第1項関係

1 「製造する酒類の数量の条件」の取扱い

 製造する酒類の数量につき条件を付ける場合は、次により行う。

(1) 製造制限数量の設定の範囲
 製造する酒類の数量の条件(以下「製造制限数量」という。)は、製造免許に期限を付ける場合又は当該酒類の需給の均衡を破り、ひいては酒税の確保に支障を来すおそれがあると認められる場合に限り付ける。

(注) 特産品焼酎(米、麦、さつまいも又はそばを主原料として製造しようとするものに限る。)及び地場産米使用みりんの製造免許については、当分の間、(2)イのとおり条件を付けることに留意する。

(2) 製造制限数量の算定方法
 製造免許に付ける製造制限数量は、次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げるところにより算出した数量とし、その算出数量にキロリットル位(試験製造免許についてはリットル位。以下同じ。)未満の端数があるときは、その端数を四捨五入してキロリットル位にとどめる。

(注)

1 条件として付ける製造制限数量は、1会計年度間に製造する酒類の数量について制限するものであり、免許条件の延長の場合には改めて算定する必要はない。

2 製造制限数量は、原則として第3条(共通事項)の15〈酒類の製成の時期〉に定める時期に測定すべき数量によるが、合成清酒についてはアルコール分を15度、焼酎についてはアルコール分を25度にそれぞれ換算した数量による。ただし、製造免許を受けた酒類の原料とするために製造する酒類は、製造制限数量には算入しない。

イ 製造免許を付与等しようとする酒類の需給状況並びに申請者等の製造技術及び販売能力等から判断して、製造免許申請書等に記載されている製造見込数量の範囲内において適当と認められる数量による。
 ただし、特産品焼酎(米、麦、さつまいも又はそばを主原料として製造しようとするものに限る。)及び地場産米使用みりんの製造免許については、「製造する数量は、100キロリットル以下に限る。」旨の条件を付ける。

(注) 製造制限数量を算定する場合は、その理由及び算定の根基を明確にしておく。

ロ 試験製造免許の場合は、試験の目的に応じ必要最小限度の数量とする。

2 「製造する酒類の範囲の条件」の取扱い

 製造する酒類の範囲について条件を付ける場合には、当該酒類の成分規格、原料、製造方法等の区分によるものとし、これらの条件は、特に酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持するため必要があると認められるときに限り付ける。

(1) 試験製造免許以外の製造免許の酒類の範囲の条件の取扱い
 製造免許の酒類の範囲につき条件を付ける場合及び具体的な免許条件は、次による。

イ 清酒
 共同してびん詰めすることを目的として清酒製造者が主となって組織する法人の蔵置場又は自己のびん詰めのための蔵置場に対し、製造免許を付与するときは、「酒税法第28条第1項の規定により、未納税移入した清酒に炭酸ガス又は炭酸水を加える場合に限る。」旨。

ロ 輸出用清酒
 第10条第11号関係の2〈酒類の製造免許の取扱い〉の(1)のホにより製造免許を付与するときは、「輸出するために製造するものに限る。」旨。

ハ かす取り焼酎

(イ) 第10条第11号関係の2《酒類の製造免許の取扱い》の(4)のイの(イ)により製造免許を付与等するときは、「自己の清酒の製造に際し生じた酒かす又は米ぬか等の副産物を主原料として製造するもの及びこれに発泡性を持たせたものに限る。」旨。

(ロ) 第10条第11号関係の2《酒類の製造免許の取扱い》の(4)のイの(ロ)により製造免許を付与等するときは、「その構成員の清酒の製造に際し生じた酒かす又は米ぬか等の副産物を主原料として製造するもの及びこれに発泡性を持たせたものに限る。」旨。

ニ 特産品焼酎
 特産品焼酎の製造免許を付与等するときは、「○○(産地の名称等を記載)で生産された特産品である○○を主原料として製造するもの(及びこれに発泡性を持たせたもの)に限る。」旨。

ホ 地場産米使用みりん
 地場産米使用みりんの製造免許を付与するときは、「○○(産地の名称等を記載)で生産された米を主原料として製造するもの(及びこれに発泡性を持たせたもの)に限る。」旨。

ヘ 薬用酒
 薬用酒の製造免許を付与するときは、「リキュール又は甘味果実酒のうち、医薬品医療機器等法の規定により厚生労働大臣より製造の許可を受けたアルコール含有医薬品に限る。」旨。

(2) 試験製造免許の製造する酒類の範囲の条件の取扱い
 試験製造免許を付与する場合には、酒類の範囲につき「試験のために製造する酒類に限る。」旨。

3 「販売する酒類の範囲又は販売方法の条件」の取扱い

 販売する酒類の範囲又は販売方法についての条件は、酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持するため必要があると認められる場合に限り付ける。

(1) 販売する酒類の範囲について条件を付ける場合には、酒類の品目、態様又は特定の者の製造した酒類の区分による。

(例)

1 「清酒に限る。」「ブランデーに限る。」のように、特定の品目ごとに付ける。

2 「薬用酒に限る。」

3 「自己の製造した酒類(自己の製造した酒類と同一の商標を用いて移出する酒類を含む。)に限る。」

4 「輸入した酒類(又は輸出する酒類)に限る。」

5 「○○酒造株式会社の製造した酒類に限る。」のように、特定の業者ごとに付ける。

6 「○○リットル以下容器入りの酒類に限る。」のように、特定の容量の容器ごとに付ける。

7 「御神酒に限る。」のように、特定の表示をした酒類ごとに付ける。

(2) 販売する酒類の販売方法について条件を付ける場合には、業態、区域、販売先又は施設等の区分による。

(例)

1 「大卸(酒類製造者又は酒類卸売業者にのみ販売するもの)に限る。」

2 「卸売(又は小売)に限る。」

3 「販売先は自社の役員及び従業員に限る。」

(3) 酒類販売業免許の区分ごとの具体的な条件は、次のとおりとする。

イ 一般酒類小売業免許
 原則として、「通信販売を除く小売に限る。」旨。
 なお、特に必要と認められる場合には、その他の販売方法又は販売する酒類の範囲について条件を付ける。

ロ 通信販売酒類小売業免許

(イ) 販売する酒類の範囲については、「次に該当する○○、○○及び○○に限る。

A 国産酒類

(A) カタログ等(インターネット等によるものを含む。)の発行年月日の属する会計年度(4月1日から翌年の3月31日までの期間をいう。)の前会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量が、全て3,000キロリットル未満である酒類製造者(以下「特定製造者」という。)が製造、販売する酒類

(B) 地方の特産品等(製造委託者が所在する地方の特産品等に限る。)を原料として、特定製造者以外の製造者に製造委託する酒類であり、かつ、当該酒類の一会計年度における製造委託者ごとの製造委託数量の合計が3,000キロリットル未満である酒類

B 輸入酒類」旨

(ロ) 酒類の販売方法については、
 「2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象としてカタログ等(インターネット等によるものを含む。)を使用して販売のための誘引行為を行い、通信手段により購入の申込みを受け、配達により商品の引渡しを行う小売販売で、かつ、酒類の購入申込者が20歳未満の者でないことを確認できる手段を講ずる場合に限る。」旨

ハ 特殊酒類小売業免許

 特殊酒類小売業免許は、酒類の消費者等の特別の必要に応ずるために付与するものであることから、その特別の必要に応じる範囲において、販売方法又は販売する酒類の範囲について具体的な条件を付ける。
なお、自社の役員及び従業員に対して小売するための酒類小売業免許を付与する場合には、販売方法について、「自社の役員及び従業員に対する小売に限る。」旨の条件を付ける。

ニ  全酒類卸売業免許

(イ) 「卸売(酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨。

(注) 全酒類卸売業免許の分離分割において、分離又は分割前の免許に条件が付せられているときは、その条件と同一の条件を付することに留意する。

(ロ)小規模業者の共同購入機関に対して全酒類卸売業免許を付与等する場合には、「構成員である酒類卸売業者を対象とする卸売に限る。」旨。

(ハ) 酒類小売業者の共同購入機関に対して全酒類卸売業免許を付与等する場合には、「○○協同組合の組合員(協同組合連合会にあっては「○○協同組合連合会の会員たる協同組合及びその組合員」。)である酒類小売業者を対象(○○協同組合自らが開発した商標又は銘柄の酒類で当該商標又は銘柄における組合員への卸売総額の百分の二十までのものについては、この限りではない。)とする卸売に限る。」旨

(注) 中小企業等協同組合法第9条の2第3項において、組合員以外の者の利用分量の総額は、一事業年度における組合員の利用分量の総額の100分の20を超えてはならないこととされている。

ホ  ビール卸売業免許
 「ビールの卸売に限る。」旨。

ヘ 洋酒卸売業免許

(イ) 一般的な洋酒卸売業免許には、販売する酒類の範囲について「果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒に限る。」旨又はこれらの酒類の品目の一以上の酒類に限る旨並びに酒類の販売方法について「卸売に限る。」旨。

(ロ) 薬用酒の卸売業に対する免許には、「薬用の酒類(アルコール含有医薬品)の卸売に限る。」旨。

ト 輸出入酒類卸売業免許

(イ) 輸出酒類卸売業免許には、「自己が輸出する○○の卸売に限る。」旨。

(ロ) 輸入酒類卸売業免許には、「自己(又は○○株式会社)が輸入した○○の卸売に限る。」旨。

(ハ) 輸出入酒類卸売業免許には、「自己が輸出し又は輸入した○○の卸売に限る。」旨。

チ 店頭販売酒類卸売業免許
 「自己の会員である酒類販売業者(住所及び氏名又は名称並びに酒類販売業者であることを免許通知書等により確認した上で、会員として登録し管理しているものに限る。)に対し店頭において酒類を直接引き渡し、当該酒類を会員が持ち帰る方法による卸売に限る。」旨。

リ 協同組合員間酒類卸売業免許
 「自己が加入する事業協同組合の組合員であって、酒類の小売を行うことができる酒類販売業免許を有する者に対する卸売に限る。」旨。

ヌ 自己商標酒類卸売業免許
 「自らが開発した商標又は銘柄の酒類の卸売に限る。」旨。

ル 特殊酒類卸売業免許

(イ) 製造者(共同びん詰業者を除く。)が、自製酒を卸売する場合は、「自製酒(自己の製造した酒類及びこれと同一の商標を用いて移出する酒類をいう。)の大卸(卸売することができる酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨又は「自製酒(自己の製造した酒類及びこれと同一の商標を用いて移出する酒類をいう。)の卸売(酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨。

(ロ) 共同びん詰業者が、その共同びん詰した酒類を卸売する場合は、「自己のびん詰した酒類の大卸(卸売することができる酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨又は「自己のびん詰した酒類の卸売(酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨。

(ハ) 共同びん詰場の構成員である製造者が、自製酒及び参加共同びん詰場において共同びん詰した酒類を卸売する場合は、「自製酒(自己の製造した酒類及びこれと同一の商標を用いて移出する酒類をいう。)及び○○において共同びん詰した酒類の大卸(卸売することができる酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨又は「自製酒(自己の製造した酒類及びこれと同一の商標を用いて移出する酒類をいう。)及び○○において共同びん詰した酒類の卸売(酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨。

(ニ) 同一系列下にある子会社の製造した酒類を親会社の本店、支店、出張所等において、親会社の製造した酒類を同一系列下にある子会社の本店、支店、出張所等において、又は持株会社の所有子会社の製造した酒類を他の所有子会社の本店、支店、出張所等において卸売する場合は、(イ)又は(ハ)に掲げた条件に「○○酒造株式会社の製造した酒類及びこれと同一の商標を用いて移出された酒類」を併記すること。

(ホ) 2以上の製造者が企業合理化のために企業合同する場合において、従来の取引先を確保するための酒類の卸売のみを引き続き行おうとする場合は、「○○酒造株式会社が製造移出した○○の卸売に限る。」旨。

(ヘ) 2以上の製造者(共同びん詰業者を含む。)が、共同して販売機関を設け、その構成員の自製酒を卸売する場合は、「構成員の製造した酒類(構成員の製造した酒類と同一の商標を用いて移出される酒類を含む。)の大卸(卸売することができる酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨又は「構成員の製造した酒類の卸売(酒類販売業者又は酒類製造者に対し酒類を販売することをいう。)に限る。」旨。

4 酒類の販売代理業及び媒介業に対する免許条件の取扱い

 法第11条《製造免許等の条件》第1項に規定する「販売」には販売の代理又は媒介は含まれないものである。したがって、販売の代理業及び媒介業については、販売する酒類の範囲又は販売方法についての条件は付けられないのであるから留意する。

第2項関係

1 製造制限数量の緩和又は解除の取扱い

 製造制限数量の緩和又は解除について申出があった場合には、当該申出者等が法第12条第1号から第3号まで及び第5号《酒類の製造免許の取消し》のいずれにも該当しない場合(期限付免許の場合の第3号の規定の適用については、その期間中に酒類を製造しない場合に限る。)は、当該製造制限数量を販売実績等を勘案し必要と認められる数量まで緩和又は解除する。ただし、特産品焼酎(米、麦、さつまいも又はそばを主原料として製造するものに限る。)及び地場産米使用みりんの製造免許については、この限りでない。

(注) 期限を付けた製造免許及び試験製造免許については、緩和はできるが解除はしないのであるから留意する。

2 「製造する酒類の範囲の条件」の緩和又は解除の取扱い

 製造する酒類の範囲の条件の緩和又は解除について申出があった場合には、当該申出者等が法第12条《酒類の製造免許の取消し》の第1号から第3号まで及び第5号のいずれにも該当しない場合(期限付免許の場合の第3号の適用については、その期間中に酒類を製造しない場合に限る。)で、第10条第11号関係の2〈酒類の製造免許の取扱い〉に該当する場合には、当該条件を緩和又は解除する。

3 「販売する酒類の範囲又は販売方法の条件」の緩和又は解除の取扱い

 販売する酒類の範囲又は販売方法の条件の緩和又は解除について申出があった場合には、当該申出者等が法第14条《酒類の販売業免許の取消し》の各号のいずれにも該当しない場合は、当該緩和又は解除した場合における酒類の販売業免許の区分に従い、当該条件の緩和又は解除の可否を決定する。


酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達目次

(前) 第10条 免許の要件 〔11号〜12号〕

(次) 第12条 酒類の製造免許の取消