【照会要旨】

 私は、×1年8月1日に甲から土地の贈与を受け、暦年課税を適用して贈与税の期限内申告書を提出しました。
 その後、×4年7月1日に甲について相続が開始し、上記の贈与税の申告書に記載した土地の贈与時の価額を甲の死亡に係る相続税の課税価格に加算して相続税の期限内申告書を提出しました。
 ところが、上記の贈与税について、税務署長が(増額又は減額)更正することができなくなった後になって、申告書に記載した贈与時の土地の価額に評価誤りがあったことが判明しました。
 この場合、×1年分贈与税については(増額又は減額)更正されないことになりますが、他方、相続税については税務署長が更正することができる場合、評価誤りを是正した後のこの贈与時の土地の価額が相続税の課税価格に加算される財産の価額になるとして、相続税の修正申告又は更正の請求を行うことができますか。また、相続税額から控除される贈与税相当額は、課せられた贈与税相当額となることでよいでしょうか。

【回答要旨】

 相続税の課税価格に加算される財産の価額とは、贈与税の期限内申告書に記載された財産の価額ではなく、当該贈与税の課税価格計算の基礎に算入される財産に係る贈与の時における価額と解されます(相法191、相基通19−1)。したがって、当該贈与税について税務署長が更正することができなくなった後においても、当該贈与税の課税価格計算の基礎に算入される財産に係る評価誤りを是正した後の当該財産に係る贈与の時における価額が相続税の課税価格に加算される財産の価額となります。そのため、甲の死亡に係る相続税については修正申告又は更正の請求を行うことができます。
 なお、この場合において相続税額から控除される贈与税相当額は、課せられた贈与税相当額となります(相法191、相基通19−6)。

【関係法令通達】

 相続税法第19条第1項
 相続税法基本通達19−1、19−6

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。