1 差押えの解除は、その旨を滞納者に通知することによって行う。ただし、債権及び第三債務者等のある無体財産権等の差押えの解除は、その旨を第三債務者等に通知することによって行う(法第80条第1項)。これらの書面の様式は、別に定めるところによる。

解除に伴う措置

(滞納者への通知)

2 債権又は第三債務者等がある無体財産権等の差押えを解除したときは、その旨を滞納者に通知しなければならない(法第80条第2項第2号)。この書面の様式は、別に定めるところによる。

(その財産を占有する第三者)

3 法第80条第2項の「その財産を占有する第三者」とは、差押えを解除した時においてその解除した財産を占有している第三者をいう。

(引渡し)

4 法第80条第2項第1号の「引渡」は、現実の引渡しに限らず、指図による占有の移転を含むものとする(民法第184条参照)。

(差押えの登記の抹消の嘱託)

5 税務署長は、不動産その他差押えの登記をした財産の差押えを解除したときは、その登記の抹消を関係機関に嘱託しなければならない(法第80条第3項)。この関係機関は、差押えの登記を嘱託した関係機関と同様である。
なお、法第80条第3項の「差押の登記」には、法第87条第1項«参加差押えの効力»の規定により差押えの効力を生じた参加差押えの登記が含まれる。

(引き渡さなければならない)

6 法第80条第4項の「引き渡さなければならない」とは、差押えの時に第三者が占有していた動産又は有価証券については、その第三者が滞納者に引渡しをすべきことを申し出ない限り、解除時にその第三者がその財産を占有することができる権原を有しているかどうかを問わず、その第三者に引き渡さなければならず、また、その第三者に引き渡せば免責されることをいう。

(供託)

7 動産又は有価証券の差押えを解除した場合において、滞納者が所在不明、受領を拒否していること等により、解除した財産の引渡しができないときは、通則法第121条«供託»の規定により供託することができる。
なお、債権又は自動車、建設機械若しくは小型船舶の差押えを解除した場合において、取り上げた証書又は徴収職員が占有した自動車、建設機械若しくは小型船舶があるときも同様である(法第80条第5項参照)。

(国の責めに帰すべき理由)

8 法第80条第4項第1号の「国の責に帰すべき理由」とは、更正又は徴収に関する処分に、差押えの解除の直接の理由となった違法性があることをいう。したがって、更正の一部の取消しがあった後残額が納付されたことにより差押えを解除する場合等は、この理由に該当しない。

(参加差押えがある場合の差押えの解除等)

9 解除する差押えにつき参加差押えがある場合又は滞調法の規定の適用がある場合の差押えの解除については、法第87条第2項《参加差押えの効力》(令第39条から第41条まで参照)若しくは第89条の3第1項《換価執行決定の取消し》(令第42条の3参照)の規定又は滞調法第5条第1項本文《滞納処分による差押えの解除時の処置》、第11条第1項本文《仮差押えの執行》、第14条《滞納処分による差押の解除の通知》、第19条《船舶に対する強制執行及び仮差押の執行》、第20条《競売》、滞調令第3条第1項《滞納処分による差押えの解除時の処置》、第12条の2《航空機に対する強制執行等》、第12条の3《自動車等に対する強制執行及び競売》、第12条の4《自動車等に対する仮差押えの執行》等の特別の規定がある。

(第三者債務者が供託した後における差押えの解除)

10 滞納処分による差押えをした金銭債権につき強制執行による差押えがされ、第三債務者が供託した場合において(滞調法第20条の6参照)、税務署長がその払渡手続前に差押えの解除をするときにおける法第80条第1項ただし書の規定による第三債務者に対する通知は、供託所に対して行うものとする。

組織的犯罪処罰法等との関係

(没収保全がされた財産の差押えの解除)

11 滞納処分による差押えがされている財産について、没収保全がされた場合において、その差押えを解除したときは、検察官にその旨を通知する(没収保全と滞納処分との調整令第3条第1項、第3項、麻薬特例法第19条第4項、国際刑事裁判所協力法による没収保全と滞納処分との調整令第2条第1項、第3項)。
  また、没収保全がされている財産について、滞納処分による差押えをした場合において、その差押えを解除したときも同様である(没収保全と滞納処分との調整令第1条第2項、麻薬特例法第19条第4項、国際刑事裁判所協力法による没収保全と滞納処分との調整令第1条第2項)。

(差押え後に没収保全がされた金銭債権の差押えの解除)

12 滞納処分による差押え後に没収保全がされた金銭債権について、組織的犯罪処罰法第40条第2項«滞納処分等と没収保全との調整»、麻薬特例法第19 条第4 項«没収保全命令»、国際刑事裁判所協力法第47 条«組織的犯罪処罰法の準用»の規定による供託がされた場合において、その差押えを解除したときは、11の通知のほかに、供託書正本(その一部を解除したときは供託書正本の保管を証する書面)を没収保全命令を発した裁判所に送付する(没収保全と滞納処分との調整令第3条第2項、麻薬特例法第19条第4項、国際刑事裁判所協力法による没収保全と滞納処分との調整令第3条)。

差押えの取消しの手続

13 税務署長が、差押えの全部又は一部を取り消す場合(不服申立てに対する取消しの決定若しくは裁決又は判決があった場合を含む。)の手続については、法第80条の規定に準ずるものとする。