(業績指標に応じて無償で取得する株式の数が変動する給与)

9−2−16の2 譲渡制限付株式による給与で、令第111条の2第1項第2号《譲渡制限付株式の範囲等》の無償で取得する株式の数が業績指標に応じて変動するものは、法第34 条第1項各号《役員給与の損金不算入》に掲げる給与のいずれにも該当しない。(平29年課法2−17「十二」により追加)

(業務執行役員の意義)

9−2−17 業務執行役員(法第34条第1項第3号《損金の額に算入される業績連動給与》に規定する業務執行役員をいう。以下9−2−19において同じ。)とは、法人の業務を執行する役員をいうのであるから、例えば、法人の役員であっても、取締役会設置会社における代表取締役以外の取締役のうち業務を執行する取締役として選定されていない者、社外取締役、監査役及び会計参与は、これに含まれないことに留意する。(平19年課法2−3「二十二」により追加、平29年課法2−17「十二」により改正)

(利益の状況を示す指標等の意義)

9−2−17の2 令第69条第10項第2号から第5号まで、第11項第2号から第5号まで及び第12項第2号から第4号まで《損金の額に算入される業績連動給与》に掲げる指標は、利益若しくは株式の市場価格に関するもの又はこれらと同時に用いられる売上高に関するものに限られるのであるから、例えば、配当(同条第11 項第4号に掲げる指標に用いられるものを除く。)及びキャッシュ・フローは、同条第10 項第2号から第5号まで、第11 項第2号から第5号まで及び第12 項第2号から第4号までに掲げる指標には該当しないことに留意する。(平28年課法2−11「六」により追加、平29年課法2−17「十二」により改正)

(有価証券報告書に記載されるべき金額等から算定される指標の範囲)

9−2−17の3 法第34 条第1項第3号イ《役員給与の損金不算入》の利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標又は売上高の状況を示す指標には、有価証券報告書(同号イに規定する「有価証券報告書」をいう。以下9−2−17 の4までにおいて同じ。)に記載される連結財務諸表(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第1条第1項《適用の一般原則》に規定する連結財務諸表をいう。以下9−2−17 の3において同じ。)に記載されるべき金額等から算定される指標が含まれることに留意する。(平29年課法2−17「十二」により追加、令元年課法2−10「六」、令4年課法2−14「二十四」により改正)

(注) 同号に規定する同族会社が支給する業績連動給与に係る指標については、規則第22条の3第7項《役員の給与等》に規定する完全支配関係法人の有価証券報告書に記載される連結財務諸表に記載されるべき金額等から算定される指標が含まれる。

(利益の状態を示す指標等に含まれるもの)

9−2−17の4 次に掲げる指標は、令第69条第10項第5号《損金の額に算入される業務連動給与》に掲げる「前各号に掲げる指標に準ずる指標」に含まれる。(平28年課法2−11「六」により追加、平29年課法2−17「十二」により改正)

(1) 同項第1号から第3号までの有価証券報告書に記載されるべき事項を財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の規定により有価証券報告書に記載することができることとされている事項(以下9−2−17の4において「任意的記載事項」という。)とした場合における同項第1号から第4号までに掲げる指標

(2) 有価証券報告書に記載されるべき利益(任意的記載事項を含む。)の額に有価証券報告書に記載されるべき費用(任意的記載事項を含む。)の額を加算し、かつ、有価証券報告書に記載されるべき収益(任意的記載事項を含む。)の額を減算して得た額

(注) 同条第11項第3号又は第4号の有価証券報告書に記載されるべき事項を任意的記載事項とした場合におけるこれらの号に掲げる指標は同項第5号に掲げる「前各号に掲げる指標に準ずる指標」に、同条第12項第1号又は第2号の有価証券報告書に記載されるべき事項を任意的記載事項とした場合における同項第1号から第3号までに掲げる指標は同項第4号に掲げる「前三号に掲げる指標に準ずる指標」に、それぞれ含まれる。

(職務を執行する期間の開始の日)

9−2−17の5 法第34条第1項第3号イ《損金の額に算入される業績連動給与》に規定する「職務を執行する期間の開始の日」については、9−2−16《職務の執行の開始の日》の取扱いを準用する。

(確定した額等を限度としている算定方法の意義)

9−2−18 法第34条第1項第3号イ(1)《損金の額に算入される業務連動給与》の「金銭による給与にあっては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあっては確定した数をそれぞれ限度としているもの」とは、その支給する金銭の額又は適格株式若しくは適格新株予約権の数の上限が具体的な金額又は数をもって定められていることをいうのであるから、例えば、「経常利益の○○%に相当する金額を限度として支給する。」という定め方は、これに当たらない。(平19年課法2−3「二十二」により追加、平29年課法2−17「十二」により改正)

(算定方法の内容の開示)

9−2−19 法第34条第1項第3号イ(3)《損金の額に算入される業績連動給与》の客観的な算定方法の内容の開示とは、業務執行役員の全てについて、当該業務執行役員ごとに次に掲げる事項を開示することをいうのであるから、留意する。(平19年課法2−3「二十二」により追加、平23年課法2−17「十八」、平28年課法2−11「六」、平29年課法2−17「十二」、令元年課法2−10「六」により改正)

(1) 業績連動給与(法第34条第5項《業績連動給与》に規定する業務連動給与をいう。以下この款において同じ。)の算定の基礎となる業績連動指標(令第69条第19項第1号イ(1)《損金の額に算入される業績連動給与》に限定する業績連動指標をいう。)

(2) 支給の限度としている確定した額(適格株式又は適格新株予約権による給与にあっては、確定した数)

(3) 客観的な算定方法の内容

(注) 算定方法の内容の開示に当たっては、個々の業務執行役員ごとに算定方法の内容が明らかになるものであれば、同様の算定方法を採る業績連動給与について包括的に開示することとしていても差し支えない。

(一に満たない端数の適格株式等の価額に相当する金銭を交付する場合の算定方法の内容の開示)

9−2−19の2 適格株式と一に満たない端数の適格株式の価額に相当する金銭を併せて交付することを定めている業績連動給与については、法第34条第1項第3号イ(3)《損金の額に算入される業績連動給与》の開示は、交付する適格株式の数の算定方法の内容のみの開示で差し支えない。(平29年課法2−17「十二」により追加)

(注) 適格新株予約権を交付する場合の開示についても、同様とする。

(業績連動指標の数値が確定した日)

9−2−20 令第69条第19項《損金の額に算入される業績連動給与》の規定の適用上、同項第1号イ(1)に規定する業績連動指標(法第34条第1項第3号イ《損金の額に算入される業績連動給与》に規定する株式の市場価格の状況を示す指標を除く。以下9−2−20において「業績連動指標」という。)の数値が確定した日とは、例えば、株式会社である法人にあっては、当該法人が会社法第438条第2項《計算書類等の定時株主総会への提出等》の規定により定時株主総会において計算書類の承認を受けた日をいう。(平19年課法2−3「二十二」より追加、平19年課法2−17「二十」、平28年課法2−11「六」、平29年課法2−17「十二」、令元年課法2−10「六」により改正)

(注)1 当該法人が同法第439条《会計監査人設置会社の特則》の規定の適用を受ける場合には、取締役が計算書類の内容を定時株主総会へ報告した日となる。

2 業績連動指標の数値が連結計算書類のものである場合には、取締役が同法第444条第7項《連結計算書類》の規定により連結計算書類の内容を定時株主総会へ報告した日となる。

(引当金勘定に繰り入れた場合の損金算入額)

9−2−20の2 法人が業績連動給与として適格株式を交付する場合において、令第69 条第19項第2号括弧書《損金の額に算入される業績連動給与》に規定する方法により経理しているときの損金算入の対象となる給与の額は、給与の見込額として計上した金額にかかわらず、当該適格株式の交付時の市場価格を基礎として算定される金額となることに留意する。(平29年課法2−17「十二」、令元年課法2−10「六」により改正)