(独立企業間価格又は独立企業間価格相当額により取引が行われたとみなされた場合等の調整後法人税等調整額の計算)

18−1−67 規則第38条の28第3項第1号《調整後対象租税額の計算》に規定する調整後法人税等調整額(以下18−1−68までにおいて「調整後法人税等調整額」という。)は、当期純損益金額に係る法人税等調整額(令第155条の35第1項第2号《調整後対象租税額の計算》に規定する法人税等調整額をいう。以下18−1−80までにおいて同じ。)を基礎に計算するのであるから、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定めるときの貸借対照表又は連結貸借対照表に計上されることとなる資産及び負債を基礎として調整後法人税等調整額を計算することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 令第155条の16第3項又は第4項《当期純損益金額》の規定の適用がある場合 これらの規定の取引が独立企業間価格又は独立企業間価格相当額で行われたとみなして当期純損益金額を計算したとき。

(2) 同条第7項第2号又は第8項の規定の適用がある場合 同号の「他の会社等の当該特定組織再編成の直前の帳簿価額」又は同項の規定により読み替えられた同号の「構成会社等又は共同支配会社等の所在地国の租税に関する法令において当該資産及び負債の取得価額とされる金額」に相当する金額により当期純損益金額を計算したとき。

(3) 同条第10項の規定の適用がある場合 同項に規定する特定会計処理がないものとみなして当期純損益金額を計算したとき。

(4) 令第155条の17第6項《各種投資会社等に係る当期純損益金額の特例》の規定の適用がある場合 同項の「当該開始の時の時価により評価した価額」とみなして当期純損益金額を計算したとき。

(5) 規則第38条の15第4項又は第5項《移行対象会計年度に係る当期純損益金額等》の規定の適用がある場合 同条第4項の規定の適用により移転の直前の帳簿価額に相当する金額により取得したものとして当期純損益金額を計算したとき又は同条第5項の規定の適用により資産の帳簿価額の変更がなかったものとみなして当期純損益金額を計算したとき。

(6) 令第155条の29第1項第3号《資産等の時価評価課税が行われた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例》の規定の適用がある場合 同号の「その時の時価により評価した価額」とみなして当期純損益金額を計算したとき。

(恒久的施設等の欠損の金額に係る繰延税金資産)

18−1−68 令第155条の30第1項第2号《恒久的施設等を有する構成会社等に係る個別計算所得等の金額の計算の特例》の規定の適用を受ける恒久的施設等の欠損の金額に係る規則第38条の28第3項第1号イ《調整後対象租税額の計算》に規定する繰延税金資産は、同号ハの規定により、当該恒久的施設等の調整後法人税等調整額に含まれないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(不確実な税務処理に係る繰延税金資産又は繰延税金負債の例示)

18−1−69 規則第38条の28第3項第1号ニ《調整後対象租税額の計算》の不確実な税務処理に係る繰延税金資産又は繰延税金負債には、例えば、構成会社等又は共同支配会社等の法人税又は法人税に相当する税について、申告の要否の判断や収益等の額が課税所得の金額に含まれるかどうかの判断につき、当該構成会社等又は共同支配会社等の所在地国の租税に関する法令を執行する当局にこれらの判断に基づく申告が適正であると認められることが不確実であるものとして計上された同号イの当期純損益金額に係る繰延税金資産又は繰延税金負債がこれに該当することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(利益剰余金に係る繰延税金負債の例示)

18−1−70 規則第38条の28第3項第1号ホ《調整後対象租税額の計算》の「利益剰余金に係る繰延税金負債」には、例えば、他の構成会社等又は他の共同支配会社等から受ける利益の配当の額を課税標準として源泉徴収の方法又は外国におけるこれに類する方法により課される対象租税(法第82条第29号《定義》に規定する対象租税をいう。以下この章において同じ。)について計上された繰延税金負債が該当することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(不確実性がある金額が支払われた場合の取扱い)

18−1−71 令第155条の35第2項第2号ロ《調整後対象租税額の計算》の支払われた金額は、対象租税の額に限られるのであるから、同項第3号ニに掲げる金額について課された附帯税並びに地方税に係る延滞金及び加算金並びに外国におけるこれらに相当するものの額は含まれないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(不確実な税務処理に係る法人税等の額の例示)

18−1−72 規則第38条の28第9項《調整後対象租税額の計算》の不確実な税務処理に係る法人税等の額には、例えば、構成会社等又は共同支配会社等の法人税又は法人税に相当する税について、申告の要否の判断や収益等の額が課税所得の金額に含まれるかどうかの判断につき、当該構成会社等又は共同支配会社等の所在地国の租税に関する法令を執行する当局にこれらの判断に基づく申告が適正であると認められることが不確実であるものとして計上された法人税等(令第155条の35第2項第1号《調整後対象租税額の計算》に規定する法人税等をいう。以下18−1−73において同じ。)の額がこれに該当することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(3年以内に支払われることが見込まれない金額に含まれないもの)

18−1−73 令第155条の35第2項第3号ホ《調整後対象租税額の計算》の規定の適用に当たり、修正申告又は更正若しくは決定(外国におけるこれらに相当するものを含む。)により生じた法人税等の額は、同号ホの3年以内に支払われることが見込まれない金額に含まれないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(恒久的施設等への対象租税の額の配賦)

18−1−74 規則第38条の29第1項第1号《被配分当期対象租税額等》の「恒久的施設等の所得に係る部分の金額として当該構成会社等又は共同支配会社等の所在地国の租税に関する法令の規定を勘案して合理的な方法により計算した金額」とは、例えば、同号の恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等の当期純損益金額に係る対象租税の額(同号に規定する対象租税の額をいう。以下18−1−75において同じ。)に次の(1)に掲げる金額の(2)に掲げる金額に対する割合を乗じて計算した金額をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 当該恒久的施設等の所得の金額(当該金額が零を下回る場合には、零)

(2) 次に掲げる金額の合計額

イ 上記(1)の金額及び当該恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等の他の恒久的施設等の所得の金額(当該金額が零を下回る場合には、零)の合計額

ロ 当該恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等の所得の金額のうち上記イに掲げる金額以外の所得の金額(当該金額が零を下回る場合には、零)

(注)1 上記(1)の「恒久的施設等の所得の金額」、上記(2)イの「他の恒久的施設等の所得の金額」及び上記(2)ロの「恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等の所得の金額」は、当該恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等の所在地国の租税に関する法令の規定により計算される金額をいう。

2 上記(2)に掲げる金額が零である場合には、同号の「恒久的施設等の所得に係る部分の金額として当該構成会社等又は共同支配会社等の所在地国の租税に関する法令の規定を勘案して合理的な方法により計算した金額」はないものと取り扱って差し支えない。

(恒久的施設等への外国税額の控除額の配賦)

18−1−75 規則第38条の29第1項第2号《被配分当期対象租税額等》の「同号に掲げる金額に係る部分の金額として当該構成会社等又は共同支配会社等の所在地国の租税に関する法令の規定を勘案して合理的な方法により計算した金額」とは、外国税額控除等(規則第38条の27第3項第1号《対象租税の範囲》に規定する外国税額控除等をいう。以下18−1−75において同じ。)における控除限度額等(外国税額控除等に規定する控除限度額又はこれに相当するものをいい、当該外国税額控除等に規定する繰越控除限度額又はこれに相当するものを含む。)の計算について、いわゆる一括限度額方式を採用している国又は地域においては、例えば、次の(1)に掲げる金額に(2)に掲げる割合を乗じて計算した金額(以下18−1−75において「被配分外国税額控除等の額」という。)をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 外国税額控除等により規則第38条の29第1項第1号の恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等の当期純損益金額に係る対象租税の額から控除された当該恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等に係る控除対象外国法人税の額等(外国税額控除等に規定する控除対象外国法人税の額又はこれに相当するものをいい、当該外国税額控除等に規定する繰越控除対象外国法人税額又はこれに相当するものを含む。以下18−1−75において同じ。)

(2) 次のイに掲げる金額のロに掲げる金額に対する割合

イ 当該恒久的施設等に係る控除対象外国法人税の額等

ロ 当該恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等に係る控除対象外国法人税の額等

(注) 当該恒久的施設等を有する構成会社等又は共同支配会社等に係る当該恒久的施設等以外の恒久的施設等(以下18−1−75において「他の恒久的施設等」という。)について、同号に掲げる金額から当該他の恒久的施設等に係る被配分外国税額控除等の額を減算した金額が零を下回るものがある場合には、その下回る金額の合計額に次の(1)に掲げる金額の(2)に掲げる金額に対する割合を乗じて計算した金額を当該恒久的施設等に係る被配分外国税額控除等の額に加算するものとする。

(1) 当該恒久的施設等に係る同号に掲げる金額から当該恒久的施設等に係る被配分外国税額控除等の額を控除した残額

(2) 次に掲げる残額の合計額

イ 上記(注)の(1)に掲げる金額

ロ 他の恒久的施設等(同号に掲げる金額から被配分外国税額控除等の額を控除した残額を有するものに限る。)に係る同号に掲げる金額の合計額から当該他の恒久的施設等に係る被配分外国税額控除等の額の合計額を控除した残額

(外国子会社合算税制の適用がある場合の対象租税の額の配賦)

18−1−76 規則第38条の29第4項第1号イ《被配分当期対象租税額等》の「外国子会社合算税制等により当該親会社等の益金の額に算入される金額に係る部分の金額として当該親会社等の所在地国の租税に関する法令の規定を勘案して合理的な方法により計算した金額」とは、構成会社等又は共同支配会社等に係る親会社等(令第155条の35第3項第4号《調整後対象租税額の計算》に規定する親会社等をいう。以下18−1−77までにおいて同じ。)が内国法人である場合には、例えば、その当期純損益金額に係る対象租税の額(規則第38条の29第4項第1号イに規定する対象租税の額をいう。以下18−1−77において同じ。)に次の(1)に掲げる金額の(2)に掲げる金額に対する割合を乗じて計算した金額をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 措置法第66条の6《内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例》又は措置法第66条の9の2《特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例》に規定する課税対象金額、部分課税対象金額、金融子会社等部分課税対象金額又は金融関係法人部分課税対象金額(当該構成会社等又は共同支配会社等に係る部分に限る。)

(2) 当該親会社等の所在地国の租税に関する法令の規定により計算された所得の金額

(注) 上記(2)に掲げる金額がない場合には、同号イに掲げる金額はないことに留意する。

(外国子会社合算税制の適用がある場合の外国税額の控除額の配賦)

18−1−77 規則第38条の29第4項第1号ロ《被配分当期対象租税額等》の「イに掲げる金額に係る部分の金額として当該親会社等の所在地国の租税に関する法令の規定を勘案して合理的な方法により計算した金額」とは、構成会社等又は共同支配会社等に係る親会社等が内国法人である場合には、例えば、次の(1)に掲げる金額に(2)に掲げる割合を乗じて計算した金額(以下18−1−77において「被配分外国税額控除の額」という。)をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 法第69条《外国税額の控除》の規定により当該親会社等の当期純損益金額に係る対象租税の額から控除された当該親会社等に係る控除対象外国法人税の額(同条第1項に規定する控除対象外国法人税の額をいい、同条第3項に規定する繰越控除対象外国法人税額を含む。以下18−1−77において同じ。)

(2) 次のイに掲げる金額のロに掲げる金額に対する割合

イ 当該構成会社等又は共同支配会社等に係る控除対象外国法人税の額

ロ 当該親会社等に係る控除対象外国法人税の額

(注) 当該構成会社等又は共同支配会社等以外の構成会社等又は共同支配会社等(以下18−1−77において「他の外国子会社等」という。)について、同号イに掲げる金額から当該他の外国子会社等に係る被配分外国税額控除の額を減算した金額が零を下回るものがある場合には、その下回る金額の合計額に次の(1)に掲げる金額の(2)に掲げる金額に対する割合を乗じて計算した金額を当該構成会社等又は共同支配会社等に係る被配分外国税額控除の額に加算するものとする。

(1) 当該構成会社等又は共同支配会社等に係る同号イに掲げる金額から当該構成会社等又は共同支配会社等に係る被配分外国税額控除の額を控除した残額

(2) 次に掲げる残額の合計額

イ 上記(注)の(1)に掲げる金額

ロ 他の外国子会社等(同号イに掲げる金額から被配分外国税額控除の額を控除した残額を有するものに限る。)に係る同号イに掲げる金額の合計額から当該他の外国子会社等に係る被配分外国税額控除の額の合計額を控除した残額

(構成員課税型会社等への対象租税の額の配賦)

18−1−78 規則第38条の29第7項第1号イ《被配分当期対象租税額等》の「当該構成員の益金の額に算入される金額(当該構成会社等又は共同支配会社等の所得に係る部分の金額に限る。)として当該構成員の所在地国の租税に関する法令の規定を勘案して合理的な方法により計算した金額」とは、例えば、同項に規定する構成会社等又は共同支配会社等の構成員(同項に規定する構成員をいう。以下18−1−79までにおいて同じ。)の当期純損益金額に係る対象租税の額(同号イに規定する対象租税の額をいう。以下18−1−79において同じ。)に次の(1)に掲げる金額の(2)に掲げる金額に対する割合を乗じて計算した金額をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 当該構成員の益金の額に算入される金額(当該構成会社等又は共同支配会社等の所得に係る部分の金額に限る。)

(2) 当該構成員の所在地国の租税に関する法令の規定により計算された所得の金額

(注) 上記(2)に掲げる金額がない場合には、同号イに掲げる金額はないことに留意する。

(構成員課税型会社等への外国税額の控除額の配賦)

18−1−79 規則第38条の29第7項第1号ロ《被配分当期対象租税額等》の「イに掲げる金額に係る部分の金額として当該構成員の所在地国の租税に関する法令の規定を勘案して合理的な方法により計算した金額」とは、外国税額控除等(規則第38条の27第3項第1号《対象租税の範囲》に規定する外国税額控除等をいう。以下18−1−79において同じ。)における控除限度額等(外国税額控除等に規定する控除限度額又はこれに相当するものをいい、当該外国税額控除等に規定する繰越控除限度額又はこれに相当するものを含む。)の計算について、いわゆる一括限度額方式を採用している国又は地域においては、例えば、次の(1)に掲げる金額に(2)に掲げる割合を乗じて計算した金額(以下18−1−79において「被配分外国税額控除等の額」という。)をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 外国税額控除等により規則第38条の29第7項に規定する構成会社等又は共同支配会社等の構成員の当期純損益金額に係る対象租税の額から控除された当該構成員に係る控除対象外国法人税の額等(外国税額控除等に規定する控除対象外国法人税の額又はこれに相当するものをいい、当該外国税額控除等に規定する繰越控除対象外国法人税額又はこれに相当するものを含む。以下18−1−79において同じ。)

(2) 次のイに掲げる金額のロに掲げる金額に対する割合

イ 当該構成員の当該構成会社等又は共同支配会社等に係る控除対象外国法人税の額等

ロ 当該構成員に係る控除対象外国法人税の額等

(注) 当該構成員の当該構成会社等又は共同支配会社等以外の構成会社等又は共同支配会社等(以下18−1−79において「他の構成員課税型会社等」という。)について、同項第1号イに掲げる金額から当該他の構成員課税型会社等に係る被配分外国税額控除等の額を減算した金額が零を下回るものがある場合には、その下回る金額の合計額に次の(1)に掲げる金額の(2)に掲げる金額に対する割合を乗じて計算した金額を当該構成会社等又は共同支配会社等に係る被配分外国税額控除等の額に加算するものとする。

(1) 当該構成会社等又は共同支配会社等に係る同号イに掲げる金額から当該構成会社等又は共同支配会社等に係る被配分外国税額控除等の額を控除した残額

(2) 次に掲げる残額の合計額

イ 上記(注)の(1)に掲げる金額

ロ 他の構成員課税型会社等(同号イに掲げる金額から被配分外国税額控除等の額を控除した残額を有するものに限る。)に係る同号イに掲げる金額の合計額から当該他の構成員課税型会社等に係る被配分外国税額控除等の額の合計額を控除した残額

(利益の配当に係る被配分当期対象租税額等)

18−1−80 規則第38条の29第10項《被配分当期対象租税額等》の「当該利益の配当に係る部分の金額として合理的な方法により計算した金額」には、例えば、令第155条の35第3項第6号《調整後対象租税額の計算》の構成会社等又は共同支配会社等の所在地国の租税に関する法令の規定により同号の利益の配当を課税標準として源泉徴収の方法又は外国におけるこれに類する方法により課される対象租税の額(法人税等調整額を除く。以下18−1−80において同じ。)が含まれることに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(注) この場合において、同号に規定する親会社等の所在地国において課される当期純損益金額に係る対象租税の額のうち当該利益の配当に係る部分の金額として合理的な方法により計算した金額を含めることとして差し支えない。