(税引後当期純損益金額の計算)

18−1−24 税引後当期純損益金額(令第155条の16第1項第1号《当期純損益金額》に規定する税引後当期純損益金額をいう。以下18−1−32までにおいて同じ。)の計算に当たっては、次のことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 対象会計年度の税引後当期純損益金額に含まれないその他の包括利益の金額が、当該対象会計年度後の対象会計年度の損益計算書の項目に計上される金額に含まれることとなった場合には、当該その他の包括利益の金額を含めて、その当該対象会計年度後の対象会計年度の税引後当期純損益金額の計算を行う。

(2) 非支配株主に帰属する金額を含めて、税引後当期純損益金額の計算を行う。

(最終親会社等財務会計基準の意義)

18−1−25 令第155条の16第1項第1号《当期純損益金額》に規定する最終親会社等財務会計基準(以下18−1−58までにおいて「最終親会社等財務会計基準」という。)とは、構成会社等(法第82条第13号《定義》に規定する構成会社等をいう。以下この章において同じ。)においては、法第82条第26号イに掲げる連結等財務諸表に係る会計処理の基準(以下18−1−31までにおいて「最終親会社財務会計基準」という。)をいい、共同支配会社等(同条第15号に規定する共同支配会社等をいう。以下この章において同じ。)においては、同条第26号ロに掲げる連結等財務諸表に係る会計処理の基準(以下18−1−29までにおいて「共同支配親会社財務会計基準」という。)をいうことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(構成会社等の会計処理の基準が最終親会社財務会計基準と異なる場合の取扱い)

18−1−26 構成会社等の税引後当期純損益金額は、最終親会社財務会計基準に基づき計算するのであるから、構成会社等の損益計算書が最終親会社財務会計基準と異なる会計処理の基準により作成されている場合であっても、最終親会社財務会計基準において当該損益計算書を用いて連結等財務諸表を作成することが認められているときには、その認められる限りにおいて、当該構成会社等の税引後当期純損益金額の計算につき、最終親会社財務会計基準に基づき再計算することを要しない。(令5年課法2−17「九」により追加)

(共同支配子会社等の会計処理の基準が共同支配親会社財務会計基準と異なる場合の取扱い)

18−1−27 共同支配会社等の税引後当期純損益金額は、共同支配親会社財務会計基準に基づき計算するのであるから、共同支配会社等(共同支配親会社等を除く。以下18−1−29までにおいて「共同支配子会社等」という。)の損益計算書が共同支配親会社財務会計基準と異なる会計処理の基準により作成されている場合であっても、共同支配親会社財務会計基準において当該損益計算書を用いて連結等財務諸表を作成することが認められているときには、その認められる限りにおいて、当該共同支配子会社等の税引後当期純損益金額の計算につき、共同支配親会社財務会計基準に基づき再計算することを要しない。(令5年課法2−17「九」により追加)

(構成会社等の決算日と対象会計年度終了の日が異なる場合の取扱い)

18−1−28 構成会社等の税引後当期純損益金額は、最終親会社財務会計基準に基づき計算するのであるから、構成会社等の決算日と対象会計年度終了の日が異なる場合に、当該構成会社等の決算が当該対象会計年度終了の日に行われたものとして当該構成会社等の税引後当期純損益金額の計算を行うかどうかは、最終親会社財務会計基準に従うことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(注) 例えば、最終親会社財務会計基準において、連結会計基準が適用される場合であって、当該構成会社等の決算日と当該対象会計年度終了の日の差異が3か月を超えないため、当該構成会社等の決算日に係る計算書類を用いて連結等財務諸表を作成しているときは、当該計算書類を基礎に当該構成会社等の税引後当期純損益金額を計算することに留意する。

(共同支配子会社等の決算日と共同支配親会社等の決算日が異なる場合の取扱い)

18−1−29 共同支配会社等の税引後当期純損益金額は、共同支配親会社財務会計基準に基づき計算するのであるから、共同支配子会社等の決算日と当該共同支配子会社等に係る共同支配親会社等の決算日が異なる場合に、当該共同支配子会社等の決算が当該共同支配親会社等の決算日に行われたものとして当該共同支配子会社等の税引後当期純損益金額の計算を行うかどうかは、共同支配親会社財務会計基準に従うことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(注) 例えば、共同支配親会社財務会計基準において、連結会計基準が適用される場合であって、当該共同支配子会社等の決算日と当該共同支配親会社等の決算日の差異が3か月を超えないため、当該共同支配子会社等の決算日に係る計算書類を用いて連結等財務諸表を作成しているときは、当該計算書類を基礎に当該共同支配子会社等の税引後当期純損益金額を計算することに留意する。

(共同支配親会社等の決算日と対象会計年度終了の日が異なる場合の取扱い)

18−1−30 共同支配親会社等の税引後当期純損益金額は、当該共同支配親会社等の決算日と対象会計年度終了の日が異なる場合、当該対象会計年度終了の日の直前の当該決算日に係る計算書類を基礎に計算して差し支えない。(令5年課法2−17「九」により追加)

(構成会社等又は共同支配会社等の税引後当期純損益金額又は恒久的施設等純損益金額の換算)

18−1−31 構成会社等又は共同支配会社等の税引後当期純損益金額又は恒久的施設等純損益金額(令第155条の16第1項第2号イ《当期純損益金額》に規定する恒久的施設等純損益金額をいう。以下18−1−32までにおいて同じ。)について、当該構成会社等又は共同支配会社等の損益計算書に表示される通貨が最終親会社等の連結等財務諸表に表示される通貨と異なる場合には、当該構成会社等又は共同支配会社等の税引後当期純損益金額又は恒久的施設等純損益金額を最終親会社財務会計基準に基づき連結等財務諸表に表示される通貨に換算することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(最終親会社等財務会計基準に基づくことが実務上困難であると認められる場合の例示)

18−1−32 規則第38条の13第4項《当期純損益金額》の「最終親会社等財務会計基準に基づくことが実務上困難であると認められる場合」には、例えば、会社等の所有持分(法第82条第8号《定義》に規定する所有持分をいう。以下この章において同じ。)が取得され、当該会社等が企業グループ等(同条第2号に規定する企業グループ等をいう。)に属することとなった場合に、当該会社等が使用する会計システムが最終親会社等財務会計基準に対応していないことにより、直ちに当該最終親会社等財務会計基準を適用して税引後当期純損益金額又は恒久的施設等純損益金額の計算を行うことができないときがこれに該当する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(独立企業間価格)

18−1−33 令第155条の16第3項《当期純損益金額》の規定の適用に当たり、同項に規定する取引(以下18−1−33において「対象取引」という。)につき、独立企業間価格(同項第1号に規定する独立企業間価格をいう。以下18−1−67までにおいて同じ。)であるとして、構成会社等又は共同支配会社等がそれらの所在地国の租税に関する法令を執行する当局に独立企業原則に従った価格として申告した額が、当該対象取引に係る金額と同じである場合には、次に掲げるときを除き、当該対象取引に係る金額を独立企業間価格であるものとして取り扱って差し支えない。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 対象取引に係る金額につき、構成会社等又は共同支配会社等が当該対象取引の当事者(構成会社等にあっては、当該構成会社等と他の構成会社等(同項に規定する他の構成会社等をいう。以下18−1−33において同じ。)をいい、共同支配会社等にあっては、当該共同支配会社等と他の共同支配会社等(同項に規定する他の共同支配会社等をいう。以下18−1−33において同じ。)をいう。以下18−1−33において同じ。)の所在地国の租税に関する法令における独立企業間価格に関する規定により、当該所在地国の租税に関する法令を執行する当局から更正又は決定(外国におけるこれらに相当するものを含む。以下18−1−33において同じ。)があった場合において、それぞれの所在地国の権限ある当局間の条約等に基づく合意(外国におけるこれに相当するものを含む。)が行われたとき。

(2) 対象取引に係る金額につき、独立企業間価格の算定の方法及び対象取引に関する事項について、構成会社等の所在地国の権限ある当局及び他の構成会社等の所在地国の権限ある当局による確認(外国におけるこれに相当するものを含む。以下18−1−33において同じ。)があるとき又は共同支配会社等の所在地国の権限ある当局及び他の共同支配会社等の所在地国の権限ある当局による確認があるとき。

(3) 対象取引に係る金額につき、独立企業間価格の算定の方法及び対象取引に関する事項について一方の所在地国の権限ある当局のみによる確認があるとき。

(4) 対象取引に係る金額につき、構成会社等又は共同支配会社等が当該対象取引の当事者の所在地国の租税に関する法令における独立企業間価格に関する規定に従って、当該所在地国の租税に関する法令を執行する当局に当該対象取引に係る金額を修正して申告をしたとき。

(5) 対象取引に係る金額につき、構成会社等又は共同支配会社等が当該対象取引の当事者の所在地国の租税に関する法令における独立企業間価格に関する規定により、当該所在地国の租税に関する法令を執行する当局から更正又は決定を受けたとき((1)に掲げるときを除く。)。

(注) 上記(1)から(5)までの合意、確認、申告、更正又は決定に係る金額は、それぞれ上記(1)から(5)までに掲げるときにおける独立企業間価格となることに留意する。

(独立企業間価格の算定の基礎となる取引が複数ある場合の取扱い)

18−1−34 令第155条の16第3項第1号《当期純損益金額》に規定する取引に係る金額について、独立企業間価格の算定の基礎となる取引が複数存在し、独立企業間価格が一定の幅を形成している場合において、当該幅の中に当該取引に係る金額のいずれもがあるときは、当該取引については同号の規定の適用はないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(いずれもが独立企業間価格である場合の取扱い)

18−1−35 令第155条の16第3項第3号《当期純損益金額》の規定の適用に当たり、同号の取引に係る金額は、いずれの独立企業間価格を用いてもよいが、いずれか一方の金額に合わせる必要があることに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(独立企業間価格相当額の算定の基礎となる取引が複数ある場合の取扱い)

18−1−36 令第155条の16第4項《当期純損益金額》の取引に係る金額について、独立企業間価格相当額(同項に規定する独立企業間価格相当額をいう。以下18−1−67までにおいて同じ。)の算定の基礎となる取引が複数存在し、独立企業間価格相当額が一定の幅を形成している場合において、当該幅の中に当該取引に係る金額があるときは、当該取引については同項の規定の適用はないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(直接又は間接保有の持分)

18−1−37 規則第38条の14第3項《特定組織再編成の範囲》の「特殊の関係」(以下18−1−37において「特殊の関係」という。)にあるかどうかを判定する場合の直接又は間接に保有する持分には、株式の払込み又は給付の金額(以下18−1−38において「払込金額等」という。)の全部又は一部について払込み又は給付(以下18−1−38において「払込み等」という。)が行われていないものが含まれるものとする。(令5年課法2−17「九」により追加)

(注) 名義株は、その実際の権利者が保有するものとして特殊の関係の有無を判定することに留意する。

(会社等の持分)

18−1−38 規則第38条の14第3項第1号《特定組織再編成の範囲》の「持分(自己が有する自己の持分を除く。)」には、株式の払込金額等の全部又は一部について払込み等が行われていないものも含まれるものとする。(令5年課法2−17「九」により追加)

(持分の交付が省略されたと認められるものの例示)

18−1−39 令第155条の16第9項第1号イ《当期純損益金額》の「持分の交付が省略されたと認められるもの」とは、例えば、同号の組織再編成の前後において株主等の持分割合に変更が生じないため、当該組織再編成の対価として持分を交付しなかったものをいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(恒久的施設等の個別財務諸表が作成されることとなる場合の準用)

18−1−40 20−2−1《恒久的施設帰属所得の認識に当たり勘案されるその他の状況》から20−2−4《恒久的施設において使用する資産の範囲》までの取扱いは、令第155条の16第11項第3号《当期純損益金額》の「作成されることとなる個別財務諸表」の財産及び損益を認識する場合について準用する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(各種投資会社等における資産又は負債の時価の例示)

18−1−41 令第155条の17第6項《各種投資会社等に係る当期純損益金額の特例》の「時価」とは、例えば、令和元年7月4日付企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」(以下18−1−61までにおいて「時価算定会計基準」という。)第5項の時価をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(第三通貨と税務機能通貨との間の為替相場の変動による利益の額又は損失の額)

18−1−42 令第155条の18 《個別計算所得等の金額の計算》の規定の適用に当たり、同条第2項第6号ニの利益の額又は同条第3項第7号ニの損失の額には、課税所得の金額(同条第2項第6号に規定する課税所得の金額をいう。以下18−1−72までにおいて同じ。)に係る利益の額又は損失の額とされているものだけでなく、これらの額とされていないものもこれに該当することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(違法とされる金銭、物品その他の財産上の利益の供与の額で費用の額としている金額の例示)

18−1−43 令第155条の18第2項第7号《個別計算所得等の金額の計算》の「違法とされる金銭、物品その他の財産上の利益の供与の額で、……費用の額としている金額」には、例えば、刑法第198条《贈賄》に規定する賄賂若しくは不正競争防止法第18条第1項《外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止》に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の資産の価額並びに経済的な利益の額の合計額に相当する費用の額(その供与に要する費用の額を含む。)又は外国におけるこれらに相当するものがこれに該当することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(罰金等の例示)

18−1−44 令第155条の18第2項第8号《個別計算所得等の金額の計算》の「罰金及び科料並びに過料(これらに相当するものを含む。)」には、例えば、法第55条第5項各号《不正行為等に係る費用等》に掲げるもの(外国におけるこれに相当するものを含む。)が該当することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(定期的に継続して罰金等に処される場合に該当しないものの例示)

18−1−45 令第155条の18第2項第8号《個別計算所得等の金額の計算》の「定期的に継続して当該罰金等に処される場合」とは、同一の行為につき当該罰金等に処される場合をいうのであるから、例えば、同じ種類の反則行為に係る交通反則金に複数回処される場合はこれに該当しないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(誤びゅうの訂正又は会計処理の基準の変更による修正をされた場合の例示)

18−1−46 令第155条の18第2項第9号《個別計算所得等の金額の計算》に規定する「誤びゅう(……)の訂正又は会計処理の基準の変更(……)による修正をされた場合」とは、例えば、平成21年12月4日付企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第4項(8)の誤謬又は同項(5)の会計方針の変更により過去対象会計年度(同条第2項第9号の過去対象会計年度をいう。以下18−1−46において同じ。)に係る当期純損益金額(法第82条第26号《定義》に規定する当期純損益金額をいう。以下18−1−80までにおいて同じ。)が訂正又は修正をされた場合をいうのであるから、過去対象会計年度に係る当期純損益金額について、前期損益の修正として当該過去対象会計年度後の対象会計年度の当期純損益金額に含まれる場合は、これに該当しないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(課税所得の金額に含まれないことの例示)

18−1−47 令第155条の18第2項第13号ハ《個別計算所得等の金額の計算》の「課税所得の金額(……)に含まれないこと」には、例えば、同号に規定する構成会社等から受ける同号ハの資金の供与に係る収益の額に相当する金額が、措置法第66条の5の3第1項又は第2項《対象純支払利子等に係る課税の特例》の規定により、同号に規定する資金供与会社等の同条第1項に規定する超過利子額に相当する金額又は同条第2項に規定する調整対象超過利子額に相当する金額(外国におけるこれらに相当するものを含む。)として損金の額に算入されることが含まれることに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(利益の配当の額の範囲)

18−1−48 利益の配当の額(令第155条の18第3項第2号《個別計算所得等の金額の計算》に規定する利益の配当の額をいう。以下18−1−48において同じ。)は、同号に規定する所有持分を有することにより受ける配当の額をいうのであるから、例えば、平成11年1月22日付企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下18−1−58において「金融商品会計基準」という。)が適用される場合における新株予約権付社債につき受ける利子の額は、当該利益の配当の額には含まれないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(除外配当に係る費用の額)

18−1−49 令第155条の18第3項第2号《個別計算所得等の金額の計算》の「所有持分(……)を有することにより受ける利益の配当の額(……)で、当期純損益金額に係る収益の額としている金額」の算定に当たっては、その利益の配当に係る費用の額を含めないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(所有持分に係る所有期間の判定)

18−1−50 令第155条の18第3項第2号ロ《個別計算所得等の金額の計算》の「引き続き1年以上その所有持分を有していたこと」(以下18−1−51までにおいて「1年以上所有要件」という。)の判定は、構成会社等ごとに行うのであるから、例えば、構成会社等が当該構成会社等の特定多国籍企業グループ等(法第82条第4号《定義》に規定する特定多国籍企業グループ等をいう。以下この章において同じ。)に属する他の構成会社等から所有持分の取得をした場合には、規則第38条の16第16項《個別計算所得等の金額の計算》の規定の適用があるときを除き、当該構成会社等が当該所有持分の取得をした日から令第155条の18第3項第2号ロの利益の配当を受ける日までの期間に基づき1年以上所有要件の判定を行うことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(注) 本文の取扱いは、恒久的施設等を有する構成会社等と当該恒久的施設等との間の所有持分の取得についても、同様とする。

(所有持分の一部の譲渡又は移転をした場合の所有期間の判定)

18−1−51 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等が他の者にその有する所有持分の一部の譲渡又は移転をした場合には、その一部の譲渡又は移転をした所有持分と種類を同じくする所有持分のうち最も遅く取得をしたものから譲渡又は移転をしたものとして、当該所有持分に係る1年以上所有要件に該当するかどうかの判定を行うことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(裸傭船契約の期間の判定)

18−1−52 令第155条の19第1項第2号イ《国際海運業所得》の「貸付けその他これに類するもの」は、裸傭船契約(同項第1号ニに規定する裸傭船契約をいう。以下18−1−52において同じ。)に係るもので同項第2号イの「その契約の期間が3年を超えないもの」に限られるのであるから、例えば、次に掲げるものは、これに該当しないことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 裸傭船契約の期間が3年を超えることが当該裸傭船契約等からみて明らかであるもの

(2) 裸傭船契約の期間が3年以下であっても、当該裸傭船契約の更新をし、当該更新をする前の裸傭船契約の期間と当該更新をした後の裸傭船契約の期間を通算すると3年を超えることとなる場合における当該更新をした後のもの

(注) 上記(2)の「通算すると3年を超えることとなる場合における当該更新」をした日以後の裸傭船の貸付けその他これに類するものは同号イに掲げる事業に該当しないのであるが、同日前の裸傭船の貸付けその他これに類するものは同号イに掲げる事業に該当することに留意する。

(船舶に係る事業運営上の重要な決定及び事業活動の例示)

18−1−53 令第155条の19第3項《国際海運業所得》の「船舶に係る事業運営上の重要な決定」には、例えば、重要な財産の処分及び譲受け、主要な契約の締結、戦略的提携若しくは船舶共同計算に関する合意又は海外拠点の展開等についての取締役会等における意思決定が該当する。
 また、同項の「船舶に係る事業活動」には、例えば、配船若しくは運航計画、貨物若しくは旅客の輸送に係る予約の受付、船舶に係る各種保険の手配、資金調達、輸送行為に必要な陸上人員若しくは船員に係る採用、配置等の人事、輸送行為に必要な設備、機器、燃料、資材等の調達又は輸送行為に必要な技能等に係る教育、訓練若しくは研修に関する管理が該当する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(注) 同項の「船舶に係る事業運営上の重要な決定及び当該船舶に係る事業活動」を他の者に委託している事実があるとしても、そのことのみをもって同項の「船舶に係る事業運営上の重要な決定及び当該船舶に係る事業活動が第1項の構成会社等の所在地国において行われていない場合」に該当することにはならない。

(銀行業に係る自己資本の充実が図られるものの意義)

18−1−54 規則第38条の19《銀行等に係る個別計算所得等の金額の計算》の「銀行業……に関する規制により必要とされる自己資本の充実が図られるもの」とは、例えば、平成18年3月27日付金融庁告示第19号「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」第2条第2号《連結自己資本比率の計算方法》の算式の「その他Tier1資本」若しくは同告示第14条第2号《単体自己資本比率の計算方法》の算式の「その他Tier1資本」若しくは平成18年3月27日付金融庁告示第20号「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」第2条第2号《連結自己資本比率の計算方法》の算式の「その他Tier1資本」又は外国におけるこれらに相当するものに係るものをいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(保険業に係る自己資本の充実が図られるものの意義)

18−1−55 規則第38条の19《銀行等に係る個別計算所得等の金額の計算》の「保険業に関する規制により必要とされる自己資本の充実が図られるもの」とは、例えば、平成8年2月29日付大蔵省告示第50号「保険会社の資本金、基金、準備金等及び通常の予測を超える危険に相当する額の計算方法等を定める件」第1条第4項第5号イ《資本金、基金、準備金等の計算》に掲げる負債性資本調達手段又は外国におけるこれに相当するものに係るものをいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(構成会社等がその親会社の株式等を交付する場合の株式報酬費用額の取扱い)

18−1−56 令第155条の23第1項《株式報酬費用額に係る個別計算所得等の金額の計算の特例》の規定の適用に当たり、例えば、構成会社等の役員又は従業員から受ける役務の提供等につき、当該構成会社等の親会社の同項第1号に規定する株式等を交付する場合には、当該親会社ではなく、当該構成会社等において同項の規定の適用があることに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(時価評価調整加算額及び時価評価調整減算額における時価の例示)

18−1−57 令第155条の24第2項《資産等の時価評価損益に係る個別計算所得等の金額の計算の特例》の「時価」とは、例えば、時価算定会計基準第5項の時価をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(ヘッジ処理の有効性の判定)

18−1−58 規則第38条の21《一定のヘッジ処理に係る個別計算所得等の金額の計算の特例》の有効であると認められる取引に該当するかどうかは、最終親会社等財務会計基準に従って判定を行うのであるから、例えば、最終親会社等が連結等財務諸表の作成に当たり、金融商品会計基準を適用している場合には、金融商品会計基準第31項のヘッジ会計の要件を満たす取引がこれに該当することに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(財務機能を果たす構成会社等が他の構成会社等が有する所有持分につきヘッジ処理を行っている場合の取扱い)

18−1−59 令第155条の26第1項《一定のヘッジ処理に係る個別計算所得等の金額の計算の特例》の規定の適用に当たり、構成会社等が、当該構成会社等の特定多国籍企業グループ等に属する他の構成会社等が有する所有持分につき、財務上の活動としてヘッジ手段となる取引(以下18−1−59において「ヘッジ取引」という。)を行っている場合で、当該構成会社等が当該他の構成会社等と当該ヘッジ取引に係る損益を相殺する関係にある取引を行っているときは、当該他の構成会社等における当該ヘッジ取引に係る損益を相殺する関係にある取引に係る損益(同項第1号の為替相場の変動による損失の額又は同項第2号の為替相場の変動による利益の額に限る。)について、同項の規定が適用されることに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(その他の事由による債務の消滅の意義)

18−1−60 令第155条の28第1項《債務免除等を受けた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例》の「債務がその債務の免除その他の事由により消滅したこと」(債務の免除により消滅したことを除く。)には、例えば、次に掲げるような事実がこれに該当する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(以下18−1−60において「更生特例法」という。)の規定により、構成会社等に対する債権を有する者が、更生計画の定めに従い、当該構成会社等に対して募集株式若しくは募集新株予約権の払込金額又は出資額若しくは基金の拠出の額の払込みをしたものとみなされたこと(外国におけるこれに相当する事実を含む。)

(2) 会社更生法又は更生特例法の規定により、構成会社等が、更生計画の定めに従い、当該構成会社等に対する債権を有する者に対して当該債権の消滅と引換えに、株式若しくは新株予約権の発行又は出資の受入れ若しくは基金の拠出の割当てをしたこと(外国におけるこれに相当する事実を含む。)

(3) 構成会社等が、当該構成会社等に対する債権を有する者から当該債権の現物出資を受けることにより、当該債権を有する者に対して募集株式又は募集新株予約権を発行したこと(外国におけるこれに相当する事実を含む。)

(債務者における資産の時価の例示)

18−1−61 規則第38条の22第2項《債務免除等を受けた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例》の「時価」とは、例えば、時価算定会計基準第5項の時価をいう。(令5年課法2−17「九」により追加)

(恒久的施設等の特例適用前個別計算所得等の金額が零を下回る場合の取扱い)

18−1−62 第155条の30第1項及び第2項《恒久的施設等を有する構成会社等に係る個別計算所得等の金額の計算の特例》の規定の適用に当たっては、次のことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)

(1) 恒久的施設等を有する構成会社等において所得の金額が生じていない場合であっても、同条第1項の規定の適用がある。

(2) 構成会社等の恒久的施設等の欠損の金額(規則第38条の2第3項第7号 《定義》に規定する欠損の金額をいう。以下この章において同じ。)が、令第155条の30第1項の規定を適用した対象会計年度後において、当該構成会社等の所在地国の租税に関する法令の規定により所得の金額の計算上損金の額に算入されない場合であっても、同条第2項の規定の適用がある。

(配当控除所得課税規定の例示)

18−1−63 令第155条の33第1項《配当控除所得課税規定の適用を受ける最終親会社等に係る個別計算所得等の金額の計算の特例》に規定する配当控除所得課税規定とは、例えば、法第60条《保険会社の契約者配当の損金算入》、法第60条の2《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》、措置法第67条の14《特定目的会社に係る課税の特例》、措置法第67条の15《投資法人に係る課税の特例》、措置法第68条の3の2《特定目的信託に係る受託法人の課税の特例》及び措置法第68条の3の3《特定投資信託に係る受託法人の課税の特例》の規定をいうことに留意する。(令5年課法2−17「九」により追加)