(未成熟の果実等の場合)
1 法第90条第1項及び第2項の規定により換価が制限されている場合には、その制限がされている間は公売公告以後の換価手続は行わないものとする。
(納付通知等の処分に関する訴訟係属中の場合)
2 法第90条第3項に規定する換価の制限に該当することとなった場合には、その換価の制限がされている間は公売公告以後の換価手続は行わないものとする。
なお、公売公告後、買受代金の納付期限前に上記の換価の制限に該当することとなった場合においては、それが売却決定前であるときは売却決定を行わないものとし、売却決定後、買受代金の納付期限前であるときは買受代金を受領することができないものとする。
(果実)
3 法第90条第1項の「果実」とは、植物の果実をいい、いわゆる果物のほか、馬鈴しょ、落花生等の野菜類等をいう。
なお、果実を土地の定着物としての植栽された樹木又は立木法による立木と一体として換価する場合には、法第90条の規定は適用されない。
(成熟)
4 法第90条第1項の「成熟」とは、通常の取引に適する状態になることをいう。
(生産工程中)
5 法第90条第2項の「生産工程中」とは、生産の作業が完成品となる前段階にあり、まだ作業が継続していることをいう。したがって、事業の休廃止等に係る仕掛品については、法第90条第2項の規定は適用されない。
(仕掛品)
6 法第90条第2項の「仕掛品」とは、一定時点において、製品、半製品、部分品の生産のために現に仕掛中又は加工中のものをいい、なお製造過程中にあって、製品又は半製品となる前段階にあり、まだ販売に適しないものをいう。
(栽培品等)
7 法第90条第2項の「その他これらに類するもの」とは、仕掛品に類するもの及び栽培品に類する稚魚、ひな等をいう。
(完成品)
8 法第90条第2項の「完成品」とは、その生産等の作業により通常の取引に適する状態になった物をいう。
なお、完成品とならなくても、著しく低額にならない物(例えば、塗装だけが終わっていない机等)は換価することができる。
(訴えの提起)
9 法第90条第3項の「訴えを提起したとき」とは、訴状が裁判所から国に送達されたときをいう(行政事件訴訟法第11条第1項第1号、民事訴訟法第138条第1項参照)。
(訴訟の係属する間)
10 法第90条第3項の「訴訟の係属する間」とは、訴えの提起から裁判の確定又は訴えの取下げにより裁判が終結するまでの期間をいい、適法な上訴(控訴又は上告)の期間中は「訴訟の係属する間」に含まれる(民事訴訟法第138条、第262条、第116条参照)。
11 国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立てがあった場合には、その国税の徴収のため差し押さえた財産の換価は、その財産の価額が著しく減少するおそれがあるとき、又は不服申立人(不服申立人が処分の相手方でないときは、不服申立人及び処分の相手方)から別段の申出があるときを除き、その不服申立てについての決定又は裁決があるまでは、することができない(通則法第105条第1項)。
なお、再調査の請求についての決定から審査請求がされるまでの間(審査請求をすることができる間に限る。)は、原則として、10と同様に取り扱うものとする。