込み承認を包括して与えている場合は、積換え前後の場所が近接しており、同一運航会社の航空機に積み換えられる場合等で、かつ、税関長において監視取締り上特に支障がないと認めたときは、当該積換え承認についての手続を省略させても差し支えない。
(2) 施封の取扱い
措置令第45条の3《酒類等の積換えの承認等》第3項の規定による施封は、税関長が監視取締り上必要と認めた場合に行うことに取り扱う。
(3) 外航船等でなくなった場合等の残置の承認の取扱い
措置令第45条の3第4項《酒類等の積換えの承認等》の規定による残置の承認申請は、関税法施行令第23条第1項《船舶等の資格の変更の届出》の規定による届出書を使用し、必要事項を付記して行わせることとし、当該承認は外航船等が外航船等でなくなった後短期間のうちに再び外航船等となることが確実と認められ、かつ、税関長において監視取締り上支障ないと認めたときに限り与えることに取り扱うこととし、当該承認を与えたときは、残置する酒類等に対して施封を行うことに取り扱う。
8 船用品等の免税措置の趣旨等の周知
措置法において、外航船等に積み込む酒類等に対する酒税を免税することとしたものは、船用品又は機用品に限られている趣旨に鑑み免税措置の適用を受けて船舶等に積み込まれた酒類が、後日旅客又は乗組員等によって本邦に陸揚げ又は取卸しされることがないよう、あらかじめ関係者に十分説明しておく。
(注)
1 手続委託型輸出物品販売場の許可を受けた 輸出酒類販売場を経営する酒類製造者は、措置令第46条の8の2第5項《輸出酒類販売場における免税販売手続等》の規定に基づいて、あらかじめその輸出酒類販売場の所在地を所轄する税務署長に酒類購入記録情報の提供方法を届け出る必要がある。
2 手続委託型輸出物品販売場の許可を受けた輸出酒類販売場に係る酒類購入記録情報の提供は、例えば、当該手続委託型輸出物品販売場の許可を受けた輸出酒類販売場に係る承認免税手続事業者以外の承認送信事業者に委託することも可能であるが、この場合であっても、原則として、当該承認免税手続事業者が行う免税酒類販売手続の都度、酒類購入記録情報の提供が行われる必要がある。
第2項関係
1 「1キロリットルを超えない範囲」の意義
措置法第87条の8《みなし製造の規定の適用除外の特例》第2項に規定する「1キロリットルを超えない範囲」とは、1年間(4月1日から翌年3月31日までの間をいう。)における同条第1項の規定の適用を受ける混和(以下「特例適用混和」という。)に使用した蒸留酒類の累計数量が1キロリットルを超えないことをいう。
(注)
1 酒場、料理店その他酒類を自己の営業場において飲用に供することを業とする酒類製造者が、自己の製造場において行う蒸留酒類と他の物品との混和は特例適用混和に該当しないので、混和後の酒類の品目の製造免許が必要となるのであるから留意する。
また、混和後の酒類の品目と同一の品目の酒類の製造免許を受けているが、混和後の酒類が製造する酒類の範囲の条件の範囲外である場合には、当該条件の解除又は緩和が必要となるのであるから留意する。
2 例えば、1回の混和につき蒸留酒類1.8リットルびん詰品1本を使用して既に555回の特例適用混和を行っていた者が、次回の特例適用混和に使用できる蒸留酒類の数量は1リットル(1,000リットル−1.8リットル×555=1リットル)であることから、1リットルを超える数量の蒸留酒類を使用した混和は特例適用混和に該当せず、また、混和後の酒類の品目の製造免許が必要となるのであるから留意する。
第4項関係
1 「特例適用混和の開始の日」の意義
措置令第46条の8の8第3項《みなし製造の規定の適用除外の特例》に規定する「特例適用混和の開始の日」とは、初めて特例適用混和を行う日又は同条第5項に規定する終了申告書を提出した者が再び特例適用混和を行う日をいう。
2 「特例適用混和を終了した場合」の意義
措置令第46条の8の8第5項《みなし製造の規定の適用除外の特例》に規定する「特例適用混和を終了した場合」とは、特例適用混和を行っていた営業場における営業を廃止した場合(営業場を他の場所に移転した場合を含む。)等当該営業場において特例適用混和を行わないこととした場合をいう。
(注) 次の場合には、「特例適用混和を終了した場合」に該当するが措置令第46条の8の8第5項に規定する終了申告書の提出は要しないものであるから留意する。
1 措置法第87条の8第1項《みなし製造の規定の適用除外の特例》の規定の適用を受ける者(以下「特例適用者」という。)である個人が死亡した場合又は同人の失踪宣告が確定した場合
2 特例適用者である法人が消滅した場合
用語の意義
この附則における用語の意義は、第1編 総則《用語の意義》によるほか、次による。
(1) 「令和5年改正法」とは、所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)をいう。
(2) 「新措置法」とは、令和5年改正法による改正後の租税特別措置法をいう。
(3) 「旧措置法」とは、令和5年改正法による改正前の租税特別措置法をいう。
第54条 清酒等に係る酒税の税率の特例に関する経過措置
第2項及び第3項関係
令和5年改正法附則第54条第2項及び第3項《清酒等に係る酒税の税率の特例に関する経過措置》の規定によりなおその効力を有するものとされる旧措置法第87条《清酒等に係る酒税の税率の特例》の規定の適用は、次による。
1 「特例適用製造者」の判定
旧措置法第87条第1項《清酒等に係る酒税の税率の特例》に規定する「特例適用製造者」は、同条の適用対象となる清酒等(注1)の製造者のうち、清酒等以外も含めた全ての品目の酒類の前年度における総課税移出数量(注2、3)が10,000㎘以下である者をいう。
(注)1 清酒、合成清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、果実酒又は発泡酒をいう。以下この編において同じ。
2 純課税移出数量の合計をいう。以下この編において同じ。
3 2以上の製造場を有する製造者の特例適用製造者の判定は、製造場ごと、かつ、品目ごとに純課税移出数量を算出し、その合計により行う。
2 「製造場から移出した清酒等のそれぞれの酒類の数量」等の取扱い
旧措置法第87条第1項《清酒等に係る酒税の税率の特例》に規定する「製造場から移出した清酒等のそれぞれの酒類の数量」及び「製造場から移出する清酒等」の数量については、品目ごとの純課税移出数量による。
(注) 製造場から清酒等を移出した場合であっても法第54条第5項《罰則》の適用があるときには、旧措置法第87条の規定は適用しない。
3 税率の特例を適用する場合の数量の取扱い
(1) 税率の特例(注)の適用は、その年度の開始から順次200㎘に達するまでの清酒等ごとの純課税移出数量を積算して行う。
(注) 純課税移出数量を移出した順に順次積算して適用するものであり、例えば、特定の月分だけ適用することや、同一品目のうち、税率の高いものだけに適用はできない。
(2) 2以上の清酒等の製造場を有する製造者が税率の特例を適用する場合において、月中に合計で税率の特例の適用数量が200㎘に達する月においては、(1)にかかわらず、製造者の選択した1製造場において税率の特例を適用することとして差し支えない。この場合、製造者の選択した1製造場を、当該月の酒税に係る期限内申告書を提出するときまでに当該製造場の所轄税務署長に届出させる。
4 「当該移出につき同法第30条第3項の規定の適用を受けるもの」の意義等
再移出控除適用酒類(注1、2)とは、移出につき再移出控除の適用を受ける酒類をいい、原料使用控除を受け又は受けようとする酒類は含まれない。
(注)1 他の製造場から移出する際に旧措置法第87条《清酒等に係る酒税の税率の特例》の規定を適用されたものであるかどうかにかかわらず、再移出控除適用酒類を移出する製造場における「二百キロリットルまでのもの」には含まれない。
2 再移出控除適用酒類の数量については、第2編第30条第3項関係の3〈再移出控除を受けようとする場合における移入酒類の数量等の計算〉の定めにより算出する。
5 税率の特例を適用する場合の酒税額の計算
(1) 税率の特例を適用する場合の酒税額は、第2編第30条の2第1項、第2項及び第3項関係の2〈税額の端数計算〉及び3〈課税標準数量等の端数計算〉により算出した酒税額に、清酒等を製造場から移出する年度に応じ、旧措置法第87条第1項又は第2項《清酒等に係る酒税の税率の特例》に規定する割合を乗じて計算する。
なお、再移出控除適用酒類を混和して移出した場合には、第2編第23条の3〈混和酒の税率適用の取扱い〉の定めに準じて算出した酒税額に、旧措置法第87条第1項又は第2項に規定する割合を乗じて計算する。
(2) (1)により算出した税額に1円未満の端数がある場合には、これを切り捨てる。
6 税率の特例の適用を受けた酒類を戻し入れた場合の取扱い
特例適用酒類(注)を戻し入れた場合の酒税額の控除については、法第30条《戻入れの場合の酒税額の控除等》の規定による。
ただし、戻し入れた酒類が、特例適用酒類であるか否かが明らかでない場合には、次のとおり取り扱う。
(注) 税率の特例の適用を受けた酒類をいう。以下この編において同じ。
(1) 年度当初からの戻入れ分を控除した純課税移出数量が200㎘を超えているときには、戻入れに係る数量の全量を特例適用酒類以外のものとする。
(2) 年度当初からの戻入れ分を控除した純課税移出数量が200㎘以下のときには、次による。
イ 戻入れ分を控除しない場合でも200㎘以下となっているときは、戻入れに係る数量の全量を特例適用酒類とする。
ロ 戻入れ分を控除しない場合に200㎘を超えるときは、200㎘を超える数量を特例適用酒類以外の酒類とし、200㎘までの数量を特例適用酒類とする。
第55条 ビールに係る酒税の税率の特例に関する経過措置
第2項及び第3項関係
令和5年改正法附則第55条第2項及び第3項《ビールに係る酒税の税率の特例に関する経過措置》の規定によりなおその効力を有するものとされる旧措置法第87条の4第3項及び第4項《ビールに係る酒税の税率の特例》の規定の適用は、次による。
1 「特例適用製造者」の判定
旧措置法第87条の4第3項《ビールに係る酒税の税率の特例》に規定する「特例適用製造者」(注)は、同条の適用対象となるビールの製造者のうち、総課税移出数量が10,000㎘以下である者をいう。
(注) 2以上の製造場を有する製造者の特例適用製造者の判定は、製造場ごと、かつ、品目ごとに純課税移出数量を算出し、その合計により行う。
2 ビールに係る酒税の税率の特例の取扱い
旧措置法第87条の4第3項及び第4項《ビールに係る酒税の税率の特例》の適用の取扱いは、第54条第2項及び第3項関係の2から6〈清酒等に係る酒税の税率の特例に関する経過措置〉の定めを準用する。
3 令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に初めてビールの製造免許を受けた者の取扱い
旧措置法第87条の4第1項又は第2項《ビールに係る酒税の税率の特例》の規定の適用を受けていた者は、令和5年改正法附則第55条第2項又は第3項《ビールに係る酒税の税率の特例に関する経過措置》の規定に基づき、旧措置法第87条の4第3項又は第4項の規定の適用を受けることができる。
第56条 承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例に関する経過措置
第5項関係
1 令和5年3月31日以前から完全支配関係がある者の取扱い
令和5年改正法附則第56条第5項《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例に関する経過措置》に基づき、令和5年3月31日以前から引き続き承認酒類製造者との間に完全支配関係がある者の前年度課税移出数量については、当該承認酒類製造者の当該数量に含めない。
第6項関係
1 「酒類製造者が主となって組織する法人」の意義
令和5年改正法附則第56条第6項《承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例に関する経過措置》に規定する「酒類製造者が主となって組織する法人」とは、以下の法人をいう。
(1) 酒類製造者が会社の発行済株式又は総出資金額の50%以上を保有している法人
(2) 法人が中小企業等協同組合法による組合である場合には、酒類製造者が総出資金額の50%以上を出資しており、かつ、構成員の50%以上を占めている法人
(前) 第2編 第53条 納税地