【照会要旨】

 私は、賃貸用の土地及び建物(以下それぞれ「本件土地」及び「本件建物」といいます。)を購入した際に、不動産仲介業者に対して仲介手数料(以下「本件仲介手数料」といいます。)を支払いました。
 私の不動産所得の計算において、本件仲介手数料の全額を支払った年分の必要経費に算入することができますか。

【回答要旨】

 本件仲介手数料は、本件土地及び本件建物のそれぞれの取得価額に算入されるため、その全額を支払った年分の必要経費に算入することはできません。

(理由)
 所得税法は、購入した減価償却資産の取得価額について、その資産の購入の代価に購入手数料等を含めることとされているところ(所得税法第49条第2項、所得税法施行令第126条第1項第1号)、本件仲介手数料は、上記の「購入手数料」に該当します。
 そうすると、本件仲介手数料のうち本件土地の購入に係る部分の金額は、その土地の取得価額に算入され、不動産所得の必要経費には算入されません。また、本件仲介手数料のうち本件建物の購入に係る部分の金額は、その建物の取得価額に算入され、その取得価額に基づいて計算される減価償却費の額が不動産所得の必要経費に算入されることとなります。
 したがって、本件仲介手数料の全額を支払った年分の必要経費に算入することはできません。

【関係法令通達】

所得税法第49条、所得税法施行令第126条第1項第1号

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。