(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)

18−4−1 受益者等課税信託における受益者は、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、例えば、一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまる場合であっても、その余の権利を有する者が存しない又は特定されていないときには、当該受益者がその信託の信託財産に属する資産及び負債の全部を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされることに留意する。(平19年課法2−5「八」により追加)

(信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期)

18−4−2 連結法人が受益者等課税信託の受益者(法第12条第2項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》の規定により、同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下18−4−6までにおいて「受益者等」という。)である場合において、当該連結法人の各連結事業年度の連結所得の金額の計算上、当該受益者等である当該連結法人の収益及び費用とみなされる当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、その信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該連結法人の各連結事業年度の期間に対応する収益及び費用となるのであるから、留意する。(平19年課法2−5「八」により追加)

(信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属額の総額法による計算)

18−4−3 受益者等課税信託の受益者等である連結法人は、当該受益者等課税信託の信託財産から生ずる利益又は損失を当該連結法人の収益又は費用とするのではなく、当該連結法人に係る当該信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該連結法人のこれらの金額として各連結事業年度の連結所得の金額の計算を行うのであるから、留意する。(平19年課法2−5「八」により追加)

(権利の内容に応ずることの例示)

18−4−4 令第15条第4項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》の規定の適用に当たっては、例えば、その信託財産に属する資産が、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものである場合において、その各部分の全部又は一部が二以上の受益者等の有する権利の目的となっているときは、当該目的となっている部分(以下18−4−4において「受益者等共有独立部分」という。)については、受益者等共有独立部分ごとに、当該受益者等共有独立部分につき権利を有する各受益者等が、各自の有する権利の割合に応じて有しているものとして同項の規定を適用する。(平19年課法2−5「八」により追加)

(信託による資産の移転等)

18−4−5 委託者と受益者がそれぞれ単一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託においては、次に掲げる移転は受益者である委託者にとって資産の譲渡又は資産の取得には該当しないことに留意する。(平19年課法2−5「八」により追加)

(1) 信託行為に基づき信託した資産の当該委託者から当該受託者への移転

(2) 信託の終了に伴う残余財産の給付としての当該資産の当該受託者から当該受益者への移転

(注) これらの移転があった場合における当該資産(当該信託の期間中に信託財産に属することとなった資産を除く。)の取得の日は、当該委託者が当該資産を取得した日となる。

(信託の受益者としての権利の譲渡等)

18−4−6 受益者等課税信託の受益者等がその有する権利の譲渡又は取得が行われた場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債が譲渡又は取得されたこととなることに留意する。(平19年課法2−5「八」により追加)

(注) 例えば、受益者等がその有する権利の目的となっている信託財産に属する資産が土地である場合において、当該権利が譲渡されたときには、当該受益者等が当該土地を譲渡したものとして、その譲渡の態様に応じて、譲渡、交換、収用、買換え等の法人税に関する法令の規定の適用があることに留意する。

(受益者等課税信託に係る受益者の範囲)

18−4−7 法第12条第1項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》に規定する「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、原則として、例えば、信託法第182条第1項第1号《残余財産の帰属》に規定する残余財産受益者は含まれるが、次に掲げる者は含まれないことに留意する。(平19年課法2−5「八」により追加)

(1) 同項第2号に規定する帰属権利者(以下18−4−8までにおいて「帰属権利者」という。)(その信託の終了前の期間に限る。)

(2) 委託者の死亡の時に受益権を取得する同法第90条第1項第1号《委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例》に掲げる受益者となるべき者として指定された者(委託者の死亡前の期間に限る。)

(3) 委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける同項第2号に掲げる受益者(委託者の死亡前の期間に限る。)

(受益者とみなされる委託者)

18−4−8 法第12条第2項《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》の規定により受益者とみなされる者には、同項に掲げる信託の変更をする権限を現に有している委託者が次に掲げる場合であるものが含まれることに留意する。(平19年課法2−5「八」により追加、平23年課法2−17「三十二」により改正)

(1) 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合

(2) 信託法第182条第2項《残余財産の帰属》に掲げる信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者(以下18−4−8において「残余財産受益者等」という。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者の全てがその権利を放棄した場合