【照会要旨】

 A県は、B財団から奨学金(以下「本件奨学金」といいます。)の貸与を受けている学生(以下「支援対象者」といいます。)を対象として、卒業後にA県内の企業に就職し、2年間勤務するなどの一定の要件を満たした場合に、本件奨学金の返済に充てるための支援金(以下「本件支援金」といいます。)を給付する制度を設けています。
 この場合、支援対象者が給付を受ける本件支援金は、非課税所得である「学資に充てるため給付される金品」に該当しますか。
 なお、本件支援金は、A県がB財団に直接送金することとなっており、その金額は、50万円又は給付時における支援対象者の奨学金に係る債務残高のいずれか低い金額となります。
 おって、本件奨学金は、支援対象者が修学する上で必要となる費用(授業料、教科書代及び通学費用等)の額の範囲内となるものです。

【回答要旨】

 本件支援金は「学資に充てるため給付される金品」に該当するものとして取り扱って差し支えありません。

(理由)
 所得税法第9条第1項第15号《非課税所得》は、学資に充てるため給付される金品は、給与その他対価の性質を有する一定のものを除き、非課税と規定しているところ、その貸与を受けた奨学金の返済に充てるための給付については、給付される金銭そのものがその奨学金の貸与者に支払われ、直接学資に充てられていないことから、その給付は原則として「学資に充てるため給付される金品」には該当しません。
 しかしながら、奨学金の返済に充てるための給付は、その奨学金が学資に充てられており、かつ、その給付される金品がその奨学金の返済に充てられる限りにおいては、通常の給与に代えて給付されるなど給与課税を潜脱する目的で給付されるものを除き、これを非課税の学資金と取り扱っても、課税の適正性、公平性を損なうものではないと考えられます。
 照会の場合、本件奨学金は支援対象者が修学する上で必要となる費用の額の範囲内であり、かつ、本件支援金はA県からB財団に直接送金され、本件奨学金の債務残高を超える金額にはならないことから、本件支援金が現に本件奨学金の返済以外に流用されることはないものと認められ、本件支援金を「学資に充てるため給付される金品」に該当するものと取り扱って差し支えありません。

【関係法令通達】

所得税法第9条第1項第15号

注記
 令和5年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。