【照会要旨】

 投資目的で株式の売買を行い、これについて委託売買手数料等を支払っていますが、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合、これらの支出はその他の資産の譲渡等(以下「非課税売上げ」といいます。)にのみ要する課税仕入れの支払対価として仕入税額控除の対象とならないことになるのでしょうか。

【回答要旨】

 株式の売買に伴う課税仕入れに係る支払対価としては、委託売買手数料、投資顧問料、保護預り料があり、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合におけるこれらの支払対価は次のように、いずれも、非課税売上げにのみ要する課税仕入れとして取り扱います。

1 株式を売却する際の委託売買手数料は、株式の譲渡のための費用ですから、非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価に該当し、個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合は仕入税額控除の対象にはなりません。
 一方、購入した株式については、それを売却するまでの間に配当金を収受することもありますが、株式を購入する際の委託売買手数料は、配当金を得るための支払対価というよりも、後日における売却のための取得に要する支払対価と認められますから(所得税、法人税においても配当金収入のための必要経費又は損金としては取り扱われてはいません。)、非課税売上げにのみ要する課税仕入れに係る支払対価に該当することとなります。

2 株式の売買に当たって、投資顧問業者から売買に関して、専門的な助言を得る場合があり、このような助言に対して投資顧問業者に支払う投資顧問料も、委託売買手数料と同様に非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価となります。

3 株式の保護預り料は、後日の売却のための支出ですから、非課税売上げにのみ要する課税仕入れの支払対価となります。

【関係法令通達】

 消費税法第30条第2項、消費税法基本通達11-2-15

注記
 令和5年10月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。