【照会要旨】

 農地に係る相続税の納税猶予の特例の適用上、被相続人の配偶者が子とともに農地を相続により取得し、農業相続人として配偶者の税額軽減の規定を適用したところ、納付すべき相続税額が算出されず、また、農業相続人でないものとして相続税額を計算した場合においても配偶者の税額軽減の規定が適用されて納付すべき税額が算出されないときでも、その配偶者について納税猶予の特例を認めて差し支えないでしょうか。

(注) その配偶者について納税猶予の特例を適用した場合には、その者が取得した農地の価額は、農業投資価格を適用することができるため、納税猶予税額の総額が増加し、他の農業相続人である子の税負担が減少するメリットがあります。

【回答要旨】

 配偶者について納税猶予の特例が適用されるのは、次に掲げるいずれかの場合に限られます。

1 配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合

2 配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出されない場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合

3 配偶者が農業相続人であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出される場合で、かつ、農業相続人以外の者であるものとして計算すれば納付すべき相続税額が算出されない場合

したがって、照会の場合の配偶者については、納税猶予の特例は認められません。

【関係法令通達】

 租税特別措置法第70条の6
 租税特別措置法関係通達70の6-37

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。