(専担者売買商品の意義)

2−3−66 令第118条の4第1号《短期売買商品等の範囲》に規定する専担者売買商品とは、いわゆるトレーディング目的で取得した商品をいうのであるから、法人がトレーディング業務を日常的に遂行し得る人材によって設置した独立の専門部署(関係会社を含む。)により当該商品の売買がされている場合の当該商品がこれに当たることに留意する。(平19年課法2−17「五」により追加、令元年課法2−10「四」により改正)

(短期売買目的で取得したものである旨を表示したものの意義)

2−3−67 令第118条の4第1号《短期売買商品等の範囲》に規定する「短期売買目的で取得したものである旨を……帳簿書類に記載したもの(専担者売買商品を除く。)」(以下2−3−67において「帳簿記載短期売買商品」という。)とは、法人が、規則第26条の7《短期売買商品等に該当する旨の記載の方法》の規定に基づき、その取得の日において、その商品につき短期売買目的で取得した旨を短期売買商品等に係る勘定科目により区分している場合の当該商品をいうことに留意する。(平19年課法2−17「五」により追加、令元年課法2−10「四」により改正)

(注) 短期的に売買し、又は大量に売買を行っていると認められる場合の商品であっても、同条の規定に基づき区分していないものは、帳簿記載短期売買商品に該当しない。

(技術的措置の意義)

2−3−67の2 規則第26条の10各号《時価評価をしない暗号資産の要件》の要件のいずれにも該当する措置は、例えば、次に掲げるものをいう。(令5年課法2−8「四」により追加)

(1) 自己が発行し、かつ、保有する暗号資産に対し、ロックアップコード(あらかじめ定められた特定の条件の成立まで対象となる暗号資産の移転を不能にする条件式をいう。以下2−3−67の3において同じ。)のうち一定期間の経過がその特定の条件として定められているもの(当該ロックアップコードを変更できる権能を持ついわゆる特権IDを設定していないものに限る。)の設定をする措置

(2) 自己が発行し、かつ、保有する暗号資産の移転を可能にするために必要な条件として複数の秘密鍵を設定し、それらの秘密鍵を関係者(同条第2号に規定する発行法人等の同号に規定する役員等及び同号イからニまでに掲げる者をいう。以下2−3−67の2において同じ。)以外の者を含む複数の者でそれぞれ管理することにより、当該関係者のみによっては当該暗号資産を移転することができないようにする措置(譲渡制限期間(同条第1号の期間をいう。以下2−3−67の5までにおいて同じ。)が定められているものに限る。)

(注) 実質的にいつでも解除をすることが可能となっているような措置は、同号の要件に該当しないのであるから留意する。

(一定期間の経過以外の条件により譲渡制限を付した場合の取扱い)

2−3−67の3 法人が、ロックアップコードの設定をする措置により自己が発行し、かつ、保有する暗号資産に対し譲渡制限(法第61条第2項《短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益》の譲渡についての制限その他の条件をいう。以下2−3−67の5までにおいて同じ。)を付す場合において、当該譲渡制限が解除される条件を一定期間の経過以外の条件のみとしているときであっても、その条件がその成立におおむね1月を超える期間を要すると見込まれるものである場合の当該ロックアップコードは、2−3−67の2(1)《技術的措置の意義》の「一定期間の経過がその特定の条件として定められているもの」に該当するものとして取り扱う。(令5年課法2−8「四」により追加)

(継続して譲渡制限が付されているものとして取り扱う期間)

2−3−67の4 法人が発行し、かつ、保有する暗号資産に対しその発行の時から令第118条の7第2項第1号《時価評価をする暗号資産の範囲》の措置がとられている場合において、例えば、次に掲げる場合の当該暗号資産については、当該措置の解除がされてから法人が再度当該措置をとるまでの期間(おおむね1月以内の期間に限る。)は継続して当該措置がとられているものとして取り扱う。(令5年課法2−8「四」により追加)

 

(1) 資金調達環境の変化その他の事情により譲渡制限期間が経過する前にその暗号資産の一部を譲渡する必要が生じたことにより、一度全ての暗号資産について当該措置を解除し、当該解除の後に譲渡をしない暗号資産について改めて当該措置をとる必要がある場合(その暗号資産の一部の譲渡をする必要が生じたことについての経緯を明らかにする書類の保存がある場合に限る。)

(2) 2−3−67の2(2)《技術的措置の意義》の措置により譲渡制限を付した暗号資産について、譲渡制限期間が経過する前に一部の秘密鍵につき紛失又は盗難等による流出があったこと等譲渡制限の安定的な維持が困難になったことにより、当該措置の解除をして改めて当該措置をとる必要がある場合(その譲渡制限の安定的な維持が困難になった経緯を明らかにする書類の保存がある場合に限る。)

(特定自己発行暗号資産に該当しなくなった時)

2−3−67の5 法第61条第7項《短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益》の「その該当しないこととなつた時」は、例えば、次に掲げる場合には、それぞれ次に定める時となることに留意する。(令5年課法2−8「四」により追加)

(1) 令第118条の7第2項第1号《時価評価をする暗号資産の範囲》の措置がとられている特定自己発行暗号資産(法第61条第2項に規定する特定自己発行暗号資産をいう。以下2−3−67の5において同じ。)について、次に掲げる区分のいずれかに該当する場合 その特定自己発行暗号資産が次に掲げる区分のいずれに該当するかに応じ、それぞれ次に定める時

イ 譲渡制限期間が経過したもの その譲渡制限期間が経過した時

ロ 2−3−67の3《一定期間の経過以外の条件により譲渡制限を付した場合の取扱い》の取扱いの適用があるもの 譲渡制限が解除される条件が成立した時

(注) 2−3−67の4(1)《継続して譲渡制限が付されているものとして取り扱う期間》の場合におけるその譲渡をする暗号資産については、2−3−67の4(1)による解除の時を本文(1)イに定める時として取り扱う。

(2) 令第118条の7第2項第2号の受益者等が同号の信託財産とされている特定自己発行暗号資産の給付を受けた場合 その給付を受けた時

(短期売買商品等の気配相場)

2−3−68 短期売買商品等に係る令第118条の8第1項第1号《短期売買商品等の時価評価金額》に規定する「最終の気配相場の価格」は、その日における最終の売り気配と買い気配の仲値とする。ただし、当該売り気配又は買い気配のいずれか一方のみが公表されている場合には、当該公表されている最終の売り気配又は買い気配とする。(平19年課法2−17「五」により追加、令元年課法2−10「四」、令2年課法2−17「三」により改正)

(注) 当該売り気配と買い気配の間の適切な価格を用いることとする旨及びその内容を予め定め、会計処理方針その他のものにより明らかにしている場合で、本文に定める方法に代えて当該予め定められた内容により決定される価格を継続して「最終の気配相場の価格」としているときは、これを認める。

(合理的な方法による短期売買商品等の価額の計算)

2−3−69 令第118条の8第1項第1号《短期売買商品等の時価評価金額》に規定する合理的な方法による同号に掲げる短期売買商品等の当該事業年度終了の時の価額の計算に当たっては、2−3−32《合理的な方法による価額の計算》及び2−3−33《第三者から入手した価格》の取扱いを準用する。(令2年課法2−17「三」により追加)

(短期売買商品等の時価評価金額に関する書類の保存)

2−3−70 令第118条の8第2項《短期売買商品等の時価評価金額》の規定の適用については、2−3−34《売買目的有価証券の時価評価金額に関する書類の保存》の取扱いを準用する。(令2年課法2−17「三」により追加)