【照会要旨】

 夫がB型肝炎になったため、医師の勧めにより妻がB型肝炎ワクチンを接種した場合の費用は、医療費控除の対象になりますか。

【回答要旨】

 原則として医療費控除の対象となります。

 海外旅行を行う際に予防接種を受ける場合の費用のように疾病の予防のための費用は、医療費控除の対象とはなりません。したがって、B型肝炎ワクチンの接種についても、B型肝炎の予防のためにのみ行われる場合、それに要する費用は医療費控除の対象とはなりません。
 しかし、B型肝炎の感染経路の主なものは血液による感染、性的接触による感染及び母子感染であり、B型肝炎にかかっている者の介護に当たる家族に感染する危険性が非常に高いため、その家族にB型肝炎ワクチンを接種することは、医師によるB型肝炎の患者の治療の一環として不可欠であるといわれています。このようなことから、B型肝炎の患者の親族(その患者と同居する者に限ります。)のB型肝炎ワクチンの接種に要した費用については、医師による診療又は治療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象となるものと取り扱われています(昭63直所3-23「B型肝炎ワクチン接種費用の医療費控除の取扱いについて」)。
 なお、B型肝炎ワクチンの接種に要した費用について医療費控除を受けるためには、確定申告書に医療費控除の明細書を添付し、また、B型肝炎にかかっており医師による継続的治療を要する旨の記載のある医師の診断書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することが必要です。

※ 平成29年度改正により、医療費控除の適用を受ける者は、医療費の領収書の添付又は提示に代えて、医療費控除の明細書又は医療保険者等の医療通知書を確定申告書に添付しなければならないこととされました。また、この場合において、税務署長は、その適用を受ける者に対し、確定申告期限等から5年間、医療費控除の明細書等に係る医療費の領収書の提示又は提出を求めることができ、その求めがあったときは、その適用を受ける者は、医療費の領収書の提示又は提出をしなければならないこととされました。
 なお、この改正は、平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出する場合について適用され、平成29年分から令和元年分までの確定申告については、改正前と同様、医療費の領収書の添付又は提示による医療費控除の適用もできることとされています。
 また、平成29年分以後の確定申告書を平成30年1月1日以後に提出する場合、確定申告書に添付又は提示が必要な「医師の診断書」についても、@証明年月日、A証明の名称及びB証明者の名称(医療機関名等)を医療費控除の明細書の欄外余白などに記載することにより、確定申告書への添付又は提示を省略して差し支えありません。
 なお、この場合、添付又は提示を省略した「医師の診断書」は、医療費の領収書とともに確定申告期限等から5年間保存しなければなりません。

【関係法令通達】

 所得税法第120条第4項、第5項、平成29年法律第4号附則第7条、所得税法施行令第207条、昭63直所3-23「B型肝炎ワクチン接種費用の医療費控除の取扱いについて」

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。