約束手形又は為替手形

(約束手形又は為替手形の意義)

1 「約束手形又は為替手形」とは、手形法(昭和7年法律第20号)の規定により約束手形又は為替手形たる効力を有する証券をいい、振出人又はその他の手形当事者が他人に補充させる意思をもって未完成のまま振り出した手形(以下「白地手形」という。)もこれに含まれるのであるから留意する。

(振出人の署名を欠く白地手形の作成者)

2 振出人の署名を欠く白地手形で引受人又はその他の手形当事者の署名のあるものは、当該引受人又はその他の手形当事者が当該手形の作成者となるのであるから留意する。

(白地手形の作成の時期)

3 白地手形の作成の時期は、手形の所持人が記載要件を補充した時ではなく、その作成者が他人に交付した時であるから留意する。

(手形金額の記載のない手形)

4 手形金額の記載のない手形は、課税物件表第3号の非課税物件欄の規定により、課税文書に該当しないのであるが、当該手形に手形金額を補充した場合には、法第4条《課税文書の作成とみなす場合等》第1項の規定の適用があることに留意する。

(一覧払の手形の意義)

5 「一覧払の手形」とは、手形法第34条第1項(同法第77条第1項第2号において準用する場合を含む。)に規定する支払のための呈示をした日を満期とする約束手形又は為替手形(同法第34条第2項(同法第77条第1項第2号において準用する場合を含む。)の定めをするものを除く。)をいい、満期の記載がないため同法第2条第2項及び同法第76条第2項の規定により一覧払のものとみなされる約束手形及び為替手形を含む。

(満期の記載がないかどうかの判定)

6 5に規定する「満期の記載がない」とは、その手形に手形期日の記載が全くない場合又はこれと同視すべき場合をいい、手形用紙面の支払期日、満期等の文字を抹消することなく、単に当該欄を空白のままにしてあるものについては、一覧払の手形に該当しないものとして取り扱う。

(参着払手形)

7 荷為替手形の満期日欄に「参着払」の表示がなされているいわゆる参着払手形と称するものについては、一覧払の手形として取り扱う。

(手形法第34条第2項の定めをするものの意義)

8 「手形法(昭和7年法律第20号)第34条第2項(一覧払の為替手形の呈示開始期日の定め)(同法第77条第1項第2号(約束手形への準用)において準用する場合を含む)の定めをするもの」とは、いわゆる確定日後一覧払及び一定期間経過後一覧払の手形をいう。

(金融機関を振出人及び受取人とする手形の意義)

9 「日本銀行又は銀行その他政令で定める金融機関を振出人及び受取人とする手形」とは、その手形の振出人及び受取人の双方が、いずれも日本銀行又は銀行その他令第22条《相互間の手形の税率が軽減される金融機関の範囲》に定める金融機関である手形をいう。

(銀行の意義)

10 「銀行」とは、次に掲げるものをいう。(昭59間消3−24、平13課消3−12改正)

  • (1) 銀行法(昭和56年法律第59号)第2条《定義等》第1項に規定する銀行
  • (2) 長期信用銀行法(昭和27年法律第187号)第2条《定義》に規定する長期信用銀行

(貯金又は定期積金の受入れを行うものの意義)

11 令第22条《相互間の手形の税率が軽減される金融機関の範囲》に規定する「貯金又は定期積金の受入れを行うもの」とは、現に貯金又は定期積金の受入れを行っているものをいう。

(外国通貨により手形金額が表示される手形についての非課税規定の適用)

12 外国通貨により手形金額が表示される手形で、通則4のヘの規定により本邦通貨に換算した金額が10万円未満のものは、課税文書に該当しないのであるから留意する。

(外国為替手形の複本)

13 同一内容の外国為替手形を2通以上作成する場合で、当該手形に「First」及び「Second」等の表示をするときは、そのうちの「First」と表示したものを課税文書とし、その他のものは手形の複本として取り扱う。

(銀行等の意義)

14 法別表第一第3号の課税標準及び税率の欄2ニ及び令第23条に規定する「銀行等」は、次に掲げるものが該当するのであるから留意する。(平13課消3−12追加、平20課消3−74改正)

  • (1) 銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫、労働金庫連合会、信用協同組合及び信用協同組合連合会
  • (2) 事業として貯金又は定期積金の受入れをすることができる農業協同組合、農業協同組合連合会、漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会
  • (3) 日本銀行、農林中央金庫、株式会社日本政策金融公庫、株式会社商工組合中央金庫及び株式会社日本政策投資銀行

(税率が軽減される居住者振出しの手形の範囲)

15 令第23条の2《税率が軽減される居住者振出しの手形の範囲及び表示》各号に規定する為替手形の範囲等は、次のとおりである。(平元間消3−15追加、平13課消3−12改正)

(1) 令第23条の2第1号に規定する「輸出に係る荷為替手形」とは、本邦の輸出者が信用状に基づき輸出代金の決済のために本邦所在の銀行等(14に規定する「銀行等」をいう。17までにおいて同じ。)を支払人として振り出す、いわゆる信用状付円建貿易手形と称する円建期限付荷為替手形で銀行等により規則第6条《円建銀行引受手形の表示の書式》に規定する表示を受けたものをいう。

(2) 令第23条の2第2号に規定する「為替手形」とは、本邦の輸出者が輸出代金の決済のために本邦所在の銀行等以外の者を支払人として振り出し、本邦所在の銀行等の割引きを受けた円建期限付荷為替手形を見合いとして、当該銀行等の当該割引きのために要した資金の円建銀行引受手形市場(以下「円建BA市場」という。)における調達に供するため、当該輸出者が当該銀行等を支払人として振り出す、いわゆるアコモデーション手形と称する円建期限付為替手形で、銀行等により規則第6条に規定する表示を受けたものをいう。

(3) 令第23条の2第3号に規定する「為替手形」とは、本邦の輸入者に対して輸入代金の支払いのための円資金を融資した本邦所在の銀行等の当該融資に要した資金の円建BA市場における調達に供するため、当該円資金融資金額を見合いとして、当該融資を受けた輸入者が当該銀行等を支払人として振り出す、いわゆる直ハネ手形と称する円建期限付為替手形で、銀行等により規則第6条に規定する表示を受けたものをいう。

(税率が軽減される手形の担保となる外国の銀行が振り出す手形の範囲)

16 令第23条の3《税率が軽減される手形の担保となる外国の銀行が振り出す手形の範囲》に規定する「為替手形」とは、外国において非住居者に対し、輸出代金の決済のための円建期限付荷為替手形の割引きをし、又は輸入代金の支払いのための円資金の融資をした外国の銀行が、本邦所在の銀行等を支払人として振り出す、いわゆるリファイナンス手形と称する円建期限付為替手形をいう。
  なお、当該手形はそれ自体で円建BA市場において取引することができるものであるが、外国で作成されるものであることから法の適用はないことに留意する。(平元間消3−15追加、平13課消3−12改正)

(税率が軽減される銀行等振出しの手形の範囲)

17 令第23条の4《税率が軽減される銀行等振出しの手形の範囲及び表示》に規定する「為替手形」とは、令第23条の2又は令第23条の3に規定する為替手形の1又は2以上を担保として、本邦所在の銀行等が円資金を供与するために要した資金を円建BA市場において調達するため、自行を支払人として振り出す、いわゆる表紙手形と称する円建期限付為替手形で、規則第6条に規定する表示をしたものをいう。(平元間消3−15追加、平13課消3−12改正)

株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券

(法人の社員又は出資者の意義)

1 「法人の社員」とは、法人の構成員としての社員、例えば、合名会社、合資会社又は合同会社の社員をいい、また「法人の出資者」とは、法人に対して事業を営むための資本として財産、労務又は信用を出資した者をいう。(平18課消3−36改正)

(特別の法律により法人の発行する債券の範囲)

2 「特別の法律により法人の発行する債券」とは、商工債券、農林債券等会社法以外の法律の規定により発行する債券をいう。 (平18課消3−36改正)

(投資信託の受益証券、貸付信託の受益証券、特定目的信託の受益証券及び受益証券発行信託の受益証券の意義)

3 「投資信託の受益証券」、「貸付信託の受益証券」、「特定目的信託の受益証券」及び「受益証券発行信託の受益証券」は、それぞれ次に揚げるものをいう。(平13課消3-12、平19課消3-47改正)

  • (1) 「投資信託の受益証券」 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)第2条第7項《定義》に規定する受益証券
  • (2) 「貸付信託の受益証券」 貸付信託法(昭和27年法律第195号)第2条第2項《定義》に規定する受益証券
  • (3) 「特定目的信託の受益証券」 資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第2条第15項《定義》に規定する受益証券
  • (4) 「受益証券発行信託の受益証券」 信託法(平成18年法律第108号)第185条第1項《受益証券の発行に関する信託行為の定め》に規定する受益証券

(社債券の範囲)

4 「社債券」とは、会社法の規定による社債券、特別の法律により法人の発行する債券及び相互会社(保険業法(平成7年法律第105号)第2条第5項《定義》の相互会社をいう。以下同じ。)の社債券に限られるのであって、学校法人又はその他の法人が資金調達の方法として発行するいわゆる学校債券等を含まない。(平13課消3−12、平18課消3−36改正)

(基金証券の意義)

5 「基金証券」とは、相互会社が、その基金きょ出者に対して、その権利を証明するために交付する証券をいう。(平13課消3−12改正)

(合併存続会社等が訂正して発行する株券)

6 合併があった場合において、合併後存続する株式会社又は合併によって設立された株式会社が、合併によって消滅した株式会社の既発行株券を訂正し、合併後存続する株式会社又は合併によって設立された株式会社の発行する株券として株主に交付する場合には、当該訂正後の株券を株主に交付する時に、新たな株券を作成したものとして取り扱う。(平18課消3−36改正)

(譲渡制限の旨を記載する株券)

7 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けたときに、株主に対して既に交付している株券を提出させ、これに会社法第216条第3号《株券の記載事項》による当該承認を要する旨を記載して交付する場合の当該株券については、同法第219条第1項《株券の提出に関する公告等》に規定する行為の効力が生ずる日の前後を問わず、新たな株券を作成したものとして取り扱う。(平18課消3−36改正)

(払込金額の意義)

8 令第24条第1項《株券等に係る一株又は一口の金額》に規定する「払込金額」とは、次に掲げる株券の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額が該当する。(平13課消3−47、平14課消3−7、平18課消3−36改正)

(1) 発起人が引き受ける設立時発行株式に係る株券

会社法第34条第1項《出資の履行》の規定により払い込まなければならないこととされている金銭の金額と給付しなければならないこととされている金銭以外の財産の給付があった日における当該財産の価額との合計額を発起人が引き受ける設立時発行株式の数で除して得た金額

(2) 会社法第58条第1項《設立時募集株式に関する事項の決定》に規定する設立時募集株式(株式を発行するものに限る。)に係る株券

同項第2号に規定する当該設立時募集株式の払込金額

(3) 会社法第199条第1項《募集事項の決定》に規定する募集株式(株式を発行するものに限る。)に係る株券

同項第2号《募集事項の決定》に規定する募集株式の払込金額

(4) 新株予約権の行使により発行される株式に係る株券

イ及びロに掲げる金額の合計額を当該新株予約権の目的である株式の数で除して得た金額

イ 当該行使時における当該新株予約権の帳簿価額

ロ 会社法第281条第1項《新株予約権の行使に際しての払込み》又は第2項後段の規定により払い込まなければならないこととされている金銭の金額と同項前段の規定により給付しなければならないこととされている金銭以外の財産の行使時の価額との合計額

(払込金額がない場合の意義)

9 令第24条第1号に規定する「払込金額がない場合」に該当する株券は、例えば次のものが該当する。(平18課消3−36追加)

  • (1) 株式の併合をしたときに発行する株券
  • (2) 株式の分割をしたときに発行する株券
  • (3) 株式の無償割当てをしたときに発行する株券
  • (4) 取得請求権付株式の取得と引換えに交付するために発行する株券
  • (5) 取得条項付株式の取得と引換えに交付するために発行する株券
  • (6) 全部取得条項付種類株式の取得と引換えに交付するために発行する株券
  • (7) 株券の所持を希望していなかった株主の請求により発行する株券
  • (8) 株券喪失登録がされた後に再発行する株券
  • (9) 取得条項付新株予約権の取得と引換えに交付するために発行する株券
  • (10) 持分会社が組織変更して株式会社になる際に発行する株券
  • (11) 合併、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転に際して発行する株券

(資本金の額及び資本準備金の額の合計額の意義)

10 令第24条第1号に規定する「資本金の額及び資本準備金の額の合計額」は、最終事業年度に係る貸借対照表に記載された資本金の額及び資本準備金の額の合計額(払込金額のない株券を発行する日の属する事業年度中に合併、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転(この項において「合併等」という。)があった場合には、当該合併等の効力発生日における資本金の額及び資本準備金の額の合計額)によることとして差し支えない。(平13課消3-47追加、平18課消3−36改正)

(出資総額の意義)

11 10の規定は令第24条第2号に規定する「出資総額」について、これを準用する。(平13課消3-47追加、平18課消3−36改正)