【照会要旨】

 長男Aは、父母から財産の贈与を受け、父母それぞれからの贈与について相続時精算課税の適用を受けていました。長男Aの相続人は特定贈与者である父母だけですが、長男Aが特定贈与者である父母よりも先に死亡した場合、長男Aの納税に係る権利義務は承継されず消滅することになりますか。

【回答要旨】

 特定贈与者の死亡以前にその特定贈与者に係る相続時精算課税適用者が死亡した場合には、その相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含み、その特定贈与者を除きます。)は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税の適用を受けていたことに伴う納税に係る権利又は義務を承継します。
 この場合、相続時精算課税適用者の相続人が承継する還付を受ける税額又は納税する税額については、遺産分割にかかわらず民法第900条から第902条までに規定する相続分(相続時精算課税適用者の相続人のうちに特定贈与者がある場合には、当該特定贈与者がないものとして相続分を計算します。)により按分した金額とされています。
 したがって、特定贈与者である父から贈与を受けたことに伴う納税に係る権利義務は、Aの相続人である母が承継し、また、特定贈与者である母から贈与を受けたことに伴う納税に係る権利義務は、Aの相続人である父が承継することとなります。

【関係法令通達】

 相続税法第21条の17第1項、第3項
 相続税法施行令第5条の5
 民法第900条、第901条、第902条

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。