参加差押えの手続

(参加差押えの意義)

1 法第86条の参加差押えは、交付要求の一つとして行われるものであるから、参加差押えを受けた差押えが解除されるまで又は換価執行決定をするまでの効力は交付要求の効力と同様であるが、その参加差押えを受けた差押えが解除された場合には参加差押えをした時等にさかのぼって差押えの効力が生じ、その後はその差押えに基づき参加差押財産の換価処分ができる効力を有する。また、参加差押不動産について換価執行決定をした場合には、その換価執行決定に基づき参加差押不動産の換価処分ができる効力を有する(法第86条から第88条まで、第89条の2から第89条の4まで)。

(差押えができる場合)

2 法第86条第1項の「第47条(差押の要件)の規定により差押をすることができる場合」とは差押えの要件を定める法第47条の規定に基づく差押えができる場合をいい、次に掲げる場合を含むものとする。
なお、法第47条第2項《繰上差押え》の規定により繰上差押えができる場合にも、法第86条第1項の規定により繰上参加差押えをすることができる(第47条関係14参照)。

(1) 法第24条第3項《譲渡担保財産に対する滞納処分の要件》に規定する同条第2項《譲渡担保権者に対する告知》の告知書を発した日から10日を経過した日までに法第24条の規定により徴収しようとする金額が完納されていない場合

(2) 法第159条第3項《保全差押金額の通知》の規定による保全差押金額の通知を納税義務があると認められる者にした場合

(3) 通則法第38条第4項《保全差押えの規定の準用》の規定による繰上保全差押金額の通知を納税者にした場合

(4) 通則法第52条《担保の処分》に規定により担保の処分をする場合

(5) 法第138条《滞納処分費の納入の告知》の規定による納入告知により指定された納期限までに、その納入告知書により告知された滞納処分費を完納しない場合

(参加差押書)

3 法第86条第1項の「参加差押書」は、令第36条第1項各号《交付要求書の記載事項》に掲げる事項を記載した規則第3条《書式》に規定する別紙第8号書式による(令第38条前段)。

(滞納者への通知)

4 参加差押えをしたときは、令第36条第2項各号《交付要求をした旨の通知書の記載事項》に掲げる事項を記載した書面(参加差押通知書)により、滞納者に通知しなければならない(法第86条第2項前段、令第38条前段)。この書面の様式は、別に定めるところによる。

(第三債務者への通知)

5 電話加入権について参加差押えをしたときは、令第36条第3項に定める事項を記載した書面により、第三債務者(NTT)に通知しなければならない(法第86条第2項後段、令第38条前段)。この書面の様式は、別に定めるところによる。

(差押財産が譲渡された場合)

6 滞納者の所有財産がその者の滞納処分により差し押さえられ、その後その差押財産が第三者に譲渡された場合において、滞納者の国税については、参加差押えをすることはできない(昭和37.6.29付民事甲第1838号法務省民事局長電報回答)。この場合において、交付要求をすることはできる。また、第三者の国税については、参加差押え(交付要求を含む。)をすることはできない(第47条関係61参照)。

(譲渡担保財産である場合)

7 譲渡担保権者の国税により差押えがされている譲渡担保財産について、法第24条第3項《譲渡担保財産に対する滞納処分》の規定により譲渡担保設定者(譲渡担保財産を譲渡担保権者に譲渡した者をいう。)の国税により参加差押えをすることができ、また、譲渡担保設定者の国税により差押えがされている譲渡担保財産について譲渡担保権者の国税により参加差押えをすることもできる(令第9条参照)。

登記の嘱託

8 税務署長は、不動産、船舶、航空機又は自動車、建設機械若しくは小型船舶につき参加差押えをしたときは、参加差押えの登記を関係機関(第68条関係36、第70条関係5及び第71条関係6参照)に嘱託する(法第86条第3項)。この場合において、不動産の登記嘱託書には、登記原因証明情報を添付しなければならない(不動産登記法第61条)。この書面の様式は、別に定めるところによる。また、船舶、航空機又は自動車、建設機械若しくは小型船舶の登記嘱託書には、参加差押調書の謄本を添付しなければならない。
なお、参加差押えの登記は、参加差押えの効力発生要件ではないが、法第87条《参加差押えの効力》の規定により差押えの効力が生じた場合における対抗要件である。

質権者等への通知

9 税務署長は、法第86条第1項の規定により参加差押えをしたときは、法第55条《質権者等に対する差押えの通知》に掲げる者のうち、徴収職員がその参加差押えを行うに際してその氏名及び住所又は居所を知ることができた者に対して、令第36条第3項《交付要求をした旨の通知書の記載事項》に定める事項を記載した書面により通知しなければならない(法第86条第4項、令第38条前段)。この書面の様式は、別に定めるところによる。