第12章の6 法人課税信託に係る所得の金額の計算等

(受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託の範囲)

12の6−1−1 法第2条第29号の2イ《法人課税信託》に規定する受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託には、信託法第185条第3項《受益証券の発行に関する信託行為の定め》に規定する受益証券発行信託のほか、例えば、外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものが含まれることに留意する。(平19年課法2−5「六」により追加)

(信託財産に属する資産のみを信託する場合の課税関係)

12の6−1−2 法人が委託者となる信託のうち、受託者の信託財産に属する資産のみを信託するもの(以下12の6−1−2において「再信託」という。)については、当該受託者において法第2条第29号の2ハ《法人課税信託》に掲げる信託に該当しないのであるが、当該再信託の類型や契約内容等により、集団投資信託、受益者等課税信託又は法人課税信託(同号ハに掲げるものを除く。)のいずれかに該当することとなることに留意する。(平19年課法2−5「六」により追加)

(法人の事業の全部又は重要な一部の信託)

12の6−1−3 法第2条第29号の2ハ(1)《法人課税信託》の株主総会の決議を要するものとは、法人の事業の全部又は重要な一部の譲渡を行う場合において、当該法人の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)によって、当該譲渡に係る契約の承認を受けなければならないこととされる行為をいうのであるから、現にその決議が行われたかどうかは問わないことに留意する。(平19年課法2−5「六」により追加)

(受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合)

12の6−1−4 令第14条の5第6項《法人が委託者となる法人課税信託》に掲げる「受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合」には、例えば、信託行為において受益者である特殊関係者に対する収益の分配の割合が確定的に定められている場合であっても、信託の効力発生時において、信託行為に受益者、委託者、受託者その他の者のいずれかが信託の変更によりその定めの内容の変更を単独で行う権限を有する旨の信託法第149条第4項《関係当事者の合意等》に規定する別段の定めがある場合が含まれるのであるから、留意する。(平19年課法2−5「六」により追加)

(法人課税信託に係る受託法人の内外判定と納税地)

12の6−1−5 法人課税信託の受託者である法人又は個人の当該法人課税信託に係る納税地は、法第1編第6章《納税地》に定めるところによるのであるから、例えば、法第4条の3第1号又は第2号《受託法人等に関するこの法律の適用》の規定により当該法人課税信託に係る受託法人が内国法人又は外国法人のいずれに該当するかにかかわらないことに留意する。(平19年課法2−5「六」により追加、平26年課法2−9「三」、令4年課法2−14「四十六」、令5年課法2−17「六」により改正)

(注) 法人課税信託の受託者である内国法人について、同号の規定によりその法人課税信託に係る受託法人が外国法人とされた場合における各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、法第141条《課税標準》に定めるところによる。

(信託の効力が生じた時)

12の6−1−6 法第4条の3第7号《受託法人等に関するこの法律の適用》の規定により、受託法人が設立されたものとされる当該受託法人に係る法人課税信託の効力が生ずる日の判定に当たっては、次に掲げる信託の方法に応じ、それぞれ次によることに留意する。(平19年課法2−5「六」により追加、令4年課法2−14「四十六」により改正)

(1) 信託法第3条第1号《信託の方法》に掲げる信託契約を締結する方法 当該信託契約の締結時

(2) 同条第2号に掲げる遺言をする方法 当該遺言の効力発生時

(3) 同条第3号に掲げる意思表示を公正証書その他の書面又は一定の電磁的記録によってする方法 次のいずれかの時

イ 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下12の6−1−6において「公正証書等」という。)によってされる場合 当該公正証書等の作成時

ロ 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が2人以上ある場合にあっては、その1人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知時

(注)

1 本文のいずれの方法による場合であっても、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来により、効果が生ずる時となることに留意する。

2 法人課税信託のうち法第2条第29号の2ハ《定義》に掲げるもの及び令第14条の2《委託者が実質的に多数でない信託》に掲げる信託における効力が生じた時の判定についても、同様とする。

(法人課税信託に該当することとなった日の意義)

12の6−1−7 特定受益証券発行信託(法第2条第29号ハ《定義》に規定する「特定受益証券発行信託」をいう。以下12の6−1−7において同じ。)の計算期間の中途においてその承認受託者(同号ハ(1)に規定する「承認受託者」をいう。以下12の6−1−7において同じ。)がその承認を取り消された場合又は当該特定受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合における、法第4条の3第7号《受託法人等に関するこの法律の適用》に掲げる「法人課税信託以外の信託が法人課税信託に該当することとなった場合にはその該当することとなった日」とは、その承認を取り消された日又は承認受託者以外の者が就任した日を含む計算期間の翌計算期間の開始の日をいうことに留意する。(平19年課法2−5「六」により追加、令4年課法2−14「四十六」により改正)

(注) 本文の場合には、その承認を取り消された日又は承認受託者以外の者が就任した日を含む計算期間については、特定受益証券発行信託に該当する。

(信託事務を主宰する受託者の意義)

12の6−1−8 法第4条の4第2項《受託者が二以上ある法人課税信託》の「信託事務を主宰する受託者」とは、中心となって信託事務の全体を取りまとめる受託者をいう。この場合、全体を取りまとめているかは、信託契約に基づき、信託財産の受入れ事務、信託財産の管理又は処分に関する事務、収益計算の報告事務等の処理の実態を総合的に判定する。(平19年課法2−5「六」により追加、令4年課法2−14「四十六」により改正)