【照会要旨】

 特定贈与者から贈与を受けた財産について遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定した場合、当該贈与財産の価額は、特定贈与者の死亡に係る相続税の計算において相続時精算課税適用者の相続税の課税価格に算入しなくてもよいですか。

【回答要旨】

 相続税法は、遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定した場合において、それにより金銭の支払を受けた者は、相続税の申告(期限後申告又は修正申告)をすることができることとし、反面、金銭を支払った者は、既に申告した贈与税について更正の請求をすることができる旨規定しています。
 したがって、特定贈与者から贈与を受けた財産について遺留分侵害額の請求を受け、その支払うべき金銭の額が確定した場合、既に申告した贈与税については更正の請求をすることによりその財産の価額から次に掲げる算式により求めた価額を控除したところで減額更正されることとなります。また、特定贈与者の死亡に係る相続税の計算において相続税精算課税適用者の相続税の課税価格に算入される財産の価額は、減額更正後の価額となります。

相続時精算課税適用財産の贈与時の価額×遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額/相続時精算課税適用財産の上記金銭の決定の基となった価額

(注)共同相続人及び包括受遺者(遺留分義務者を含む。)の全員の協議に基づいて、上記の方法に準じた方法又は合理的と認められる方法により、その遺留分侵害額に相当する価額を計算して申告する場合は、その申告した額として差し支えありません。

【関係法令通達】

 相続税法第30条第1項、第31条第1項、第32条第1項第3号

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。