第2款 財産の調査

質問、検査及び提示又は提出の要求をすることができる場合

1 法第141条の「滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるとき」とは、法第5章《滞納処分》の規定による滞納処分のため、滞納者の財産の有無、所在、種類、数量、価額、利用状況、第三者の権利の有無等(以下第141条関係において「財産の状況等」という。)を明らかにするため調査する必要があるときをいう。この場合において、質問の内容、検査の方法及び提示又は提出を求めることができる物件の範囲等は、財産の状況等を明らかにするために必要であると認められる範囲内に限られる。

質問、検査又は提示若しくは提出の要求の相手方

(滞納者の財産を占有する第三者)

2 法第141条第2号の「滞納者の財産を占有する第三者」とは、正当な権原の有無にかかわらず、滞納者の財産を自己の占有に移し、事実上支配している第三者をいう。

(相当の理由)

3 法第141条第2号及び第3号の「相当の理由がある」とは、滞納者等の陳述、帳簿書類の調査、伝聞調査等により、滞納者の財産を占有し、滞納者に対し債権債務があった、若しくはある、又は滞納者から財産を取得したと認められる場合等をいう。

(滞納者が株主又は出資者である法人)

4 法第141条第4号の「滞納者が株主又は出資者である法人」とは、滞納者が株主である株式会社又は滞納者が出資者である持分会社、各種協同組合、信用金庫、人格のない社団等をいう。

質問、検査又は提示若しくは提出の要求の方法

(質問)

5 法第141条の「質問」及び「物件の提示又は提出の要求」は、口頭又は書面(質問の内容を記録した電磁的記録を含む。)のいずれによっても差し支えない。この場合において、口頭による質問の内容が重要な事項であるときは、必ずてん末を記録することとし、そのてん末を記載した書類には答弁者の署名を求め、その者が署名をしないときは、その旨を付記しておくものとする。

(帳簿書類その他の物件の意義)

6 法第141条の「財産に関する帳簿書類…その他の物件」とは、法第141条第1号から第4号までに掲げる者の有する金銭出納帳、売掛帳、買掛帳、土地家屋等の賃貸借契約書、預金台帳、売買契約書、株主名簿、出資者名簿等これらの者の債権若しくは債務又は財産の状況等を明らかにするため必要と認められる一切の帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)その他の物件をいう。

(注) 「帳簿書類その他の物件」には、国外において保存するものも含まれることに留意する。

(物件の提示又は提出の意義)

6-2 法第141条の「物件の提示」とは、徴収職員の求めに応じ、遅滞なく当該物件(その写しを含む。)の内容を徴収職員が確認し得る状態にして示すことを、「物件の提出」とは、徴収職員の求めに応じ、遅滞なく徴収職員に当該物件(その写しを含む。)の占有を移転することをいう。

(検査の時間の制限)

7 法第141条の「検査」には、捜索の場合と異なり、その時間の制限はないが、特に必要がある場合を除き、捜索の場合の時間の制限に準ずるものとする(第143条関係1から3まで参照)。

(身分証明書の提示)

8 法第141条の質問、検査又は提示若しくは提出の要求に当たって関係者の請求があったときは、規則第3条《書式》に規定する別紙第12号書式の徴収職員証票を提示しなければならない(法第147条第1項)。

罰則の適用

9 法第141条の質問、検査及び物件の提示又は提出の要求については、法第188条及び第190条の規定による罰則の適用がある。