【照会要旨】

 農業協同組合の行う受託農業経営事業に係る農地には、同組合のため使用収益権が設定されていますが、当該受託農業経営事業から生ずる収益は、委託者の農業所得として取り扱われていますので、当該農地は、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当しますか。

【回答要旨】

 贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用要件の一つとして、贈与者(被相続人)がその適用を受ける農地に係る農業経営を行うこととされており、農作業の全部を農業協同組合に委託した場合には、たとえ、所得税の取扱いにおいて受託農業経営事業から生ずる収益が委託者(特例適用者)の農業所得とされていたとしても、その委託に係る農地は、委託者自身が農業を行っているわけではありませんので、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の適用を受けることができません。

(注)  受託農業経営事業は、「農業協同組合農業経営受託規程例」に基づき、昭和46年から実施されています。当該事業を行う場合には、当該農地について農地法第3条第1項の規定による使用収益権が設定されますが、受託者はその使用収益の対価を支払うことはなく、一方、受託農業経営事業から生ずる損益は委託者に帰属することとされています。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第70条の4第1項、第70条の6第1項
 租税特別措置法施行令第40条の6第1項、第40条の7第1項
 昭和47.1.21直所3-1「農業協同組合受託農業経営事業等から生ずる収益に対する所得税の取扱いについて」

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。