第5節 滞納処分費

滞納処分費の範囲

(差押えに関する費用)

1 法第136条の「差押に関する費用」とは、おおむね次に掲げる費用をいう。

(1) 差押財産の収集、整理等のために要した縄代、人夫賃等の費用

(2) 差押えの登記をするために、登記簿上の記載事項の更正、変更若しくは抹消の登記又は新たな事項の登記を嘱託した場合に要した登録手数料、名義変更料及び登記簿の調査に要する費用

(交付要求に関する費用)

2 法第136条の「交付要求に関する費用」とは、おおむね次に掲げる費用をいう。

(1) 交付要求をするために要した執行機関等の書類の閲覧に関する費用

(2) 参加差押えをするために要した登記簿等の調査に関する費用

(保管に関する費用)

3 法第136条の「保管に関する費用」とは、差押財産の維持管理のために支出し、又は支出すべきことの確定した費用をいい、おおむね次に掲げるものがある。

(1) 保管人に対する報酬

(2) 倉敷料等の保管料

(3) (1)及び(2)に掲げるもののほか、その財産の維持管理に要した費用(例えば、動物の飼育費、船舶のけい船料、監守人の日当等)

(運搬に関する費用)

4 法第136条の「運搬に関する費用」とは、差押財産をその所在の場所から税務署、保管人の住所等の保管場所に引き揚げ、又は保管の場所を移し、若しくは保管場所から公売場に搬入するために支出し、又は支出すべきことの確定した費用をいい、おおむね次に掲げるものがある。

(1) 荷造りに要する費用

(2) 運搬に要する人夫賃

(3) 運送費(例えば、自動車の借上科、運転手の日当、運賃等)

(換価に関する費用)

5 法第136条の「換価に関する費用」とは、おおむね次に掲げるものをいう。

(1) 公売公告(見積価額の公告を含む。)の新聞掲載料

(注) 複数の滞納者の公売財産に係る公売公告の新聞掲載料は、掲載に要した紙面のうち、各々の滞納者分として使用した部分に相当する掲載料とそれ以外の部分に相当する掲載料を当該滞納者に均分した掲載料との合計額を、各滞納者に負担させる。

(2) 鑑定人の鑑定料、旅費、日当等

(3) 競り売り人の旅費、日当、現地案内人の謝金、測量手数料等

(4) 公売の場所の使用料、整理費等

(修理等の処分に関する費用)

6 法第136条の「第93条(修理等の処分)の規定による処分に関する費用」とは、差押財産の破損又は減耗部分の修理、取換え、塗装の塗替え等の費用をいう。

(有価証券の取立てに関する費用)

7 法第136条の「有価証券の取立に関する費用」とは、金融機関に取立てを依頼した場合における取立手数料等の費用をいう。

(債権の取立てに関する費用)

8 法第136条の「債権の取立に関する費用」とは、被差押債権の取立てに要した人夫賃等の費用をいう。

(無体財産権等の取立てに関する費用)

9 法第136条の「無体財産権等の取立に関する費用」とは、法第73条第5項又は第73条の2第4項《債権に関する規定の準用》の規定による無体財産権等の取立てに要した人夫賃等の費用をいう。

(配当に関する費用)

10 法第136条の「配当に関する費用」とは、法第130条第2項《債権額の確認方法》の規定による債権現在額の確認のための調査に要した費用等をいう。

滞納処分費として徴収できないもの

11 通知書その他の書類の送達に要する費用は、滞納処分費として徴収することができない(法第136条)。また、次に掲げる費用は、滞納処分費として徴収しないものとする。

(1) 滞納処分に従事する徴収職員の俸給、旅費、手当等

(2) 滞納処分に関する書類(差押調書、公売公告等)の用紙代、税務署等の自動車によって差押財産を引き揚げた場合の燃料費等

(3) 公売公告の取消しに要する費用

(4) 行政上の措置として行った手続に要する費用

(5) 滞納処分に臨場した場合において、滞納税金の完納、納税の猶予の許可、差押えをすることができる財産がない等の理由によって差押えをしなかったときに要した費用

滞納処分費として徴収しない場合

12 次の事実が生じた場合には、それぞれに掲げる費用は、滞納処分費として徴収しないものとする。

(1) 徴収に関する処分が取り消された場合においては、その取り消された処分に要した費用

(2) 賦課処分の全部又は一部の取消しに基づき、徴収に関する処分が解除又は取消しされた場合においては、その解除又は取消しされた処分に要した費用

(3) 法第50条第2項《差押換えの請求に対する措置》又は第51条第3項《相続に係る差押換えの請求に対する措置》の規定により差押換えをした場合においては、解除に係る差押処分に要した費用