課法2−9
平成11年12月1日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官 

 標題のことについて、別紙のとおり定めたから、これによられたい。
 なお、別紙には、この通達により新たに取扱いを定めたもの及び既往通達につき表現を改めたものについてはその全文を掲げ、単に法令改正に伴う引用条文等を改めたもの及び通達番号を改めたものについてはその改正箇所のみを掲げることとした。

(注) アンダーラインを付した箇所が、新設し、又は改正した箇所である。


(平11.12.1 課法2−9)


 この通達は、平成11年度の法人税関係法令等の改正に対応し、法人税基本通達、租税特別措置法関係通達(法人税編)等につき所要の整備を図ったものです(主要改正項目については別紙「法人税基本通達等の主要改正項目について」のとおり)。


(別紙)

第1 法人税基本通達関係

1 負債の利子の計算
 受取配当等の益金不算入制度において、受取配当等の額から控除する負債の利子の額は、原則として、株式等と株式等以外の資産との金額の比により按分して計算する、いわゆる「総資産按分法」により計算しますが、この総資産按分法の分母となる「総資産の帳簿価額」は、確定した決算に基づき貸借対照表に計上されている金額によることとされています(法令221一)。

(1)税効果会計を適用している場合の総資産の帳簿価額(基通3−2−12の2 新設)
 税効果会計を適用したことにより、貸借対照表に計上される「繰延税金資産」の額は、会計上、資産性を有するものとして貸借対照表の資産の部に計上されることから、総資産按分法の分母となる「総資産の帳簿価額」に含まれることになります。

(2) 税効果会計を適用している場合に総資産の帳簿価額から控除する金額(基通3−2−12の3 新設)
 利益処分による圧縮積立金や特別償却準備金の積立額は、総資産按分法の分母となる総資産の帳簿価額から控除することとされています(法令221一)。税効果会計を適用した場合、税務上の圧縮積立金等の金額は、当該圧縮積立金等に係る税効果相当額(繰延税金負債)と当該税効果相当額を控除した金額(帳簿上の圧縮積立金等)とに区分して貸借対照表に計上されることから、これらの合計額を総資産の帳簿価額から控除することになります。

2 有価証券の評価の方法
 有価証券の評価方法の選定は、有価証券の種類ごとに行い(法令351)、また、有価証券の評価額は、有価証券の種類及び銘柄の異なるごとに区分して計算することとされています(法令341)。

○ 有価証券の種類(基通6ー3ー3 改正)
 有価証券取引税法が廃止されたことに伴い、法人税法上の有価証券の定義が証券取引法に規定する有価証券とされたことから、評価方法の選定等における有価証券の種類の区分についても、おおむね証券取引法第2条第1項各号の区分によることになります。 

第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

1 特定情報通信機器の即時償却
 青色申告法人が、平成11年4月1日から平成12年3月31日までの間に、取得価額 100万円未満のパソコン等(特定情報通信機器)の取得等をしてこれを事業の用(貸付けの用を除きます。)に供した場合には、供用年度において、特定情報通信機器の取得価額の全額について即時償却を認めるという制度が創設されました(措法45の3)。

(1) 圧縮記帳をした資産の取得価額(措通45の3−1 新設)
  本制度の適用対象資産は、その取得価額が 100万円未満のものとされています。この取得価額基準の判定をする場合において、その資産が法人税法上の圧縮記帳の適用を受けたものであるときは、その圧縮記帳後の金額に基づいて判定を行うことになります。

(2)貸付けの用に供したものに該当しない資産の貸与(措通45の3ー2 新設)
 本制度は、適用対象資産を他の者に貸し付けるような場合には、適用されないこととされていますが、法人が下請業者に貸与し、専ら自社製品の加工等の用に供されている資産は、その法人が営む事業の用に供したものと同様に、本制度の適用対象とすることになります。 

(3)附属装置の同時設置の意義(措通45の3ー3 新設)
 本制度の適用対象資産は、パソコン等の本体装置のほか、この本体装置と同時に設置する附属装置(入出力装置、補助記憶装置等)が含まれますが(法規20の16の2)、この「本体装置と同時に設置する附属装置」には、一の計画に基づき本体装置を設置してから相当期間内に設置するこれらの附属装置が含まれることになります。

(4)附属装置の一部についての即時償却の適用(措通45の3ー4 新設)
 本制度においては、附属装置が複数ある場合には、 100万円から本体装置の取得価額を控除した残額に満たない範囲内で、その法人の選択により、その附属装置の一部について即時償却を行うことができることになっています(法規20の16の22)。この場合の「その附属装置の一部」とは、複数の附属装置のうち1台又は数台の附属装置をいいますので、一の附属装置の取得価額の一部のみについて即時償却を行うことはできません。 

2 認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の課税の特例
 民間事業者が既成市街地等内の低未利用地(いわゆる虫食い地)を集約化し、これを民間都市開発事業に活用することを促進するため、建設大臣の認定を受けた事業用地適正化計画の事業用地内の土地等(所有隣接土地等)について、次に掲げる交換又は譲渡をした場合の課税の繰延べの制度が創設されました(措法65の13、65の14)。

1 法人が有する所有隣接土地等と認定事業者が有する土地建物等で認定事業用地の区域以外の地域内にあるものとの交換

2 法人が有する所有隣接土地等を認定事業者に譲渡し、かつ、民間都市開発推進機構から同機構の有する土地建物等で認定事業用地の区域以外の地域内にあるものを譲り受けた場合における当該譲渡

(1) 交換に伴い認定事業用地の区域内の土地建物等を取得した場合(措通65の13−4新設)
 所有隣接土地等を交換により譲渡し、その対価として認定事業用地外の土地建物等とともに、認定事業用地内の土地建物等を取得した場合には、認定事業用地内の土地建物等は交換差金として、この特例を適用することになります。

(2)所有隣接土地等とそれ以外の資産を交換等により譲渡した場合(措通65の13−5新設)
 所有隣接土地等とそれ以外の土地等からなる一の土地等を交換により譲渡した場合には、所有隣接土地等に係る部分についてのみ、この特例の適用があります。

(3)民間都市開発推進機構からの譲受けの契約方式(措通65の13−6 新設)
 本制度の対象となる民間都市開発推進機構からの土地建物等の譲受けの方法は、所有隣接土地等を有する法人、認定事業者及び民間都市開発推進機構の三者間において締結された次の事項を定めた契約に従って行う方法をいいます。

1 所有隣接土地等を有する法人が認定事業者に対して所有隣接土地等を譲渡することと併せて、所有隣接土地等を有する法人に対して民間都市開発推進機構がその有する土地建物等を譲渡すること。

2 所有隣接土地等と民間都市開発推進機構の土地建物等の譲渡対価の差金を、所有隣接土地等を有する法人と民間都市開発推進機構との間、又は、所有隣接土地等を有する法人と認定事業者との間で授受することとしていること。

3 共同で現物出資をした場合の課税の特例
 産業活力再生特別措置法に基づき、複数の法人が共同で事業構造変更及び事業革新を行う旨の事業再構築計画の認定を受け、当該計画に従って新たに法人を設立するため金銭以外の資産の出資(特定共同出資)をした場合において、その特定共同出資により生じる譲渡益について、一定の要件の下に、課税の繰延べを認めるという制度が創設されました(措法66)。

(1) 借地権の設定(措通66−1 新設)
 本制度の適用対象となる特定共同出資には、新設会社のため新たに借地権を設定する方式により当該借地権を出資の目的にするものも含まれます。

(2) 債務の引継ぎ(措通66ー2 新設)
 法人が、資産とともにその有する債務を特定共同出資の対象として新設会社に引き継いだ場合には、その引き継いだすべての資産・債務の正味差額を当該特定共同出資の直前の帳簿価額の合計額として圧縮記帳の計算を行うことになります。

(3) 持株割合が 100%未満又は25%未満となることが見込まれていることの意義(措通 66ー9 新設)
 本制度は、新設会社の設立の時において、1特定共同出資をした複数の法人の持株割合の合計が 100%未満となること、及び2特定共同出資をした適用法人の単独の持株割合が25%未満となることが見込まれている場合には適用がないこととされています(措令39の101四)。この「100 %未満となること又は25%未満となることが見込まれている」とは、例えば、新設会社の設立時において、他の法人に吸収合併されることをあらかじめ予定している場合や他の法人の資本参加をあらかじめ予定している場合などがこれに該当します。


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第1 法人税基本通達関係(PDFファイル)
  一  目次
  二  収益の計算に関する通則
  三  受取配当等の金額
  四  負債の利子の計算
  五  合併差益金等
  六  棚卸資産の取得価額
  七  有価証券の評価の方法
  八  減価償却資産の範囲
  九  減価償却の方法
  十  資産の評価損
 十一  報酬、給料、賞与及び退職給与等
 十二  保険料等
 十三  寄附金
 十四  貸倒損失
 十五  非出資組合が賦課金で取得した資産の圧縮記帳
 十六  特定出資により取得した有価証券の圧縮記帳 
 十七  借地権の設定等に伴う所得の計算
 十八  外貨建取引に係る会計処理等
 十九  協同組合等の事業分量配当等及び特別の賦課金
94KB
 二十
 会社更生法又は更生特例法の適用に伴う損益(PDFファイル)
二十一
 収益事業の範囲
二十二
 所得税額の控除
二十三
 外国税額の控除
二十四
 申告及び納付
二十五
 退職年金等積立金額の計算
二十六
 国内源泉所得
二十七
 経過的取扱い

81KB

第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係(PDFファイル)
  一  省略用語例
 目次

85KB

  三  第42条の4((試験研究費の額が増加した場合等の法人税額の特別控除))関係(PDFファイル)
 第42条の5〜第48条((共通事項))関係
 第42条の5((エネルギー需給構造改革推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除))関係
 第42条の6((電子機器利用設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))関係
 第42条の7((事業基盤強化設備を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))関係
 第42条の8((事業化設備等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))関係
 第42条の9((自由貿易地域等において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除))関係
 第42条の10((沖縄の特別中小企業者等が事業化設備等を取得した場合等の法人税額の特別控除))関係
90KB
 十一  第42条の11((製品輸入額が増加した場合の法人税額の特別控除))関係(PDFファイル)
 十二  第42条の12((中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却又は法人税額の特別控除))関係
 十三  第43条((特定設備等の特別償却))関係
 十四  第43条の2((関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却))関係
 十五  第44条((地震防災対策用資産の特別償却))関係
 十六  第44条の2((高度技術工業集積地域における高度技術工業用設備等の特別償却))関係
 十七  第44条の4((事業革新設備等の特別償却))関係
146KB
 十八  第44条の6((特定電気通信設備等の特別償却))関係(PDFファイル)
 十九  第44条の7((商業施設等の特別償却))関係
 二十  第45条((低開発地域等における工業用機械等の特別償却))関係
二十一  第45条の2((中小企業者の機械等の特別償却))関係
二十二  第45条の3((特定情報通信機器の即時償却))関係
59KB
二十四  第46条の2((障害者を雇用する場合の機械等の割増償却等))関係(PDFファイル)
二十五  第46条の3((農業経営改善計画等を実施する法人の機械等の割増償却))関係
二十六  第47条((優良賃貸住宅等の割増償却))関係
二十七  第49条((鉱業用坑道等の特別償却))関係
二十八  第55条及び第55条の2((海外投資等損失準備金))関係
二十九  第55条の3((自由貿易地域投資損失準備金))関係
三十  第55条の4((創業中小企業投資損失準備金))関係
三十一  旧第55条の6((海洋油田・ガス田廃鉱準備金))関係
三十二  第55条の6((特定災害防止準備金))関係
84KB
三十三  第56条の3((計画造林準備金))関係(PDFファイル)
三十四  第57条((プログラム等準備金))関係
三十五  旧第57条の2((渇水準備金))関係
三十六  第57条の5((保険会社等の異常危険準備金))関係
三十七  第58条((技術等海外取引に係る所得の特別控除))関係
三十八  第61条((農業協同組合等の留保所得の特別控除))関係
三十九  第61条の3((農用地等を取得した場合の課税の特例))関係
四十  第62条の3((土地の譲渡等がある場合の特別税率))関係
101KB
四十二  第64条〜第65条の14((共通事項))関係(PDFファイル)
四十三  第64条〜第65条の2((収用等の場合の課税の特例))関係
四十四  第65条の2((収用換地等の場合の所得の特別控除))関係
四十五  第65条の3((特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の 特別控除))関係 
278KB
四十七  第65条の5((農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除))関係(PDFファイル)
四十八  第65条の7〜第65条の9((特定の資産の買換えの場合等の課税の特例))関係
96KB
五十  第66条((共同で現物出資をした場合の課税の特例))関係(PDFファイル)
五十一  第66条の4((国外関連者との取引に係る課税の特例))関係
五十二  第66条の5((国外支配株主等に係る負債の利子の課税の特例))関係
五十三  第66条の6〜第66条の9((内国法人の特定外国子会社等の係る所得の課税の特例))関係
五十四  第66条の11((特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例))関係
五十五  第66条の12及び第66条の13((欠損金の繰越期間の特例))関係
五十六  第67条((社会保険診療報酬の所得計算の特例))関係
五十七  第67条の5((特定株式投資信託の受益証券を交換した場合の課税の特例))関係
五十八  第67条の9の2〜第67条の9の4((株式交換又は株式移転に係る課税の特例 ))関係
五十九  第68条の3((特定の協同組合等の法人税率の特例))関係
六十  経過的取扱い
117KB